死後は序を待たず。
死は、前よりしも来たらず。
かねて後ろに迫れり。
(吉田兼好)
一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、鎌倉時代の随筆家である吉田兼好(1283年頃~1352年頃)の言葉です。日本三大随筆の1つと言われる『徒然草』を残しました。
吉田兼好は、別名を「兼好法師」といいます。なぜなら彼が出家しているからです。中学時代に『徒然草』を教科書などで読まされますが、ピンとこない人が多いようです。中学生になり、古文に接するわけですが、受験のために勉強した記憶しかないという人が多いです。いつも最後の数行は、教訓めいた話で終わり、なんだか年寄りの説教を聞いているようにも思えます。
今でも覚えているのが、「最近の若者は……」はといって、兼好法師が風潮を嘆く話です。いつの時代にも、人生の先輩(高齢者)から、若者を見れば、「最近の若い奴」はと言いたくなるわけです。わたしもそういう傾向が強まってきたのかもしれませんが・・・・・・。ただ、ある程度の年月を重ねると、兼好法師の心根が理解できるようになりました。ある意味、『徒然草』は老人文学の原点かもしれません。超高齢社会の今、老いの心情を改めて知るテキストだと言えるでしょう。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。ご一読下されば、幸いです。
2021年5月12日 一条真也拝