一条真也です。
16日深夜、闘病中の父が小倉記念病院に緊急搬送され、わたしと妻が救急車に同乗しました。そのため、わたしは参加できませんでしたが、翌17日の夜、北九州市八幡西区折尾のサンレーグランドホールで、秋のイベントが盛大に開催されました。これまでは「隣人祭り・秋の観月会」という名称でしたが、今回からは「リメンバー・フェス」としてアップグレード。今夜は中秋の名月です!
「リメンバー・フェス」のチラシ
受付のようす
ガラポン抽選会
射的
ヨーヨーつり
各種の屋台が並ぶ
この日は、射的、ヨーヨーつり、シュートゲーム(バスケ)なども出店して「縁日」気分を盛り上げていました。また、屋台(外部キッチンカー)として、ハンバーガー、やきとり、やきそば、ドリンク。屋台(社内テント)では、たこ焼き、フライドポテト、ポップコーン、かき氷なども出店。すべて、250円の価格設定です。
リメンバー・フェスのようす
キッズダンスで大盛り上がり!
魅惑のフラダンス
フラダンスは死者を供養する踊り
さらに、ステージイベントとして、キッズダンス~BOOZER CRiB、日本舞踊、フラダンスも行われ、お祭りに華を添えていました。総合芸術であると同時に宗教的な行為でもあるハワイの伝統的な歌舞音曲「フラ」。フラにはダンス、演奏、詠唱、歌唱の全てが含まれます。美しく幻想的な「フラ」の魅力を堪能しました。月あかりの下で繰り広げられるフラダンスは、まるで天女の舞のようでした。ちなみに、フラダンスは死者を供養するためのハワイの踊りです。日本でいえば「盆踊り」と同じなのです。
「リメンバー・フェス」というのは、拙著の書名でもありますが、ブログ「リメンバー・ミー」で紹介したディズニー&ピクサーの2017年のアニメ映画からインスパイアされたネーミングです。「リメンバー・ミー」は第90回アカデミー賞において、「長編アニメーション賞」と「主題歌賞」の2冠に輝きました。過去の出来事が原因で、家族ともども音楽を禁止されている少年ミゲル。ある日、先祖が家族に会いにくるという「死者の日」に開催される音楽コンテストに出ることを決めます。伝説的ミュージシャンの霊廟に飾られたギターを手にして出場しますが、それを弾いた瞬間にミゲルは死者の国に迷い込んでしまいます。カラフルな「死者の国」も魅力的でしたし、「死」や「死後」というテーマを極上のエンターテインメントに仕上げた大傑作です。
「リメンバー・ミー」を観れば、死者を忘れないということが大切であると痛感します。わたしたちは死者とともに生きているのであり、死者を忘れて生者の幸福など絶対にありえません。最も身近な死者とは、多くの人にとっては先祖でしょう。先祖をいつも意識して暮らすということが必要です。拙著『ご先祖さまとのつきあい方』(双葉新書)にも書きましたが、わたしたちは、先祖、そして子孫という連続性の中で生きている存在です。遠い過去の先祖、遠い未来の子孫、その大きな河の流れの「あいだ」に漂うもの、それが現在のわたしたちにほかなりません。
大盆踊り大会がスタート!
月下の盆踊りが正統なのだ!
リメンバー・フェスは「秋祭り」と言いたいところですが、まだまだ気温が高くて「夏祭り」といった印象です。夏祭りといえば、「盆踊り」の存在を忘れることはできません。日本の夏の風物詩ですが、もともとはお盆の行事の1つとして、ご先祖さまをお迎えするためにはじまったものです。今ではご先祖さまを意識できる格好の行事となっています。盆踊りというものは、生者が踊っている中で、目には見えないけれども死者も一緒に踊っているという考え方もあるようです。照明のない昔は、盆踊りはいつも満月の夜に開かれたといいます。その意味で、このリメンバー・フェスでの盆踊りは正統なのです。
盆踊りに興じる人びと
本当は、浴衣を着て参加したかった!(2018年撮影)
この日、父が緊急入院しなければ、わたしは浴衣を着てリメンバー・フェスに参加し、そのまま盆踊りの櫓の上にあがって、主催者挨拶をするはずでした。じつは、「みなさま、本日は記念すべき『第1回リメンバー・フェス』にご参加いただき、心から感謝申し上げます。このフェスティバルは、わたしたちのルーツや家族、友人との深いつながりを思い返し、先祖や故人に感謝を捧げる祭りです。リメンバー・フェスを通じて、過去を忘れずに未来に生きるという考え方をお届けできればと考えています。盆踊りというものは、生者が踊っている中で、目には見えないけれども死者も一緒に踊っているという考え方もあるようです。照明のない昔は、盆踊りはいつも満月の夜に開かれたといいます。その意味で、このリメンバー・フェスでの盆踊りは正しいんです!」と言うつもりでした。
フラガールも盆踊りに参加!
