真の贅沢とは人間関係の贅沢である (サン=テグジュペリ)


一条真也です。
2018年最初の名言をお届けいたします。
フランスの作家サン=テグジュぺリの言葉です。彼は、名著『人間の土地』で「真の贅沢とはひとつしかない。それは人間関係の贅沢である」と述べました。これは、冠婚葬祭を業とするわたしにとって、宝石のような言葉です。

わたしたちが生きる社会において、最大のキーワードは「人間関係」ではないでしょうか。社会とは、つまるところ人間の集まりです。そこでは「人間」よりも「人間関係」が重要な問題になります。そもそも「人間」という字が、人は一人では生きてゆけない存在だということを示しています。人と人との間にあるから「人間」なのです。だからこそ、人間関係の問題は一生つきまといます。  


わが社では、「人間尊重」を大ミッションに、「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをする」を小ミッションに定め、全社員がいつも「良い人間関係づくり」について考え、行動しています。具体的には、独身の若者や1人暮らしのお年寄り同士を紹介し合ったり、カルチャー教室を運営したり、旅行やイベントを企画・開催したり、さらには「隣人祭り」を開くお手伝いなどをしています。

最近、参列者が1人もいないという葬儀が増えてきました。 そんな孤独な葬儀を「孤独葬」と呼びます。私も立ち会ったことがありますが、故人が気の毒で仕方ありませんでした。亡くなられた方には家族もいたでしょうし、近所の人や友人、仕事仲間もいたことでしょう。配偶者や子、孫もいたかもしれません。なのに、どうしてこの人は独りで旅立たなければならないのかと思えてならないのです。


現代日本社会では、「孤独死」が問題となっています。しかし、それ以上に問題なのは「孤独葬」だと思います。なぜなら、当然ながら誰でも人は1人で死んでいきます。でも、誰にも見送られずに旅立つというのはあまりにも寂しいではありませんか。遺影をながめながら「この人は何のために生まれ、何のために生きてきたのだろう」と思うと、本当にお気の毒で涙が出てきます。


映画「おくりびと」が世界的な話題になりましたが、人は誰でも「おくりびと」、そして最後には「おくられびと」になります。サン=テグジュぺリの言うように「真の贅沢とはひとつしかない、それは人間関係の贅沢である」ならば、多くの「おくりびと」を得ることが人間の最高の贅沢ではないでしょうか。なお、今回の名言は『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)にも登場します。

2018年1月21日 一条真也