『西晋一郎語録 人倫の道』

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一条真也です。ブログ「長崎原爆の日」に書いたように、8月9日は、わたしにとって特別な日です。今年は会社が休みでしたので、原爆投下時間の11時2分に自宅のリビングルームで黙祷しました。
それから、『西晋一郎語録 人倫の道』寺田一清編(致知出版社)を再読しました。「東に西田あり、西に西あり」と、かの西田幾多郎と並び称せられた日本最高の哲人・西晋一郎の語録集です。彼は、ブログ『一粒の麦』で紹介した社会思想家の丸山敏雄、ブログ『人生二度なし』で紹介した名著などの著者である教育思想家の森信三の共通の師です。



日本における「最後の哲人」と呼ばれた森信三が、「西博士と西田博士」なる講演で2人について語っています。
「このお二人は、ある意味では鎌倉期における道元親鸞のように、今後も永久にその開始者としての栄誉を保つ方ではあるまいか。即ちこの二人の巨大な創始者の偉業を越える思想家というものは、将来いつの日か果して出現するか、私には見当がつかない」
いかに西晋一郎なる人物がすごかったのかがよくわかりますね。



森信三の薫陶も受けた編者は41歳にして開眼の機を得たといいますが、それは西晋一郎の「父母の恩の有無厚薄を問わない。父母即恩。」という一語であったとか。この一語からもわかるように、西は親の恩、そして「孝」の重要性を特に説いた。日本で「孝」を説いた人といえば、近江聖人こと中江藤樹が思い浮かびますが、西はまさに「藤樹学中興の祖」とされた人なのです。また、藤樹のみならず、石田梅岩二宮尊徳といった先哲による「忠孝論」の継承者でもありました。



「この身あるは親があり家があるからであり、親があり家があるは国があるからであり、国があるは国の歴史があり、国の精神があるからである。」と喝破した西晋一郎。彼の言葉の数々は、国家意識、親や年長者に対する畏敬の念、物に対する愛重の念、それらを喪失した現代日本人への痛烈なメッセージとなっています。
なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。


面白いぞ人間学―人生の糧になる101冊の本

面白いぞ人間学―人生の糧になる101冊の本

*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年8月9日 一条真也