人間の最終目標は「一者」への合一(プラトン)


一条真也です。
ブログ『幸福の哲学』で紹介した本には、古代ギリシャの哲学者であるプラトンの思想が紹介されていました。プラトンの宇宙のとらえ方は独特です。
その根本思想とは何か。それは、この現実界は仮の世界であって、イデアの世界という真の世界が存在するというものです。さらに、世界は、その根元における「一者」を頂点として成り立っているというのです。
プラトンの代表的著作である『国家』に詳しく述べられています。


国家〈上〉 (岩波文庫)

国家〈上〉 (岩波文庫)

国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)

国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)

「一者」とは、もっとも単純なものであり、あらゆるものがそこから出現していく多様性と統一性であり、「善」であると同時に「完全」でもあるといいます。
「一者」は、全宇宙に偏在しており、自然の事物の1つ1つの中には必ず「一者」が隠されている。人間は、仮の住まいである肉体を去って、魂の目によって宇宙を見るとき、その中に真の秩序としての「コスモス」を見る。このコスモスは人間の魂の中の内的宇宙でもあり、ここにおいてマクロコスモスとミクロコスモスは合一します。



プラトンによれば、人間の最終目的とは、「一者」への合一です。それを果たすのは、魂が肉体を去るという「解脱」であり、それとともに魂の「帰還」の旅です。人間は、本来の魂の故郷であるイデア界に「帰還」すべき存在なのです。このような一見、宗教的とも思えるプラトンの宇宙観、霊魂観は、その後もルネサンスの新プラトン派の人々をはじめ、多くの哲学者たちに多大な影響を与え、その影響は現在にいたるまで続いています。



このように、プラトンの思想のキーワードの1つは「一者」であると言えますが、これは「神」の別名であることがお分かりいただけると思います。
プラトンの求めた宇宙の「法則」には「神」が関わっていたのです。
なお、今回のプラトンの言葉は、『法則の法則』(三五館)にも登場します。


法則の法則―成功は「引き寄せ」られるか

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*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2017年4月7日 一条真也