一条真也です。
いま大きな話題になっているNetflixの最新ドラマ「極悪女王」を観ました。いやあ、最高に面白かった!
ドラマ「極悪女王」は、鈴木おさむの企画・脚本・プロデュースで、9月19日より配信されています。女子プロレスラーのダンプ松本が仲間たちとの友情と戦い、さまざまな代償や葛藤を抱えながらカリスマ的人気で1980年代に女子プロレス旋風を巻き起こし、日本史上最も有名なヒールに成り上がっていくさまを描いています。タイトルの「極悪女王」とは、ダンプ松本の異名です。

Wikipediaの「あらすじ」は、「1974年、松本香は母と妹と貧乏な生活を送りながら生活していた。時々金をせびりに帰ってくる父親は酒乱で暴力をふるい、香の給食費を取り上げる。翌日、母と香は父のいるアパートへ赴くも、そこには愛人と幼い赤ん坊がいた。母と父が争ってるなか、愛人の赤ん坊の名前も『カオル』だと知り、その場を走って飛び出す香。その際、転んで手をケガしたところ、プリティ・アトムに声をかけられる。手当てをしてもらうため入れてもらった場所は、全日女子プロレスが興行を行う体育館であった。そこで見たレスラーたちの練習風景を目の当たりにしたことでそれ以来女子プロレスファンになる。1979年、自らもプロレスラーになりたくて密かにオーディションを受けようと思っていたが、母親の紹介で地元の太陽パン屋へ就職することが決まる。貧しい生活と母親のためにもと決意し初出勤した」です。
主演は、ゆりやんレトリィバァ。海外での活動を視野に入れているゆりやんは本作のオーディションに自ら志願し、Netflix作品で初主演となる役を勝ち取りました。「実在する人物を演じるため、ゆりやんはフィジカル面から役作りを開始。パーソナルトレーナーと二人三脚でプロレスラーとして必要な筋力トレーニングを行い、さらにクラッシュギャルズのタッグで絶大な人気を誇り、ダンプ松本と共に女子プロレスブームの中心にいた長与千種が率いるプロレス団体「マーベラス」の現役選手から指導者を招きプロレス訓練に臨みました。その結果、アスリート並の身体作りを1年間にわたって敢行してきまいsた。ダンプ松本のライバルとなるクラッシュギャルズを演じる剛力彩芽(ライオネス飛鳥 役)、唐田えりか(長与千種 役)の2人も、トレーナーをつけて2022年1月から体作りを始め、10㎏増で撮影に挑んでいます。
わたしは三度の飯よりプロレスが好きで、特に「昭和プロレス」への思い入れが強いです。しかし、それは男子プロレスに限った話で、女子プロレスにはまったく関心がありませんでした。それでも、クラッシュ・ギャルズの大ブームぐらいは知っていました。1983年に全日本女子プロレス興業(以下、全女)で結成された伝説のスーパーアイドル女子プロレスラーです。1984年に「炎の聖書」でレコードデビューすると、「格闘技の聖地」である後楽園ホールで開催される大会チケットが入手困難になりました。翌1985年、中学生だった中山美穂のドラマデビュー作となった「毎度おさわがせします」(TBS系)に本人役でレギュラー出演すると、人気爆発。フジテレビのゴールデンタイムで試合中継がレギュラー放映され、テレビCMにも出演するようになったのです。
クラッシュギャルズのライオネス飛鳥(本名:北村智子)は、剛力彩芽が演じています。彼女は、1963年7月28日、東京都練馬区生まれ。埼玉県蓮田市育ち。蓮田市立黒浜中学校を経て、埼玉県立蓮田高等学校を中退後、1980年に全日本女子プロレスに入団、同年5月10日に同期の奥村ひとみ、師玉美代子との巴戦でデビュー。後にリングネームを改めて、後に親友となる長与千種とのクラッシュギャルズで一大ブームを巻き起こしました。1981年には全日本ジュニア王座、1982年には全日本シングル王座を獲得した。1984年8月にはクラッシュギャルズがWWWA世界タッグ王座を獲得。さらには、「炎の聖書」で歌手デビュー。1989年夏に現役を引退。
クラッシュギャルズの長与千種は、唐田えりかが演じています。彼女は、1964年12月8日、長崎県大村市出身。女子プロレスラーのカリスマの一人とされます。競艇選手として財を成した父がいる裕福な漁師の家庭に生まれ、10歳まで何不自由なく育ちましたが、小学5年生の時に父が「保証倒れ」で億単位の借金を背負った。一家は離散し、4年間で親戚の家を5軒たらい回しにされました。食べるのにも不自由する生活を送り、親戚から厄介者扱いされたため、居場所が無いと感じたそうです。中学卒業後に全日本女子プロレスに入門。入門すると猛練習、雑用の山、極貧生活の日々が待っていた。スパーリングでは締め技を受けたが「参った」の仕方も教えてもらえなかったため、いつも失神するまで我慢したといいます。
