『仁義礼智忠信孝悌』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきました。わたしのブックレットは一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『仁義礼智忠信孝悌』(2009年9月刊行)

 

今回は、『仁義礼智忠信孝悌』をご紹介します。2009年9月に刊行したブックレットです。わたしは、人類が生んだあらゆる人物の中で孔子をもっとも尊敬しています。孔子こそは、人間が社会の中でどう生きるかを考え抜いた最大の「人間通」であると確信していますその孔子が2500年前に説いた重要なメッセージを現代風に解説しました。このブックレットの目次構成は、以下のようになっています。

 

はじめに
 〜愛と思いやりこそ、すべての基本である〜
 大義名分を持たない者はほろびる〜
 〜人としてふみおこなうべき道を守る〜
 〜善悪の区別と自己を知る〜
 〜あらゆる人に真心で接し、誠を尽くす〜
 〜信がなければ人は動かない〜
 〜生命体の連続性を説く壮大なる観念〜
 〜年少者の想いと年長者の信頼〜


人間の心にまつわるコンセプト群

 

孔子は「仁」「義」「礼」「智」といった人間の心にまつわるコンセプト群の偉大な編集者でした。彼の言行録である『論語』は千数百年にわたって、わたしたちの先祖に読みつがれてきました。意識するしないにかかわらず、これほど日本人の心に大きな影響を与えてきた書物は存在しません。特に江戸時代になって徳川幕府儒学を奨励するようになると、必読文献として教養の中心となり、武士階級のみならず、庶民の間にも普及しました。

 

 

そして江戸時代の日本において、『論語』で孔子が述べた思想をエンターテインメントとして見事に表現した小説が誕生しました。滝沢馬琴が書いた『南総里見八犬伝』です。江戸時代最大のベストセラーになりました。その中に登場する八犬士が持っていた玉には、それぞれ「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の文字が浮かび上がりました。この8つの文字こそ、孔子儒教思想のエッセンスとしてまとめたコンセプト群であり、わたしたち日本人が最も大切にした「人の道」のキーワードでした。このブックレットでは、わたしなりに解釈した21世紀版「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」について紹介しています。


1973年4月2日から1975年3月38日までNHK総合テレビで放送された「新・八犬伝」という人形劇がありました。辻村ジュザブローの人形が魅力的でした。わたしはこの番組が大好きで、全464話のほとんどを観た記憶があります。たしか小学4年生から6年生にかけてのことです。塾などにも行かず、今から思えば良き時代でした。原作は滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』です。坂本九の名調子による口上、「因果は巡る糸車、巡り巡って風車」や、番組終了時の「本日、これまで!」が流行したことを記憶しています。


坂本九の口上人気にあやかって、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」という挿入歌も作られました。その歌詞の中に「いざとなったら玉を出せ」というフレーズが出てきます。その後には「力のあふれる不思議な玉を」というフレーズが続くのですが、伏姫が生んだ八犬士は、それぞれが「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の文字が浮き出て霊力を発揮する不思議な玉を持っているのです。そして、その玉を出せば、たいていの危機は乗り越えられるのでした。

f:id:shins2m:20220102003915j:plain
八つの玉に文字が浮かび上がる!

 

わたしは、テレビを観るたびに、その八つの玉が欲しくて仕方がありませんでした。誕生日やクリスマスのプレゼントに「八犬伝の玉が欲しい!」と親にねだりましたが、もちろん、そんなもの、どこにも売っていません。大人になったら、なんとか、その玉を探して手に入れたいと心の底から願っていました。母が知り合いの洋裁店から透明な球形のボタンを買ってきてくれて、錐を使ってそれに八つの文字を彫り込んだこともあります。


左が数珠で、右がブレスレット

 

ブログ「いざとなったら玉を出せ」で紹介したように、2010年2月、念願の「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の文字が浮き出る八つの玉を復元・作成しました。玉には水晶を使い、ブレスレットと数珠を作りました。このブレスレットは、世界孔子協会の孔健会長をはじめ親しい方々にもお贈りし、大変喜んでいただきました。同時に、解説書としてブックレット『仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌』を本名で書いた次第です。

 

2022年1月3日 一条真也