『ハートフル・ブックス』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『ハートフル・ブックス』(2010年4月刊行)

 

今回は、『ハートフル・ブックス』をご紹介します。2010年4月に刊行したブックレットです。125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」2008年3月15日号〜2009年10月17日号に連載した「ハートフル・ブックス」と題する書評エッセイをまとめたものです。『ハートフル・ブックス』の目次は、以下の通りです。

 

本を読んで心を太らせよう!
星の王子さま』 サン=テグジュペリ著(岩波書店
論語力』 于丹著、孔健監訳(講談社
中村久子自伝 こころの手足』 中村久子著(春秋社)
おとなになれなかった弟たちに・・・』 
米倉斉加年著(偕成社
娘よ、ここが長崎です』(新装版) 
筒井茅乃著(くもん出版
ハリー・ポッターと死の秘宝』(上・下) 
J・K・ローリング著(静山社)
良寛さんの愛語』自由訳 新井満著(考古堂書店)
三六九の子育て力』 越川禮子著(ポプラ社
サンタクロースっているんでしょうか?
中村妙子訳(偕成社
隣人祭り』 
アタナーズ・ペリファン&南谷佳子(木楽舎
悼む人』 天童荒太著(文藝春秋
納棺夫日記』 青木新門著(文春文庫)
おかあさんのばか』 細江英公 写真 古田幸 被写体と詩(窓社)
街場の教育論』 内田樹著(ミシマ社)
1Q84』(BOOK1・2) 村上春樹著(新潮社)
トムは真夜中の庭で』 
フィリパ・ピアス著 高杉一郎訳(岩波少年文庫
センス・オブ・ワンダー』 
レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳(新潮社)
ゆうきくんの海』 山元加津子著(三五館)
ネクスト・ソサエティ』 
P・F・ドラッカー著/上田惇生訳(ダイヤモンド社


心を太らせる「ごちそう」メニュー

 

わたしは、本が好きで、とにかく毎日読んでいます。会社を経営しているのでビジネス書も読みますが、その他にも歴史や哲学や科学の本、それに小説など、とにかく何でも読みます。本好きが高じて、自分でも本を書きますし、最近は大学の客員教授として学生さんたちに読書指導も行っています。 経営者としてのわたしは、『論語』やドラッカーの経営書などを繰り返し読み、その教えを活かしています。よく「読書が大事なことはわかっているけれど、忙しくて読むヒマがない」と言う人がいます。しかし、逆だと思います。本当は、「本を読まないから時間がない」のではないでしょうか?

 

ビジネス書には、努力の末に成功した人の知識や経験やノウハウがたくさん書かれています。その人が何年も何十年もかけて体得した奥義を、わずか1冊の本を読むだけで得ることができるのです。人間は経験のみでは、一つの方法論を体得するのに数十年もかかります。でも、他人の経験を借りて、それを一日で可能にする読書ならば、最短の時間と最小の労力で成功にたどり着けるわけです。そのうえで自分なりの工夫を加えればよいのです。つまり読書とは、時間を短縮するタイム・ワープの方法なのです。

 

プロイセンの鉄血宰相ビスマルクに「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という有名な言葉があります。西欧の人々は主にローマ帝国の衰亡史などを参考に人間理解をしてきました。日本人は『十八史略』や『三国志』などの中国の歴史書によって人間研究をしてきました。歴史を知れば、「驕る平家は久しからず」の言葉のように、傲慢になることを防ぎ、非常識な行為や馬鹿な真似をすることもありません。つまり、知恵がつくのです。

f:id:shins2m:20220222162333j:plain心ゆたかな読書』(現代書林)

 

そして、読書の最大の目的とは、心をゆたかにすることにあります。このブックレットでは、心をゆたかにしてくれる素敵な本たちを紹介しました。その中には、親子で楽しめる、童話や絵本なども含まれています。よい本は心のごちそうです。体はスリムな方が健康によいですが、心には栄養をたっぷり与えたいものです。どんどん本を読んで心を太らせてみませんか? なお、「ハートフル・ブックス」で取り上げた150冊の書評コラムは「ハートフル・ブックス」の連載は『心ゆたかな読書』(現代書林)にまとめられました。そちらも、ぜひ、御一読下さい。

 

2022年2月27日 一条真也