一条真也です。
18日の午後、ブログ「西田幾多郎記念哲学館」で紹介した石川県かほく市の施設を訪れた後、わたしは金沢市にある「鈴木大拙館」に向かいました。
鈴木大拙館の前で
じつにモダンな建築です
鈴木大拙館の看板とともに
鈴木大拙館の館内で
西田幾多郎記念哲学館を訪れた際、その入場券の半券で鈴木大拙館を無料で見学できると知り、「それならば!」と訪問したのです。哲学の世界ではかの西田幾多郎や鈴木大拙が金沢の地で思索し、世に出ました。もともと、西田幾多郎と鈴木大拙は金沢が生んだ二大思想家と言えます。
西田はプラトンやカントにも比べられる日本最大の哲学者といわれ、大拙は日本人でもっとも世界によく知られた禅哲学者、宗教学者、宗教者です。彼によって欧米における禅(ZEN)ブームが起こり、今日の欧米人の日本理解や東洋への関心も大拙の功績だと言われています。
西田と鈴木は生涯の大親友でした
西田幾多郎も鈴木大拙も日本が世界に誇りうる大思想家ですが、実は同年齢の二人は金沢の地で親交を深め、生涯の大親友となり、西田の臨終は大拙が看取りました。ちなみに金沢が生んだ作家である泉鏡花の臨終は友人の柳田國男が看取っています。
明るい空間です
大拙の肖像写真とツーショット
大拙著書コーナー
大拙洋書コーナー
さて鈴木大拙館ですが、公式HPには以下のように説明されています。
「鈴木大拙館は、金沢が生んだ仏教哲学者・鈴木大拙の考えや足跡を広く国内外の人々に伝えることにより、大拙についての理解を深めるとともに、来館者自らが思索する場として利用することを目的に開設されました」
鈴木大拙館は建築家の谷口吉生氏の設計で、2011年7月にオープンしています。それにしても、西田幾多郎の記念館を設計したのが安藤忠雄で、鈴木大拙が谷口吉生というのも凄い話ですね。日本を代表する哲学者と建築家による時代を超えたスーパー・コラボです!
公式HPでは、大拙館の施設概要について以下のように説明しています。
「敷地の特長である小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針としました」
庭を眺めながら瞑想しました
魂が自由になっていく感じがしました
さらに公式HPでは以下のように書かれています。
「建築は、『玄関棟』『展示棟』『思索空間棟』を回廊で結ぶとともに、『玄関の庭』『水鏡の庭』『露地の庭』によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています」
「水鏡の庭」を眺めながら、わたしはしばしの間、瞑想しました。
瞑想していると魂が自由になっていく感じがして、なんだか死ぬことが怖くなくなるような気がしました。わたしは、来月刊行予定の『唯葬論』の内容について思いを馳せました。『唯葬論』には「哲学論」という一章が設けられていますが、もともと「哲学とは死の学び」とソクラテスは言いました。
わたしは、紫雲閣のようなセレモニーホールも「死」を想う哲学空間であるべきだと思いました。これから実現していくつもりです。
*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。
2015年6月19日 一条真也拝