ウイジャボード

一条真也です。
シルバー・ウィークは執筆三昧でどこにも出掛けていませんが、息抜きに死者と交信しています。それはまあ冗談ですが、実際に死者と交信できるとされているウィジャボード(OUIJA BOARD)をアマゾンで入手しました。ずっとこれが欲しくて、イギリスに行くたびにアンティーク・ショップなどで探していたのですが、なかなか見つけることができませんでした。
それにしても、まさかアマゾンで簡単に購入できたとは!


アマゾンで購入しました

箱を開けると、中から・・・・・・



ウィジャボードは、降霊術もしくは心霊術を崩した娯楽のために用いる文字版です。オカルト映画などでお馴染みですが、1892年にパーカー・ブラザーズ社が占い用ゲーム用品として発売した商品だそうです。
ウイジャ(Ouija)の「Oui」は「はい」を意味するフランス語で、「Ja」は「はい」を意味するドイツ語です。つまり、どちらとも英語の「Yes」を意味する言葉を合わせた造語なのです。


これがウィジャボードだ!


ウィジャボードの文字を指し示すプランシェットが動く理由は良く分かっていません。しかしながら腕の筋肉電位と同時にプランシェットの動きを測定すると、プランシェットが動き始める前に筋肉が収縮しています。このため、霊魂がプランシェットを動かすのではなく、術者の無意識な動きによるオートマティスムの一種と考えられているようです。テーブル上の文字盤を使ってメッセージを読み取る作業を「テーブル・ターニング」といいます。その起源は明確ではありませんが、レオナルド・ダ・ヴィンチが自著において「テーブル・ターニング」と同種の現象に言及しています。ですので、すでに15世紀のヨーロッパでは既に行われていたとも推測されます。


交霊への願いから生まれました

ウィジャボードと『唯葬論



ウィジャボードは、19世紀中盤に始まる心霊主義に起源を持ちます。
当時は人の死後の霊魂と会話するために振り子や自動筆記などの技術を用いていました。心霊主義については、わたしは『唯葬論』(三五館)の中の「交霊論」で詳しく紹介しました。


なぜ、わたしが急にウィジャボードを欲しくなったかというと、「襲い呪い殺す」というオカルト・ホラー映画をDVDで見たからです。「呪い襲い殺す」とは凄まじい邦題ですが、原題は「OUIJA」といいます。その映画に登場するウィジャボードが欲しくなったのです。「襲い呪い殺す」は、降霊術の恐怖を描き観る者を精神的に追い込む映画です。突然自殺した友人デビーの死を不審に思ったレーンは、友人グループを誘ってウィジャボードを使ってデビーの霊を呼び起こそうとします。ところが、古い亡霊ボードの邪悪な力を呼び覚ましてしまいます。実は、友人の死は単なる事故ではなく、その背景に忌まわしい存在のあったことが明らかになっていくストーリーです。


西洋で流行した「テーブル・ターニング」は、数人がテーブルを囲み、手を乗せます。やがてテーブルがひとりでに傾いたり、移動したりします。出席者の中の霊能力がある人を霊媒として介し、あの世の霊の意志が表明されると考えられました。また、霊の働きでアルファベットなどを記したウィジャボードの文字を指差すことにより、霊との会話が試みられました。


日本においては、1884年に伊豆半島沖に漂着したアメリカの船員が自国で大流行していた「テーブル・ターニング」を地元の住民に見せたことをきっかけに、日本でも流行するようになりました。これが「コックリさん」のルーツです。そう、ウィジャボードとは「コックリさん」の西洋版なのです。「コックリさん」は「狐狗狸さん」とも書き、一般に低俗な動物霊と言われています。
1970年代にはつのだじろうの漫画『うしろの百太郎』の作中でコックリさんが紹介され、少年少女を中心としたブームになりました。わたしも小学校の頃、よく遊んだものです。コックリさんと呼ばず「エンジェルさん」などと呼びかえるバリエーションも存在しますが、これも同じ効果と言われています。


ウィジャボードを持って・・・・・・



コックリさんと違って、ウィジャボードはオシャレなイメージです。みなさんも、お彼岸にはウィジャボードで故人とお話しされてはいかがですか?
わたしは、けっして遊びでウィジャボードを入手したのではありません。死者を想い、死者と交流するさまざまな文化に触れたいと思っているのです。
なぜなら、わたしは「死者への想いが文化を発展させた」と考える唯葬論者だからです。また、次回作として『儀式論』(仮題、弘文堂)を書く準備をしていますので、その研究素材の1つとして、西洋のポピュラーな死者儀礼の道具であるウィジャボードを入手した次第です。そこをよくご理解下さい。
けっして単なるオカルト・マニアではありませんよ!


唯葬論

唯葬論

*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年9月22日 一条真也