今日は、ハロウィン!

一条真也です。
今日は、10月31日。ハッピー・ハロウィン!
「ハロウィン」と呼んだり、「ハロウィーン」と呼んだりしますが、断然わたしは「ハロウィン」派です。だって、日本人が英語読みで「ハロウィーン」と語尾を伸ばすのはなんかマヌケというか、やはり違和感がありますよね。

最終日を迎えた「ハロウィン★アフタヌーンティー

松柏園ホテル のリゾートレストラン「ザ・テラス」において9月15日より開催していた「ハロウィン★アフタヌーンティーフェア」も今日が最終日。大勢のお客様がお越しになられ、大盛況でした。ハロウィンは、もともとキリスト教における「万聖節」の前夜祭で、日本では「お盆」に近いです。仮装した子どもたちが「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!」と言いながら、近所の家を訪問します。かぼちゃをくりぬき、中にろうそくを灯した「ジャック・オウ・ランタン」が有名です。

サンデー毎日」2015年11月8日号

 

戦後、日本人は多くの新しい年中行事を作ってきました、あるいは受け入れてきました。その代表的なものこそ、クリスマス、バレンタインデー、そしてハロウィンでしょう。國學院大学副学長で宗教学者の石井研士先生によれば、クリスマスがごく普通に行われるようになったのは、昭和30年代以降といいます。バレンタインはもう少し遅く、40年代の終わりくらいからだとか。ハロウィンは25年ほど前は、今のような盛況ぶりは考えられませんでした。ハロウィンほど一気に日本列島に浸透した海外イベントも珍しいと言えます。

決定版 年中行事入門』(PHP研究所)

 

拙著『決定版 年中行事入門』(PHP研究所)にも書きましたが、カタカナ行事の“王様”であるクリスマスは、日本のお盆と同じく、死者をもてなす祭りです。クリスマス・イヴの晩餐とは、もともと死者に捧げられた食事であり、この食卓では招待客が死者で、子どもたちは天使の役目を果たしているのです。天使たち自身も、じつは死者です。昔のヨーロッパのクリスマスでは、子どもたちが死者の代理人として大人の家庭を訪ね歩く習慣がありました。この習慣が、アメリカのハロウィンに受け継がれたのです。というわけで、ハロウィンでは今は亡き人を思い出していただきたいと思います。


ヤフーニュースより

 

しかしながら、現在のハロウィンは若者のバカ騒ぎの場になっている感があります。29日の土曜日、30日の日曜日と、ハロウィン直前の週末は、東京・渋谷も仮装した人たちであふれ返りました。3年ぶりに行動制限のないハロウィンとあって、渋谷の街には大勢の人が繰り出し、大混雑。コスプレをする人や外国人の姿も多く見られました。路上で寝入ってしまう“泥酔者”が後を絶たず、暴行トラブルも相次ぎました。けんかを仲裁される人、路上で寝る人、搬送される人、大音量で踊る人・・・ハロウィン本番直前の週末、渋谷はまさにカオスとなったようです。



最も目立ったのが、路上の飲酒です。渋谷区はハロウィン期間中、午後6時から翌日の午前5時まで、渋谷駅周辺の路上や公園での飲酒を禁止にしていますが、至る場所で飲酒する姿が見られました。周辺のコンビニ店などでは酒の販売を自粛するように協力を求められていますが、許可なく路上で酒を販売する店も出現。しかも、空き缶や瓶は放置されたまま、所構わずに散乱していました。それらのゴミを拾っていたのはボランティアの若者たちだったといいます。この乱痴気騒ぎは、かつての那覇市北九州市での成人式を連想させます。成人式でもハロウィンでも、こういう馬鹿騒ぎに対して「少しくらいはハメを外したっていいじゃないか。若者の不満のガス抜きですよ」などと変な理解を示す馬鹿が必ずいますが、とんでもないこと。暴力をふるえばどうなるか? 物を壊せばどうなるか? 若者ならぬ馬鹿者にもわかるように厳しく取締り、場合によっては逮捕などもしていくべきです。

 

お隣の韓国では、悲しい事件が起こりました。韓国の首都ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で29日夜、ハロウィンを前に集まった若者らが折り重なるように倒れ150人以上が死亡したのです。犠牲者の中には日本人2人も含まれていました。現場は狭い坂道で、ハロウィンを前に多くの人が密集する中、転倒事故が起きました。死傷者の大半は10代と20代の若者で、亡くなった人の多くが圧死したとみられています。



地元メディアは、当局がこれまでに154人の死亡を確認したと伝え、韓国政府は37人が重傷としていて、犠牲者はさらに増える可能性もあるとか。警察は捜査本部を設置し、事故原因を調べるとともに遺族やけが人の対応にあたっているそうです。今回の事故は、304人の死者・行方不明者を出した、2014年のセウォル号沈没事故以来の惨事だといいます。死者を思い出す日であるはずのハロウィンで多くの死者を出すのは本末転倒です。今夜、日本の若者たちも節度をもってハロウィンを楽しんでいただきたいと思います。梨泰院の事故で亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌。

 

2022年10月31日 一条真也