夜空には中秋の名月が・・・
本当は、「まつり」を歌いたかった♪(2018年撮影)
また、わたしは「ここに集まり、さまざまな催しを楽しむことで、生活の中で忘れがちな大切な思い出や絆を再確認してください。キッズダンスや日本舞踊、フラダンス、盆踊りなどのプログラムを通じて、世代を超えた文化と伝統を共有し、未来へと繋いでいければと思います。また、伝統的な屋台やヨーヨーすくい、射的などにより、昔から続く祭りの楽しさを皆で共有し、家族や友人との絆を深める時間となればと思っています。本日は、ありがとうございます!」と言うはずだったのです。本当は、ここで浴衣姿でサブちゃんの「まつり」でも歌いたかった!
中秋の名月の下、死者のために踊る・・・
『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)
来年1月に公開される映画「君の忘れ方」の原案である拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)で紹介しましたが、アフリカのある部族では、死者を二通りに分ける風習があるそうです。人が死んでも、生前について知る人が生きているうちは、死んだことにはなりません。生き残った者が心の中に呼び起こすことができるからです。しかし、記憶する人が死に絶えてしまったとき、死者は本当の死者になってしまうというのです。誰からも忘れ去られたとき、死者はもう一度死ぬのです。映画「リメンバー・ミー」の中でも、同じメッセージが訴えらえました。
これがリメンバー・フェスだ!
先祖供養の新しい「かたち」を提案!
わたしたちは、死者を忘れてはなりません。それは死者へのコンパッションのためだけではなく、わたしたち生者のウェルビーイングのためでもあります。映画「リメンバー・ミー」から発想された「リメンバー・フェス」は、なつかしい亡き家族と再会できる祝祭ですが、都会に住んでいる人が故郷に帰省して亡き祖父母や両親と会い、久しぶりに実家の家族と語り合う祝祭でもあります。そう、それは、あの世とこの世の誰もが参加できる祭りなのです。日本には「お盆」、海外には「死者の日」など先祖や亡き人を想い、供養する習慣がありますが、国や人種や宗教や老若男女といった何にもとらわれない共通の言葉として、わたしは「リメンバー・フェス」を提案しました。
R&Rツインブックス
本日は超満員の人出で、熱気もすごかったようです。月を一方的に愛でるのではなく、月明かりの下で死者も含めた皆で笑い合う、縁に満ちた空間の創出。長年のわが理想が実現したことは、「秋の観月会」から「リメンバー・フェス」へのアップデートの最大の意義でした。この日、この場にいた皇産霊神社の瀬津隆彦禰宜は、「今回のアップデートを通じまして、先祖を迎えて歓待し、そして送り出すというストーリーが完成したように思います。こちらは日本で言うなら同じ構造を持つお盆・お彼岸をアップデートしたものとして、年中行事の新たな歴史を刻まれたものではないでしょうか」との感想を寄せてくれました。将来、ニュースなどで「今日は世界共通のリメンバー・フェスの日です」などと言われる日を夢見ています。この後は瀬津禰宜が祭司を務める「月への送魂」が行われます。そう、今夜は『ロマンティック・デス』『リメンバー・フェス』のR&Rツインブックスのリアル・イベントなのです!
R&Rツインブックスも大人気!
次は、いよいよ「月への送魂」です!
2024年9月17日 一条真也拝