『ハートフル・シーズン』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『ハートフル・シーズン』(2010年4月刊行)

 

今回は、『ハートフル・シーズン』をご紹介します。2010年4月に刊行したブックレットです。サンレーグループでは、会員情報誌「ハートライフ」を発行しています。現在は、年2回の発行ですが、少し前までは年4回、つまり季刊でした。同誌の巻頭エッセイとして、2008年春号〜2009年冬号に連載されたものが、このブックレットに収録されています。その目次は、以下の通りです。

 

花は天国のものである

茶の大いなる慈悲

月を愛する日本人

雪は天からの手紙である

バラを愛する西洋人、
桜を愛する日本人

花火は、夜空のスペクタクル

ロウソクが世界を平和にする

クリスマスとお盆


季節が人生をゆたかにする

 

これらのエッセイは、春夏秋冬の4つの季節にあわせて書きました。わたしが好きなフランスの思想家アランによれば、季節とは人間が世界と結ばれる時であり、季節は固有のリズムをもっているそうです。このリズムに従って、人間に見合った叡智が芽を出し、生長し、開花し、埋葬され、再生するのです。つまり、季節というテーマからは、人間に見合った叡智が生まれやすいのでしょう。わたしも、それぞれの季節に従って、叡智とまではいかなくとも、心ゆたかな人生のためのヒントを読者の方々にお届けすることをめざして書きました。

 

冠婚葬祭互助会の会員情報誌に「季節」をテーマとしたエッセイを連載したことは、われながらまことに的を得ていたと思っています。なぜなら、わたしは、冠婚葬祭というものも季節のようなものだと思っているからです。「ステーション」という英語の語源は「シーズン」から来ているそうです。人生とは1本の鉄道線路のようなもので、山あり谷あり、そしてその間にはいくつもの駅がある。季節というのは流れる時間に人間がピリオドを打ったものであり、鉄道の線路を時間に例えれば、駅はさまざまな季節ということになります。

人生の四季を愛でる』(毎日新聞出版

 

そして、儀式を意味する「セレモニー」も「シーズン」に通じます。七五三や成人式、長寿祝いといった人生儀礼とは人生の季節、人生の駅なのです。わたしたちは、季語のある俳句という文化のように、儀式によって人生という時間を愛でているのかもしれません。そして、それはそのまま人生を肯定することにつながります。冠婚葬祭を行うということは、人生を肯定することなのです!

 

2022年2月10日 一条真也