グリーフケアTV取材

一条真也です。東京に来ています。
6日の12時から、グリーフケアについてのテレビのインタビュー取材を受けました。場所は、新橋の互助会ビルです。前夜、拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)を原案とするグリーフケア映画「愛する人へ」(仮題)のプロデューサーである益田裕美子さんと打合せしましたが、今回の取材内容は「愛する人へ」とも連動しており、同映画の中でも使われるとのこと。これは頑張らねば!

さあ、これから撮影です!

 

インタビューは、ドキュメンタリー監督で映像ディレクターの中村裕さんの質問に答える形で行われました。中村監督は、TBS「情熱大陸」、フジテレビ金曜プレステージ「最強ドクターシリーズ」、テレビ東京「土曜スペシャル」、NHK総合「NHKスペシャル」、NHKーEテレ「ETV特集」、NHK BS「新日本風土記」「旅のチカラ」などで知られます。受賞経験も豊富で、わが国におけるドキュメンタリー業界の第一人者です。

撮影準備のようす

 

まずは、「最初に『グリーフケア』に関心を持ったきっかけを教えてください」という質問で、わたしは「30年ほど前に、アメリカの葬儀社を視察したとき、セレモニーホールのロビーにたくさんの小冊子が置かれていました。それは、『夫を亡くした人へ』とか『お子さんを亡くした人へ』といった亡くなった人別に作られた遺族へのメッセージが書かれたブックレットでした。その内容を知って、さらに質疑応答をするうちに『グリーフケア』という考え方を知りました」と答えました。


インタビューのようす

 

次に、「アメリカで『グリーフケア』の実像に触れたときに感じた率直な思いをお聞かせください」という質問でした。わたしは、「『愛する人を亡くした人へ』にも書いたのですが、日本だと、誰が亡くなっても、遺族の方に対して『ご愁傷様です』とか『お悔み申し上げます』のように同じ言葉しか使いませんが、よく考えてみると、亡くした対象はさまざまです。わたしは、親御さんを亡くした人、御主人や奥さん、つまり配偶者を亡くした人、お子さんを亡くした人、そして恋人や友人や知人を亡くした人が、それぞれ違ったものを失い、違ったかたちの悲しみを抱えていることに気づきました。それらの人々は、いったい何を失ったのでしょうか。それは、『親を亡くした人は、過去を失う。配偶者を亡くした人は、現在を失う。子を亡くした人は、未来を失う。恋人・友人・知人を亡くした人は、自分の一部を失う』ということだと思います。さまざまな愛する対象を失った方々とお話するうちに、現実に悲しみの極限で苦しんでおられる方々の心が少しでも軽くなるお手伝いをしたいと思いました」と答えました。


インタビューのようす

 

次に、「貴社で取り組んだ『グリーフケア』の内容をお聞かせください」という質問に対しては、「ご葬儀の中でできることは先程のご質問の中でお応えさせていただきましたが、葬儀という儀式の外の取組みとして、2010年(平成22年)にムーンギャラリーという施設を作り、同時に『月あかりの会』という弊社でご葬儀を行ったご遺族様を中心とした遺族の会を立ち上げました。会では愛する方を亡くされたという同じ体験をした遺族同士の交流の中で少しでも自分の『想い』や『感じていること』を話すことが出来る場を提供することが出来ました。ひとりひとり喪失の悲嘆に対しての感じ方は異なりますが、同じ体験をしたという共通点を持ち、お互いに尊重しあい、気づかう関係性となっています。また交流を行う場の提供により『愛する人を喪失した対処から、愛する人のいない生活への適応』のサポートにもなっていると感じています。施設の中ではそれぞれが交流しやすいようにフラワーアレンジメントや囲碁や将棋など趣味や興味のあることが行えるようにしており、それぞれが交流しやすい場となっています。気をつけていることは活動についてスタッフもお手伝いはしていきますが、こちら側からの押し付けにならないように、あくまでもそれぞれの自主性を大切にするようにしています。すでに10年以上活動を続けていますが最初のころに参加された方は新しく参加された方へのケアのお手伝いをしたいなど新しい目標を見つけ、生きがいとなっている方も増えてきています。また、この他には亡くなった方を偲び供養のお手伝いとして毎年地域ごとに分かれセレモニーホールを利用し慰霊祭を行い、1周忌・3回忌を迎える方に参加していただいています」と答えました。


インタビューのようす

 

次に、「亡くした対象によって、なぜ異なるケアをしなくてはいけないのでしょうか?」という質問に対しては、「愛する人を亡くすという『喪失』に対して、『どのように感じるか』は個人ごとにすべて異なります。グリーフケアを行う際に気をつけなければいけないのは喪失の悲嘆に対しての感じ方の違いがあることであり、全ての方に有効な○○方式というものはないということです。ですから全て異なるケアとなります。またこの理由によりケアの対象となるのは集団ではなくひとりへの対応となり、ひとりの方に対して安心で安全な場を提供し傾聴をしていくことが大切なことになります」と答えました。

愛する人を亡くした人へ』を接写!

