哲学は死の予行演習。
(ソクラテス)
一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、ソクラテス(紀元前469年~前399年)の言葉です。古代ギリシャの哲学者で、その思想は弟子のプラトンやクセノポンなどの著作により知られます。ソクラテスは自らの哲学を貫いた末に処刑されます。自らの死に直面したソクラテスの平静で晴朗な態度は、生死を超越した哲学者のあり方を示すものとされました。
ソクラテスほど、わたしたちに生と死について考えさせる哲学者はいないのではないでしょうか。彼は、常に人間の幸福というものを追求していました。ただ生きることは人間の生ではない。人間の生は人間らしい生でなければならず、それには「善く生きる」ことが大切である。そのためには「いかなる仕方でも、不正を犯してはならない」と。このように、ソクラテスは、倫理性こそが人間を人間であらしめていると考えたのです。
さらに人間が幸福になるためには、「哲学をすればよい」とソクラテスは言います。その幸福への道の哲学とは何かというと、「死の予行演習だ」と答えました。それは限られた人生の中で、本当に自分の生が充実するものはどこにあるかを探してみなければならないということです。さらには、肉体という牢獄に繋がれている魂が解放されて自由になることが「死」と「哲学」に共通した営みであるというのです。
この死の思想こそソクラテス哲学の神髄であり、弟子のプラトンにも受け継がれたものでした。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。
2020年12月2日 一条真也拝