茂木健一郎&奥田知志講演会

一条真也です。
ブログ『「助けて」と言える国へ』で紹介した本の出版記念講演会が8日の15時から開かれ、著者である茂木健一郎氏と奥田知志氏が大いに語り合いました。開始前、控室で茂木氏と初めて対面しました。


控室で茂木健一郎氏と

奥田理事長の挨拶

山崎名誉教授の祝辞

集英社の鯉沼副編集長からの挨拶

わたしは「祝辞と書評」を述べました



会場は300名限定でしたが、多くの方々が訪れ、満員でした。まず最初に、主催者であるNPO法人北九州ホームレス支援機構を代表して、奥田理事長の挨拶があり、続いて、北九州市立大学名誉教授の山崎克明氏からの祝辞、集英社文芸部編集部の鯉沼広行副編集長から挨拶がありました。そして、最後はわたしが登壇しました。詳しい内容は、ブログ「書評スピーチ」をお読み下さい。


講演する茂木健一郎

わたしの名も出してくれました



まずは茂木健一郎氏が講演をされました。
茂木氏は最初に、「イチロー選手、本田圭佑選手、宮崎駿監督、そして奥田知志さん、この4人に共通することは何でしょうか?」と問われました。そして、「その答は、NHKの『プロフェッショナル 仕事の達人』という番組に2回登場したということです」と言われました。なるほど、確かにそうですね。改めて、奥田氏の偉業を再確認しました。それから、茂木氏は「一条さん、奥田さん、松本清張、それにリリー・フランキーと、小倉の人はみな温かい人が多いというか、人間力がある方が多いですね」と、わたしの名前を出して下さり、恐縮しました。


谷本氏によるヴァイオリンのミニ・コンサート



その後、ヴァイオリニストの谷本仰氏のミニ・コンサートが開かれました。
自身もホームレス支援に尽力されている谷本氏による演奏で、ドヴォルザークの「新世界より」をはじめ、数曲を披露してくれました。
「遠き山に陽は落ちて」で知られる「新世界より」って、新世界の素晴らしさを讃えているのではなく、元の世界を懐かしんでいる曲なのですね。
わたしの大好きな曲なのですが、それは初めて、知りました。


茂木氏・奥田氏の対談のようす



それから主役の御両人の対談が行われましたが、非常に深い内容で、とても考えさせられました。まさに、現代日本ソクラテスとイエスが語り合っているようでした。ブログ『「助けて」と言えない』にも書きましたが、お二人の対談を聴きながら、「ああ、音楽を聴いているようだ」と思いました。
奥田氏を楽器で喩えるならばチェロ。ヴァイオリンのような華やかさではなく、逞しく、そして人を優しく包みこむ暖かな音色。一方の茂木氏はピアノ。独奏楽器の代表格であり、あらゆる音楽的表現が可能な楽器です。茂木氏は、ショパンやリストのように華麗にして技巧的な独奏が可能な方ですが、この対談においては、チェリストに敬意を表しながら、チェロが引き立つような好演をされています。本来はヴァイオリンや歌手のパートをチェロが奏でるという対談内容そのものが、「使命という風が吹いたときに、それに身をゆだねることができる人」という奥田氏のプロフェッショナルの定義を彷彿とさせるように思いました。


まるで漫才みたいでした



また、お二人の対話はとてもユーモアがあって、まるで漫才を聴いているようでもありました。とにかく二人とも話術がハンパではなく巧みなので、本当に楽しい講演でした。こんな講演の達人たちの前座を務めたなんて、穴があったら入りたい心境です。お二人の話は非常に面白く、それでいて温かい対話でした。


ハートフルな気分になりました



最後に、奥田氏が安倍晋三首相の『美しい日本へ』という著書を意識されて、『「助けて」と言える国へ』という書名を決めたと話されていました。
さらに奥田氏は、『「助けて」と言える国』こそが「美しい国」であると述べておられました。今日は、茂木健一郎氏、奥田知志氏という心ある方々のお話をたっぷり聴いて、ハートフルな気分になりました。
わたし自身も、非常に良い経験をさせていただきました。


森松常務理事の締めの挨拶

奥田夫人の活けられた花



最後は、ホームレス支援機構の森松長生常務理事が締めの挨拶をされました。
森松常務理事の「これからも、助けてください!」という一言が爽快でした。
なお、今日は早めに会場入りしたら、奥田氏の奥様にお会いしました。
奥様は小原流の師範ということで、ステージ上の花を活けておられました。
その花はとても美しく、わたしは「ああ、こういう美しい花を活けられる奥様が奥田さんを支えておられるのだな」と思うと、すごく納得できました。「助けて」と言える国が「美しい国」であることを、この花はすべて語っているように思います。


茂木健一郎・奥田知志両氏と


*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年9月9日 一条真也