愛する人を亡くした人へ』(現代書林)

 

次に、「今、『グリーフケア』の必要性を強く感じるのはどんなときでしょうか?」という質問に対しては、「これまでの社会の中では様々な縁がありました。血縁や地縁ということがよく言われますが社会の中で生活する上ではそれ以外にもたくさんの繋がりがありました。また、地域社会には人が集まる場所として寺院などがありました。人と人との繋がりや交流の中でグリーフケアが行われ、死別という事象については葬儀という儀式を行うことによって行われるケアもあったと考えています。しかしながら、現代は『無縁社会』という言葉が生まれてしまうような時代となってきています。そして葬儀を行わないという選択肢を選ぶ方も増えてきているように感じています。そのためこれまであったケアの仕組みが効果を発揮することが出来にくいような現状となっています。悲嘆は「なくなる」ものではありません。悲嘆と一緒にこれから歩んでいくための手助けがグリーフケアです。心の状態は身体にも大きな影響を与えます。身体的な問題には鬱や睡眠障害を引き起こすということもあり、自死に至る可能性もあります。また人間関係のトラブルや社会に適応できないことも起こり得ます。グリーフケアを行うことはこのような問題を起こしにくくするお手伝いでもあり、現代社会においても社会そのものを健全に保つために不可欠なものだと考えています」と答えました。

死を乗り越える映画ガイド』を紹介

死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)

 

最後に、「これから、どんな『グリーフケア』を実践していきたいとお考えですか?」という質問に対しては、「現代社会では今まであったグリーフケアの仕組みが消失しつつあります。そのため今までの仕組みに変わるグリーフケアを実践する仕組みが必要であることを痛感しています。冠婚葬祭互助会業界ではグリーフケア士という資格認定制度を創設し、グリーフケアの実践のための人員の育成を行っています。これは2021年にグリーフケア資格認定制度として創設、上智大学グリーフケア研究所の全面監修をもとに一般財団法人冠婚葬祭文化振興財団が制度運営を行うものです。この制度によりグリーフケアを担う人員の育成を図り、グリーフを抱える方へのサポート、ケアするスキルを持った専門家となることで冠婚葬祭に関わるスタッフのグリーフケアに対する意識の向上とともに社会を健全に保つお手伝いを行っていけるような仕組みを実践していければと考えています。そして業界の利点として日本全国にセレモニーホールをはじめとして多くの施設があり、そこでグリーフケアを行うことが出来ることが考えられます。地域社会においてグリーフケアの拠点となることが出来るということです。今よりグリーフケアがより認知され、住んでいる近くにグリーフを抱える方へのサポート、ケアができる場所があり、実際にグリーフケアが行えるようなスタッフと仕組みがあるというようにしていきたいと考えています。またそこで集うことによって縁の再生のお手伝いが出来るようになればと考えています。これらにより社会全体を健全に保つことの一助となるような実践を行っていきたいと考えています。最後に、グリーフケアが目指すところには各自が死の不安を乗り越える『死生観』の確立があると思いますので、そのための読書や映画鑑賞などのアドバイスも行っていけたらと考えています。詳しくは、拙著『死を乗り越える読書ガイド』『死を乗り越える映画ガイド』(ともに現代書林)をお読み下さい」と述べて、インタビューは終了しました。


図書室に移動して撮影

グリーフケアの時代』を手に取る


資料を探すシーン


資料に読み耽るシーン


自著の前で記念撮影


自著の前でニッコリ!

 

その後、冠婚葬祭総合研究所の図書室に移動して、わたしがグリーフケアの資料を調べている場面が撮影されました。この図書室には一条本もたくさん置かれていますので、拙著を背景の撮影もしました。最後は、映画「愛する人へ」のゼネラルプロデューサーの志賀司さん、プロデューサーの益田裕美子さんと3人で記念撮影をしました。この日のインタビュー取材の内容は、来年の春頃、60分番組として全国のケーブルテレビで放映され、その後は80分の映画として再編集される可能性もあるそうです。グリーフケアへの業界の取り組みが少しでも世の中に広まっていくことを願ってやみません。


志賀さん(右)、益田さん(左)と3人で


最後は笑顔で😊 

 

2022年8月6日 一条真也