人類愛に奉仕する

一条真也です。
9月20日の朝、かねてより病気療養中だった父・佐久間進が満88歳で旅立ちました。25日の通夜、26日の葬儀も無事に終え、ご弔問・ご参列いただいた皆様、また供花・弔電を頂戴した皆様には心より感謝申し上げます。

『佐久間進のすべて』より

 

荼毘に付されて父の肉体は消滅しましたが、その精神は生きています。というのも、父は生前に多くの言葉を遺してくれました。今回は、「人類愛に奉仕する」を紹介いたします。わたしが2006年に本名の「佐久間庸和」で初めて上梓した『ハートフル・カンパニー』(三五館)は、サンレー創立40周年記念出版でした。


ハートフル・カンパニー』(三五館)

 

同書の「まえがき」には「読み返してみると、『礼経一致』をはじめとした私の考えのすべてが、父であり、創業者である佐久間進会長から受け継いだものであることを再確認いたしました」と書かれています。また、同書の冒頭には、父の根本思想を凝縮した「人類愛に奉仕する――冠婚葬祭を事業とする者の終局の目的としたい」という一文が掲載されています。これは創立から58年が経過した現在も変らないわが社の指針となるものです。この指針があれば、わが社がハートフル・カンパニーとなり、その大いなるミッションを果たせることを確信しています。その全文は、以下の通りです。

 

人類愛に奉仕する


サンレーグループ会長 

佐久間進

 

人間は皆、同じ自然の恵みを受けながら、ある人は幸福で、ある人は不幸なのは何故か。
裕福な家庭があれば、貧乏な家庭もある。
ある国は豊かで、ある国は貧しい。
人間は本来、同じ太陽・月の下で暮らす同根の民。
皆、平等で自由で幸せでなければならない。

全人類、等しく真の自由と平和な社会で、生きられるようにしなければならない。そのためには、今、宗教や民族、国籍や人種、風俗、習慣の違いを超えて、同じ宇宙観、死生観、自然観にのっとって心理的・精神的文化革命を起こす必要があるのではないか。
この地球上に住める全人類の平和で幸福な社会を実現するには、政治や経済あるいは社会の仕組みを改革するだけでは到底解決できるものではない。

 

人間は、どこから来て、どこに帰るのか。
生命の発生起源と終末を大観する宇宙哲学を基に、改めて構築しなければならない。
人間は、宇宙大自然の中に生かされて生きている。
人間は、宇宙の法則(神)によって生まれ、死んでいく。
人間は、同じ神の子として同根であり、人の魂は、全人類皆兄弟姉妹である。
人間は、神の子として生まれ、目的と使命を終えて死んでいく。人間は、本来無一物。金も財産も名誉も地位も権力も、この世に持って生まれ来た者は一人もいない。

 

宇宙無限の世界から無一物で来たのである。死ぬ時もまた、無一物で帰るのである。
だから、せめてこの地球上に住めるときは、お互いの心の法則にしたがって、愛し合い、助け合い、励まし合って、共に楽しく、より快適に生きなければならない。
人生の目的と使命を果たすためには、常日頃調和のとれた心、豊かな魂を磨くことに努め、気を養い、精気をみなぎらせ、笑顔を発し、他人にどれくらい多くのホスピタリティ・サービスを施したか、人をどれくらい喜ばせ、和ませ、楽しませ、快適・満足・安心・幸せ・安寧の状態に至らしめたかが、大切なことである。
それが、その人の価値を高め、あの世に帰った時は天上極楽界に入れる人になる。光の世界、安らぎの世界、月の世界に帰れるのである。

 

やがて世界は1つになる。
だんだん宇宙は近くなる。
この地球上に住める全人類の真の平和と幸福と安寧の社会を願って、新たなる死生観のもと、心理的、精神的、文化革命の必要性を宣言する。

 

宇宙に輝く光のロマン。月の世界に魂を送り、先祖の魂を月の光と化して、子孫を守る。人類同根、全人類、魂のふるさとは1つにして平和な世界が築けるのである。

世界をつくった八大聖人』(PHP新書)

 

もともと父はスケールの大きな考え方をする人で、実家の書斎には昔から世界各地の観光地などで買い求めた、ブッダ孔子、イエスソクラテスの「世界四大聖人」の像が置いてありました。わたしが幼少の頃から、父はよく「心の中に四大聖人がいれば、世界は平和になれる」と語っていたのを思い出します。その父の言葉に影響されて書いたのが世界をつくった八大聖人(PHP新書)でした。


父はまさに「先考」でした

 

ハートフル・カンパニー』の扉には、「わが生ける先考・佐久間進会長に捧げる」という献辞が入っています。中国では亡くなった父親のことを「先考」と言うそうです。まさに父はわたしの考えのほとんどすべてを先に考えていたことから、この言葉を用いて同書を捧げたいと思ったのです。しかし、いまだ健在であるため、また、この先も健在であることを願っていたため、「生ける先考」とした次第です。その父も亡くなってしまい、本当に「先考」となりました。寂しい思いでいっぱいですが、父の思想と理想はわたしの心の中に生きています。


『佐久間進のすべて』(オリーブの木

 

2024年10月2日 一条真也