鎌田先生、父を見舞う

一条真也です。
3日の夕方、「バク転神道ソングライター」こと宗教哲学者の鎌田東二先生(京都大学名誉教授)が、わたしの実家にお越しになられ、病床にある父・佐久間進サンレーグループ名誉会長)のお見舞いをして下さいました。


鎌田先生の訪問に笑顔を見せる父

 

父の姿を見た鎌田先生は「佐久間会長さん、鎌田です!」と言って、父の手を握って下さいました。そして、持参したムック『佐久間進のすべて』を父に見せて、「会長さん、すごいですね! こんな素晴らしい本ができて、わたしは本当に感動しました!」と言って下さいました。すると、それまで無表情だった父がニッコリと笑顔になりました。わたしは、その姿を見て涙が出てきました。


鎌田先生に質問を投げかける父

 

鎌田先生ご自身がステージ4のがん患者でありながら、わざわざ小倉までお越しになられたのです。父と鎌田先生は國學院大學の先輩・後輩という学友の関係にありますが、学縁を超えた魂の結びつきがあるように思えました。病のため、すっかり衰弱してしまった父ですが、鎌田先生に「鎌田先生は、まだ山に登られているんですか?」とかすかな声で質問しました。すると、鎌田先生は「はい、比叡山に登っています。一昨日も登頂しました」と答えられました。わたしが、「鎌田先生は、比叡山で熊に襲われた女性も救ったんだよ!」と言うと、父は「それは、すごい。鎌田先生は、がんでも元気なんですね」と言いました。

鎌田先生に「人生の目的は何ですか?」と問う父


その後、父は鎌田先生に「人生の目的は何ですか?」と、ど直球の質問をしました。鎌田先生は、「人を面白く、楽しく、愉快に、豊かにして、創造性の窓を開く『楽しい世直し』をすることです」と答えました。また、父は「聖徳太子が日本の基礎を作った」と言いました。鎌田先生は「その通りと思います。しあさって、聖徳太子のお墓のある大阪の叡福寺に対談の仕事で行くので、会長さんの分もよくお参りし、お祈りしてきます」と言って下さいました。それを聴いて、父は両手を合わせて拝みました。


父と鎌田先生とのスリーショット

 

それから、父は鎌田先生に「先生は、がんでも山に登ることができて、すごい」と言いました。それを聴いた鎌田先生は、「わたしにとって、それこそが、おもしろくたのしいことですので」と答え、さらに「佐久間会長さんこそ、すごいですね。本当に、すごい、いいお仕事をされたと思います。2人の息子さんをこのように立派に育て、しかも、サンレーを一緒にここまで大きくしっかりを育てられたのですから。息子さん、 佐久間庸和さんみたいな、息子さんは本当に世界中にいませんよ。いつも言いますが、『世界最強の父子』だと心底思います」と言って下さいました。わたしは、それを聴いて、涙が止まらなくなりました。すぐ近くに妻と長女がいましたが、わたしは何ら恥じることもなく、心のままに涙を流し続けました。

 

最後に、鎌田先生は『佐久間進のすべて』の刊行に際して詠んで下さった祝歌「進みゆく 礼(ゐや)びのみわざ 八美道 神のみこころ伝え行く道」という歌にメロディをつけて朗じて下さいました。それは、魂の平安を祈る祝詞のように聴こえました。父はずっと目をつむって手を合わせていました。鎌田先生に心より感謝申し上げます。

 

2024年9月3日  一条真也