中別府温和先生    

一条真也です。
16日、とても嬉しく忘れがたい出来事がありました。わたしの精神に多大な影響を与えて下さった恩師にお会いしたのです。じつに、26年ぶりの再会でした。恩師のお名前は、中別府温和(はるかず)先生といいます。


恩師の中別府温和先生と



中別府先生は宗教人類学者で、宮崎公立大学の元学長さんです。ゾロアスター教の研究がご専門です。ゾロアスター教は「拝火教」とも呼ばれますが、誕生したペルシアでは廃れ、現在はインドの一部に信者を残すのみです。まさに、中別府先生は彼らの信仰や世界観について研究されてきました。もちろん、この分野では日本における第一人者です。



中別府先生は、わたしの高校時代に家庭教師をやっていただいた方です。主に英語を見ていただいていたのですが、そのときの休憩時間に中別府先生からさまざまな宗教や呪術や儀式の話を聞いたことが、現在のわたしの考え方に影響を与えていることは確実です。そして、先生のお話の中でも、ご専門であるゾロアスター教の話は非常に興味深く感じました。



この日、宮崎から小倉にお越しになった中別府先生と松柏園ホテルの貴賓室でお会いしましたが、父と弟も一緒でした。弟も高校時代に家庭教師をやっていただいていました。先生は、佐久間家が大変お世話になった方なのです。父は中別府先生の結婚披露宴に参列し、中別府先生はわたしと弟の結婚披露宴に参列して下さいました。久々の再会に、父と弟も喜んでいました。「温和」という先生のお名前の通りに、温厚で和やかな人柄は昔のままでした。

儀式論

儀式論

  • 作者:一条 真也
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2016/11/08
  • メディア: 単行本

父と弟が退室した後、中別府先生とわたしは2人きりで1時間ほど話しました。先生はわたしのことを昔のように「庸和君」と呼んで下さり、なつかしかったです。わたしはもっとお話したかったし、そのまま夕食も共にしたかったのですが、先生にはその後のご予定が入っておられ、残念でした。
わたしたちはさまざまな話をしましたが、拙著『儀式論』(弘文堂)を読まれたという先生が「弘文堂からあれだけの著作を出すなんて大したものです。また、あらゆる儀式に関する文献を渉猟していますね。庸和君の儀式に対する想いや使命感もよく伝わりました」と言って下さり、感激しました。


構造人類学

構造人類学

その上で、先生は「次に儀式について書かれるときは、これを参考にするといいですよ」と言われて、ブログ『構造人類学』で紹介した本のコピーを渡して下さいました。すでに読んだ本でしたが、先生がコピーして下さった第9章「呪術師とその呪術」、第10章「象徴的効果」を読み返すと新しい発見がありました。その他、わたしの著作活動や大学の客員教授としての活動についても、貴重なアドバイスをたくさん頂戴しました。


中別府先生から頂戴した『広辞苑』最新版



おみやげに、『広辞苑』の最新版(第7版)も頂戴しました。
ブログ「出口治明氏」で紹介したように、わたしは昨日、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長室を訪問しましたが、そのとき出口学長の机に上に置かれていたのが『広辞苑』第7版でした。中別府先生は「最後は、これ一冊あれば、庸和君なら本が書けるのではないかと思って・・・」と言いながら笑顔で渡して下さったのですが、こんなに重くて高価なものを宮崎からわざわざ風呂敷に入れて持参して下さったことに、わたしの胸はいっぱいになりました。



それから、中別府先生は「自分では気づかないかもしれませんが、庸和君はお父様によく似てきましたね。何気ない仕草や話し方なんか、そっくりですよ」と言われ、さらに「執筆活動を含めて、庸和君の生き方そのものがお父様の思想を見事に継承していると思います」とも言われました。
先生の言葉をお聞きしたわたしは、素直に嬉しかったです。


唯葬論 なぜ人間は死者を想うのか (サンガ文庫)

唯葬論 なぜ人間は死者を想うのか (サンガ文庫)

  • 作者:一条真也
  • 出版社/メーカー: サンガ
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: 文庫

それから、『唯葬論』(サンガ文庫)の「解説」で宗教哲学者の鎌田東二先生がわたしたち父子について書かれた文章に言及され、「庸和君は将来、お父様のような人になると思いますよ」と言われました。最後に、先生は「お父様は、昔からまったくブレていない。すごいことです。事業はもちろんですが、その生きざまというか、存在そのものが儀式ですよ」と述べられました。わたしは、「ああ、中別府先生は四半世紀以上も会わなくても、わたしたち父子のことをこんなに考えて下さっている」と思い、感激で胸がいっぱいになりました。


中別府先生は永遠の師です!



中別府先生、今日はありがとうございました。お会いできて、本当に本当に嬉しかったです。中別府先生は、永遠の我が師です。
今後とも、御指導下さいますよう、よろしくお願いいたします。今度はわたしが宮崎までお訪ねしますので、ぜひ一献傾けたいです!



2018年3月16日 一条真也