一条真也です。
21日は、ブログ「父の一周忌法要」、ブログ「墓石開眼供養&納骨式」で紹介した儀式の翌日なので、ちょっと疲れ気味でした。ちなみに、この日は「国際平和デー」だそうです。10月21日の「国際反戦デー」とは違います。
「国際平和デー」のイメージ・イラスト
国際平和デー(9月21日)は、国連が定めた国際平和を記念・推進する日であり、世界中の人々に対して停戦と非暴力、そして敵対行為の停止を呼びかけ、平和の大切さや尊さを考えるきっかけとなることを目的としています。この日は国連本部で「平和の鐘」を鳴らす特別行事が行われるほか、世界各地で平和を願う活動が展開されます。
「平和の日」(Peace Day)、または「世界平和の日」(World Peace Day)とも言いますね。記念日の日付は、当初は国連総会の通常会期の開催日である9月の第3火曜日でしたが、2002年(平成14年)からは9月21日に固定されました。 「国際平和デー」の目的は、すべての国・全ての人々にとって共通の理想である国際平和を記念し、推進することです。
毎年この日には、国際連合本部で日本の平和の鐘が鳴らされます。この鐘は1951年、第6回パリ国連総会で、日本国連協会理事で元愛媛県宇和島市長の中川千代治氏が「国を越え宗教の違いを越えて、平和を願う世界の人々のコインを入れた平和の鐘を造りたい」と当時の国連加盟国に訴え、趣旨に賛同した65ヶ国の代表者からのコインとローマ法王ピオ12世から頂いた金貨9枚を入れて鋳造し、日本国連協会を通して国連に寄贈されたものです。鐘には、「世界絶対平和万歳」と鋳込まれています。
今年は、世界で初めて核兵器が使用された広島原爆投下から80年目でもあります。広島市が中心となる平和首長会議は全世界に向けて平和を呼びかけるメッセージを発信しています。メッセージを寄せたのは県被団協の理事長や次代を担う若者など広島で平和活動に取り組む団体のメンバー17人。広島から平和への思いを世界へ発信し平和について考えるきっかけにしてもらおうと平和首長会議が制作しました。広島では2012年から、平和首長会議の主催で被爆者や高校生などが平和公園で記念の集会を開いてきましたが、高齢化する被爆者の健康面も配慮し集会に替わる、より波及効果の高い取組みを模索。今年から新たに世界に向けたメッセージの発信することになったそうです。
「国際平和デー」は素晴らしい活動だと思います。上皇陛下は6月23日の「沖縄慰霊の日」、8月6日の「広島原爆の日」、8月9日の「長崎原爆の日」、8月15日の「終戦の日」を日本人として決して忘れてはならない日と述べておられます。ブログ「ひめゆりの塔」、ブログ「沖縄平和祈念公園」、ブログ「沖縄全戦没者追悼式前夜祭」、ブログ「広島で祈る」、ブログ「長崎で祈る」で紹介したように、わたしは沖縄・広島・長崎を訪れ、祈りを捧げることができました。「終戦の日」だけは父の初盆があったため、残念ながら東京に行けませんでした。それらの日についての想いは8月5日に上梓した最新刊『死者とともに生きる』(産経新聞出版)に詳しく書きました。
「国際平和デー」は人類の存続に不可欠な記念日であると心から思いますが、わたしは、その前日にも記念日を置いてはどうかと思います。ずばり、「国際死者デー」です。ちょうど日本は今、「秋彼岸」ですが、「初彼岸」や「お盆」といった死者を想う日があります。世界には、キリスト教圏の「ハローウィン」やメキシコの「死者の日」といった死者のための日もあります。それらの共通の日として、9月20日を「国際死者デー」とすればいいと思うのです。なぜなら戦争の本質とは「死者の大量発生装置」であり、すなわち「グリーフの大量発生装置」だからです。「グリーフケアが普及すれば、最大の戦争抑止力になる」とうのはわが持論であります。順番からいうと、死者の追悼を経ての平和の記念日ではないかと思いました。まずは、最初に国際的に戦争犠牲者をはじめとする死者を追悼してから、その翌日、世界中の人々が平和の祈りを捧げてはいかがでしょうか。「国際死者デー」は、わたしが提唱する「リメンバー・フェス」が開かれる日でもあります。
「リメンバー・フェス」は、ブログ「リメンバー・ミー」で紹介したディズニー&ピクサーの2017年のアニメ映画からインスパイアされたネーミングです。「リメンバー・ミー」は第90回アカデミー賞において、「長編アニメーション賞」と「主題歌賞」の2冠に輝きました。過去の出来事が原因で、家族ともども音楽を禁止されている少年ミゲル。ある日、先祖が家族に会いにくるという「死者の日」に開催される音楽コンテストに出ることを決めます。伝説的ミュージシャンの霊廟に飾られたギターを手にして出場しますが、それを弾いた瞬間にミゲルは死者の国に迷い込んでしまいます。カラフルな「死者の国」も魅力的でしたし、「死」や「死後」というテーマを極上のエンターテインメントに仕上げた大傑作です。
「リメンバー・フェス」を世界中に拡げたい!
わたしたちは、死者を忘れてはなりません。それは死者へのコンパッションのためだけではなく、わたしたち生者のウェルビーイングのためでもあります。映画「リメンバー・ミー」から発想された「リメンバー・フェス」は、なつかしい亡き家族と再会できる祝祭ですが、都会に住んでいる人が故郷に帰省して亡き祖父母や両親と会い、久しぶりに実家の家族と語り合う祝祭でもあります。そう、それは、あの世とこの世の誰もが参加できる祭りなのです。日本には「お盆」、海外には「死者の日」など先祖や亡き人を想い、供養する習慣がありますが、国や人種や宗教や老若男女といった何にもとらわれない共通の言葉として、わたしは「リメンバー・フェス」という言葉を唱えていますが、新たに「国際死者デー」の設定を提案いたします。
2025年8月15日「産経新聞」全国版
2025年9月21日 一条真也拝