そして、主役のダンプ松本は、ゆりやんレトリィバァが演じました。1960年11月11日、埼玉県熊谷市出身。身長164cm、体重100kg。デビュー前はマッハ文朱の大ファンでした。幼い頃から父親の金銭問題・DV・女性問題などで苦労していた最愛の母のために家を買って建ててあげたいという思いで、ビューティーペアに憧れて女子プロレスラーになることを志しました。1980年に全日本女子プロレスで本名の松本香でプロデビュー。1984年の年明けにリングネームをダンプ松本と変更すると、クレーン・ユウと共にヒール軍団「極悪同盟」を結成。のちに加わり一番弟子となるブル中野らとヒールのタッグチームを組み、人気沸騰中だった正規軍「クラッシュギャルズ」(ライオネス飛鳥と長与千種が当時結成していたコンビ名)との抗争を繰り広げ、女子プロレスを大いに盛り上げました。
ダンプ松本の悪役レスラーとしての全盛期は、女子プロレスファンの年齢層が低めで、いわゆるマーク(アングルを本気で信じる若年層)が多かったため、ダンプのアンチが実家に押しかけ、「ダンプ出て来い!」と玄関を叩きながら大声で叫ぶ、玄関先にダンプを中傷する張り紙を貼る、窓ガラスを割られる、といった嫌がらせを何度も受けました。他にも当時ダンプが購入したばかりの真っ赤な新車のフェアレディZを納車直後に傷つけられる、私物の自転車や原付バイクを破壊されたり、当時の自宅マンションの空き巣被害や街中で罵声を浴びせられる、飲食店や服屋、デパートなどでの入店拒否など、ヒールとしての嫌われぶりは相当で、付いた異名が「日本で一番殺したい人間」でした。1985年8月に大阪城ホールで行われた長与との敗者髪切りデスマッチでは、試合終了後に暴動状態となり、500~600人のファンが極悪同盟の選手バスを取り囲んで揺らすという事態まで発展。ダンプは当時の事を「警備員にまで殴られる始末だった。あの時は本当に殺されるかと思った」と述べています。
ここのところ、日本で作られたNetflixドラマは、ブログ「全裸監督」、ブログ「サンクチュアリ-聖域-」、ブログ「地面師たち」など、すべて最高に面白い話題作揃いで、無双状態でした。「地面師たち」の興奮も醒めやらぬうちに配信開始された「極悪女王」も全5話を一気観せずにはいられません。この作品、何よりもまず、配役が素晴らしい。ライオネス飛鳥に剛力彩芽、長与千種に唐田えりかというのも絶妙なキャスティングですし、全女を設立した松永兄弟を演じた黒田大輔、村上淳、斎藤工の顔ぶれにも唸りました。そして、何より、ゆりやんレトリィバァ。ダンプ松本を演じるのは、この人しかいないでしょう。配信記念イベントでは、全女のレジェンドが揃う客席のほうを向いて「人生をかけてこの作品に力を注ぎました。何があっても、全国民から嫌われても、悪役を貫くダンプさんの姿を尊敬します。ダンプさんの役を演じていて、手が震えたり、涙が出ることもありました。これがダンプさんの気持ちか、と感じたりもして……」とダンプ松本、本人へのこみ上げる想いを告白。感極まって涙を見せるゆりやんの姿に、会場に座るダンプ本人も思わずもらい泣きしました。
ゆりやんは、会見で「人生をかけた作品」と語っていましたが、この作品が唐田えりかや剛力彩芽にとっても「人生をかけた作品」でした。この2人は、2021年に実施されたオーディションのタイミングで大きな分岐点に立っていたのです。不倫騒動で実質休業状態だった唐田えりかは、2020年1月に東出昌大さんとの不倫を報じられ、世の中の大きなバッシングにさらされていました。そのバッシングの影響は非常に大きく、彼女は「この作品に出会えなかったら自分はどうなってたのかな」と、当時を振り返り涙を見せていました。また、剛力彩芽も2018年頃から前澤友作さんとの交際がメディアで大きく報道されていたこともあり、金目当てなど様々な誹謗中傷の対象になってしまいました。完成報告会でも「今までにやったことのないことを挑戦してみたい」という思いでオーディションを受けたとコメントしていましたが、人生の転機としての挑戦だったのです。このように「極悪女王」というドラマは、主演の3人の女優が正真正銘「人生をかけた」、いわばセメント・ドラマなのです!
2024年10月5日 一条真也拝