営業責任者会議  

一条真也です。
12日の11時から、サンレー本社の会議室で営業責任者会議を行いました。コロナ前は同じ会議室に全国の責任者たちが所狭しと一同に会していたのですが、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、今回も福岡県以外の営業責任者たちはオンライン参加でした。

最初は、もちろん一同礼!

今日のマスクはパンジーの不織布!

 

冒頭の社長訓示で、わたしはパソコン画面の向こうにいる営業責任者たちに向かって、まずは、「コロナ禍で、営業員さんたちが陽性患者になったり、濃厚接触者になったり、じゅうぶんな営業活動もできない営業部も多いでしょう。みなさんのストレスや焦りもよく理解できますが、どうか感染防止を第一に考えて行動していただきたい。まだまだ安心できません。感染対策には最大の注意を払って下さい」と述べました。

感染対策には最大の注意を!


マスクを外しました

 

それから、ブログ「グリーフケアTV取材」で紹介した6日の取材内容について話しました。日本を代表するドキュメンタリー監督である中村裕氏の「貴社で取り組んだ『グリーフケア』の内容をお聞かせください」という質問に対して、わたしは「葬儀という儀式の外の取組みとして、2010年(平成22年)にムーンギャラリーという施設を作り、同時に『月あかりの会』という弊社でご葬儀を行ったご遺族様を中心とした遺族の会を立ち上げました。会では愛する方を亡くされたという同じ体験をした遺族同士の交流の中で少しでも自分の『想い』や『感じていること』を話すことが出来る場を提供することが出来ました。ひとりひとり喪失の悲嘆に対しての感じ方は異なりますが、同じ体験をしたという共通点を持ち、お互いに尊重しあい、気づかう関係性となっています。また交流を行う場の提供により『愛する人を喪失した対処から、愛する人のいない生活への適応』のサポートにもなっていると感じています」と述べました。


有縁社会の再生について


熱心に聴く人びと

 

それから、わたしは「施設の中ではそれぞれが交流しやすいようにフラワーアレンジメントや囲碁や将棋など趣味や興味のあることが行えるようにしており、それぞれが交流しやすい場となっています。気をつけていることは活動についてスタッフもお手伝いはしていきますが、こちら側からの押し付けにならないように、あくまでもそれぞれの自主性を大切にするようにしています。すでに10年以上活動を続けていますが最初のころに参加された方は新しく参加された方へのケアのお手伝いをしたいなど新しい目標を見つけ、生きがいとなっている方も増えてきています。また、この他には亡くなった方を偲び供養のお手伝いとして毎年地域ごとに分かれセレモニーホールを利用し慰霊祭を行い、1周忌・3回忌を迎える方に参加していただいています」と答えました。

グリーフケアの必要性について

 

次に、「今、『グリーフケア』の必要性を強く感じるのはどんな時ですか?」という質問に対しては、「これまでの社会の中では様々な縁がありました。血縁や地縁ということがよく言われますが社会の中で生活する上ではそれ以外にもたくさんの繋がりがありました。また、地域社会には人が集まる場所として寺院などがありました。人と人との繋がりや交流の中でグリーフケアが行われ、死別という事象については葬儀という儀式を行うことによって行われるケアもあったと考えています。しかしながら、現代は『無縁社会』という言葉が生まれてしまうような時代となってきています。そして葬儀を行わないという選択肢を選ぶ方も増えてきているように感じています。そのためこれまであったケアの仕組みが効果を発揮することが出来にくいような現状となっています」と答えました。

これからのグリーフケアについて

 

「これから、どんな『グリーフケア』を実践していきたいとお考えですか?」という質問に対しては、「現代社会では今まであったグリーフケアの仕組みが消失しつつあります。そのため今までの仕組みに変わるグリーフケアを実践する仕組みが必要であることを痛感しています。冠婚葬祭互助会業界ではグリーフケア士という資格認定制度を創設し、グリーフケアの実践のための人員の育成を行っています。これは2021年にグリーフケア資格認定制度として創設、上智大学グリーフケア研究所の全面監修をもとに一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団が制度運営を行うものです。この制度によりグリーフケアを担う人員の育成を図り、グリーフを抱える方へのサポート、ケアするスキルを持った専門家となることで冠婚葬祭に関わるスタッフのグリーフケアに対する意識の向上とともに社会を健全に保つお手伝いを行っていけるような仕組みを実践していければと考えています」と答えました。

死生観の確立が最重要


熱心に聴く人びと

 

そして、互助会業界の利点として日本全国にセレモニーホールをはじめとして多くの施設があり、そこでグリーフケアを行うことが出来ることが考えられます。地域社会においてグリーフケアの拠点となることが出来るということです。今よりグリーフケアがより認知され、住んでいる近くにグリーフを抱える方へのサポート、ケアができる場所があり、実際にグリーフケアが行えるようなスタッフと仕組みがあるようにしていきたいと考えています。またそこで集うことによって縁の再生のお手伝いが出来るようになればと考えています。わたしは、「これらにより社会全体を健全に保つことの一助となるような実践を行っていきたいと考えています。最後に、グリーフケアが目指すところには各自が死の不安を乗り越える『死生観』の確立があると思いますので、そのための読書や映画鑑賞などのアドバイスも行っていけたらと考えています」と述べました。


稲盛和夫の方程式とは?

