渡辺淳一さんらしいお別れ

一条真也です。
29日は、都内ホテルで「週刊現代」の取材を受ける予定でした。
タイトなスケジュールでしたが、「死」を特集した企画であり、「勇気の人」こと矢作直樹先生も一緒に取材を受けられるとのことでしたので、何とかやり繰りして時間を作りました。今日の18時から取材の予定だったのですが、なんと急きょ「特集企画そのものが見直された」とのことでキャンセルになりました。最近、同誌ではブログ『0葬』で紹介した本で島田裕巳氏が提案されている「0葬」をよく取りあげています。今日はその反論を大いに述べようと思っていたのですが、まことに残念です。


朝日新聞」7月29日朝刊



でも、「0葬」の正反対のような心ゆたかなセレモニーが昨日行われたことを知りました。作家の故・渡辺淳一さんの「お別れの会」です。渡辺さんは4月に80歳で亡くなられましたが、そのお別れの会が28日、都内で開かれました。親交のあった作家や俳優ら約900人が集まったそうです。
わたしはフジテレビの「とくダネ!」や「ノンストップ!」で会の様子を見ましたが、祭壇の花が見事で、故人が笑っている遺影も素敵でした。


フジテレビ「とくダネ!」より



渡辺さん原作の映画にたくさん出演した津川雅彦さん、映画「愛の流刑地」に出演した豊川悦司さん、作家仲間の後輩である北方謙三さんらも参列していましたが、なんといっても渡辺さん原作の映画やドラマに出演した美しい女優陣の姿が目を引きました。三田佳子さんをはじめ、「化粧」に出演した名取裕子さん、映画「失楽園」に出演した黒木瞳さん、ドラマ「失楽園」に出演した川島なお美さんらも別れを惜しみました。


フジテレビ「ノンストップ!」より



名取裕子さんは、「おしゃれをしていると、気がついてくれて、めでてくれて。ああいう方がいるから女も張り合いがある。粋なすてきな方でした」と話したそうです。また、黒木瞳さんは「先生には、究極の愛を教えていただいた」とコメントし、川島なお美さんは「先生は平成の光源氏。たくさんの女性を泣かし幸せにした」と述べたとか。これだけの美女に囲まれてお別れの会が開かれるなんて、すべての男性にとっては理想でしょうが、じつに渡辺淳一さんらしいお別れであると思いました。渡辺さんは、誰よりも濃密な性愛描写の恋愛小説を書いた作家ですから・・・・・・。渡辺さんはまた、「不倫こそ純愛」という名言も残されています。とても深い言葉ですね。石田純一さんも「不倫は文化」ではなく「不倫は純愛」と言えばよかったのに!


「スポーツ報知」7月29日号



ブログ「春一番さんらしいお別れ」ブログ「周富徳さんらしいお別れ」にも書きましたが、あらゆる生命体は必ず死にます。もちろん人間も必ず死にます。親しい人や愛する人が亡くなることは、誰にとっても悲しいことです。しかし、死そのものは決して不幸なことではありません。残された者は、死を現実として受け止め、故人がこの世で生きた意味を知る必要があります。葬儀は故人の人となりを確認すると同時に、そのことに気がつく場です。


「あの人らしかったね」といわれる 自分なりのお別れ<お葬式>

「あの人らしかったね」といわれる 自分なりのお別れ<お葬式>

「あの人らしかったね」といわれる自分なりのお別れ』(扶桑社)にも書きましたが、葬儀は旅立つ側から考えれば、「最高の自己実現」であり、「最大の自己表現」であると思います。見事な「あの人らしかったね」といわれるお別れをされた渡辺淳一さんのご冥福を心よりお祈りいたします。合掌。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2014年7月29日 一条真也