歌は「天啓」である(鎌田東二)

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一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、鎌田東二先生の言葉です。鎌田先生は日本を代表する宗教哲学者であり、上智大学グリーフケア研究所特任教授、京都大学名誉教授です。わたしは、大変親しくお付き合いさせていただいています。鎌田先生は宗教哲学民俗学、日本思想史、比較文明学などを幅広く研究されるかたわら、石笛・横笛、法螺貝を奏することで有名ですが、自称「神道ソングライター」という稀代の歌い手でもあります。


(020)歌と宗教 (ポプラ新書)

(020)歌と宗教 (ポプラ新書)

  • 作者:鎌田東二
  • 発売日: 2014/01/07
  • メディア: 新書

 

数百曲以上の「神道ソング」は、驚くべきことに3分で出来てしまったそうです。ちなみに、わが社の社歌である「永遠からの贈り物」も、渋谷から大宮までの電車の車中で作られたとか。その神ワザのような速度について、鎌田先生はブログ『歌と宗教』で紹介した著書の中で「わたしの曲はもうすでにどこかにあるもので、それをダウンロードするような形で自分の中に引っ張りこんでくるだけだからだ。」と語られています。


神道ソングを歌う鎌田先生

 

鎌田先生は紀貫之が記した古今和歌集の仮名序やピタゴラスの天球の音楽などを引用しながら、歌の力が及ぶものは、人間の目に見える、可視的な空間だけではないと喝破。森羅万象とは霊的な、隠神(いみのかみ)の住む世界でもあり、可視界と不可視界の両方を含む全体であり、歌はそういう目に見えない影の霊的存在をも感動させる力を持っていると述べておられます。


「礼楽」を実現する(?)ムーンサルト・カラオケ♪

 

そして、鎌田先生は歌の本質について、「歌は『天啓』である。天から降ってくる律動であり、それとうまく通じ合い、それをうまく受信できる状態にどうやって自分を置くことができるかが重要になる」と解明されています。うまいヘタのレベルではなく、いのちあるものとして応答しなくてはならないという思いが「神道ソング」の世界なのだそうです。歌は、宗教や人種や民族を超越したものであるがゆえに、鎌田先生は「神道ソングライター」として、明るい世直しを実践されているのです。そういえば、7月5日は満月ですね。先程、鎌田先生とわたしの満月の夜のWEB往復書簡である「ムーンサルトレター」の第183信をお送りしました。

 

2020年7月5日 一条真也