死を乗り越える法然の言葉

f:id:shins2m:20200818154129j:plain

 

栄あるものも久しからず、
いのちあるものも
また愁いあり。(法然

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、法然(1133~1212年)の言葉です。平安時代末期から鎌倉時代初期の日本の僧です。比叡山天台宗の教学を学び、専ら阿弥陀仏の誓いを信じ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、死後は極楽へ往生できると説きました。浄土宗の開祖です。

 

選択本願念仏集 法然の教え (角川ソフィア文庫)

選択本願念仏集 法然の教え (角川ソフィア文庫)

  • 発売日: 2007/05/25
  • メディア: 文庫
 

 

死を迎えたとき、人はなかなかその現実を受け入れられないものです。死への恐怖を拭い去ってくれることが宗教の大きな役割ではないでしょうか。法然が生きた時代は、末法思想の中にありました。末法思想とは、釈迦が説いた正しい教えが世で行われ修行して悟る人がいる時代(=正法)が過ぎると、次に教えが行われても外見だけが修行者に似るだけで悟る人がいない時代(=像法)が来て、その次には人も世も最悪となり正法がまったく行われない時代(=末法)が来る、とする歴史観のことです。

 

 

そうした末法の世に生まれた人にとって、他の宗教が説いた聖道門の修行は堪え難く、浄土門に帰し、念仏行を専らにしてゆくことでしか救われる道は望めない――としたのが法然であり、浄土宗です。念仏を唱えることで死の恐怖から逃れられるとした法然の教えは、当時の人たちを救った行為だったと思います。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

2020年9月28日 一条真也拝