 

それから、尊敬する経営者であった稲盛和夫氏が逝去されたことに言及し、氏の御冥福をお祈りしました。稲盛氏は、企業経営者として「全従業員の物心両面の幸福」を追求し、「人類社会の進歩発展」に貢献するという思想の根源は、「人として何が正しいかという判断基準」に拠っている極めてシンプルにしてプリミティブなものだと述べています。稲盛氏は「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という公式を打ち出しました。ご本人の経験則に裏打ちされたものだけに強い説得力があります。著書『心を高める、経営を伸ばす』(PHP研究所)で、稲盛氏は「能力とは、頭脳のみならず健康や運動神経も含みますが、多分に先天的なものです。しかし、熱意は、自分の意志で決められます。この能力と熱意はそれぞれ0点から100点まであり、それが積でかかると考えると、自分の能力を鼻にかけ、努力を怠った人よりも、自分には頭抜けた能力がないと思って誰よりも情熱を燃やして努力した人の方が、はるかに素晴らしい成果を残すことができるのです」と述べています。


稲盛哲学を語る!

 

そして、稲盛氏は一番重要なのは「考え方」であるとして、「考え方とは、人間としての生きる姿勢であり、マイナス100点からプラス100点まであります。つまり、世をすね、世を恨み、まともな生き様を否定するような生き方をすれば、マイナスがかかり、人生や仕事の成果は、能力があればあるだけ、熱意が強ければ強いだけ、大きなマイナスとなります。素晴らしい考え方、つまり人生哲学を持つか持たないかで、人生とは大きく変わってくるのです」と述べています。さらに、稲盛氏は「PROFIT (利益)」「AMBITION(願望)」「SINCERIRTY(誠実さ)」「STRENGTH(真の強さ)」「INNOVATION(創意工夫)」「OPTIMISM(積極思考)」「NEVER GIVE UP (決してあきらめない)」という経営七か条を唱え、7つの文字の頭文字を並べて「PASSION」を訴えました。わが社も、この考えによって経営されていると自負しています。


「利他」から「互助」へ

 

そして、稲盛氏から学んだ「利他」について話しました。コロナ危機によって「利他」への関心が高まっています。マスクをすること、行動を自粛すること、ステイホームすることなどは自分がコロナウィルスにかからないための防御策である以上に、自分が無症状のまま感染している可能性を踏まえて、他者に感染を広めないための行為でもあります。ブログ『思いがけず利他』で紹介した本を書いた政治学者の中島岳志氏は、いまの自分の体力に自信があり、感染しても大丈夫と思っても、街角ですれ違う人の中には、疾患を抱えている人が大勢いるだろうとして、「恐怖心を抱きながらも、電車に乗って病院に検診に通う妊婦もいる。通院が不可欠な高齢者もいます。一人暮らしの高齢者は、自分で買い物にも行かなければなりません。感染すると命にかかわる人たちとの協同で成り立っている社会の一員として、自分は利己的な振る舞いをしていていいのか」ということが各人に問われるといいます。

「他力本願」の意味について 

 

人間が自身の限界や悪に気づいたとき、「他力」がやって来ます。「他力本願」というと、「他人まかせ」という意味で使われますが、浄土教における「他力」とは、「他人の力」ではなく、「阿弥陀仏の力」です。「他力本願」とは、すべてを仏に委ねて、ゴロゴロしていればいいということではなく、大切なのは、自力の限りを尽くすことです。自力で頑張れるだけ頑張ってみると、わたしたちは必ず自己の能力の限界にぶつかります。そして、自己の絶対的な無力に出会うとして、中島氏は「重要なのはその瞬間です。有限なる人間には、どうすることもできない次元が存在する。そのことを深く認識したとき、『他力』が働くのです」と述べています。 それが大切なものを入手する偶然の瞬間です。重要なのは、わたしたちが偶然を呼び込む器になることです。

互助社会を実現しよう!

 

偶然そのものをコントロールすることはできませんが、偶然が宿る器になることは可能です。そして、この器にやって来るものが「利他」であるというのです。器に盛られた不定形の「利他」は、いずれ誰かの手に取られます。その受け手の潜在的な力が引き出されたとき、「利他」は姿を現し、起動し始めるのではないでしょうか。そして、「利他」の起動とは「互助」の発動でもあります。コロナ後の社会が目指す姿は、まさに互助社会です。そして、互助社会の中核をなすものこそ互助会です。最後に、「わが社は、互助社会を実現するための最先端企業でであり続けましょう!」と言って、わたしは1時間の社長訓示を終えました。オンライン参加者も含め、多くの熱い視線を感じたことは言うまでもありません。

最後はもちろん一同礼!

 

 

2022年9月12日 一条真也