「隣人祭り」のある街

一条真也です。
18日、松柏園ホテル の神殿で月次祭を行います。
その後は「天道塾」で講話し、それから東京に出張します。
この日、「西日本新聞」に「令和こころ通信 北九州から」の第4回目が掲載されました。月に2回、本名の佐久間庸和として、「天下布礼」のためのコラムをお届けしています。今回のタイトルは「『隣人祭り』のある街」です。

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西日本新聞」2019年6月18日朝刊 

 

隣人祭り」というものをご存知でしょうか。おそらく、名前くらいは聞いたことのある方が多いと思います。「隣人祭り」とは、一言で表すなら、地域の高齢者を中心とした食事会です。先月末、北九州市八幡西区にある高齢者複合施設「サンレーグランドホテル」で国内最大級の「隣人祭り」が開かれました。年1回の世界同時開催で、時差はあるにせよ、海外の諸都市でも同日に開催されました。約200人が参加し、「隣に人が居る」という当たり前の幸せを世界中の人々と共有しました。

 

隣人祭り」は、今やヨーロッパを中心に世界30カ国以上、1千万人もの人々が参加するといいます。その発祥の地はフランスで、パリ17区の助役アタナーズ・ペリファン氏が提唱者です。きっかけは、パリのアパートで1人暮らしの女性が孤独死し、1カ月後に発見されたことでした。ペリファン氏が駆けつけると、部屋には死後1カ月の臭気が満ち、老女の変わり果てた姿がありました。同氏が同じ階に住む住民に話を聞くと、「一度も姿を見かけたことがなかった」と答えたといいます。

 

大きなショックを受けたベリファン氏は「もう少し住民の間に触れ合いがあれば、悲劇は起こらなかったのではないか」と考えました。そして、NPO活動を通じて1999年に「隣人祭り」を人々に呼び掛けたのです。最初の年は約1万人がフランス各地の「隣人祭り」に参加したが、2003年にはヨーロッパ全域、その後は世界中に広がり、08年には日本にも上陸しました。

 

そして同年10月、サンレーグランドホテルで九州初の「隣人祭り」が開催されたのである。ホテルの恒例行事であった「秋の観月会」とタイアップして行われたのですが、当時は孤独死が増え続けていた北九州市での「隣人祭り」開催とあって、マスコミの取材もたくさん受け、大きな話題となりました。現在、わが社は NPO法人ハートウェル21と連動しながら、「隣人祭り」を中心とした隣人交流イベントのお手伝いを各地で行なっています。今年も750回以上の開催サポートを予定しています。そして、その多くは北九州市での開催です。

 

隣人祭り」はご近所さんが集まってお茶や食事をする営みの総称であると、わたしは考えています。日本には「お花見」や「井戸端会議」など、昔からの隣人文化がありました。そこには、お隣さんやご近所さんとほどよい距離で長くお付き合いする知恵があったのです。そんな昔ながらの知恵を今の暮らしに合ったスタイルで見直そうというのが、わが社がサポートさせていただいている「隣人祭り」です。
ぜひ、みなさんも「隣人祭り」へ!

 

2019年6月18日 一条真也