被災地のウェルビーイング

一条真也です。
今朝起きたら多くのLINEメッセージが入っていました。いずれもブログ「あったかいね」についての感想でしたが、その中に、能登半島の避難所で生活している 金沢紫雲閣の大谷賢博総支配人のメッセージもありました。


被災地の簡易トイレ(撮影:大谷賢博)


避難所のトイの内部(撮影:大谷賢博)

 

大谷総支配人は、「おはようございます。ブログありがとうございます。私も被災者を支援している立場として、大阪・関西万博の開催費用を被害の大きい輪島市珠洲市にまわして欲しいと思っております。今はまだ断水の続く中で、今まで当たり前だった事(トイレやお風呂)が出来るようになって小さな幸せを感じております」と書いていました。彼は現在、志賀町稲敷(いなしき)集会所にいます。指定避難所に入れない方々が集まる集会所ですが、最近、簡易トイレが設置され、自衛隊がお風呂を設置してくれたそうです。


自衛隊が風呂を設置(撮影:大谷賢博)


被災地の簡易風呂(撮影:大谷賢博)


簡易風呂の入口(撮影:大谷賢博)


簡易風呂の内部(撮影:大谷賢博)

 

わたしは、大谷総支配人から送られてきた写真の数々を見て、いろんなことを考えました。大谷総支配人からのLINEで長風呂が嫌いな彼のお父さんが2度も風呂に入って、そこではみんな笑顔が出ていたということを知りました。今回は、お風呂の中で相互に思いやりのあるやりとりが行われたのではと思います。昨年、ウェルビーイング?オリーブの木)という本を書きました。ウェルビーイングの定義は、「健康とは、たんに病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というものですが、これまで身体的健康のみが一人歩きしてきた印象でした。じつは、わが社は約40年前から「ウェルビーイング」を経営理念に取り入れてきましたが、ウェルビーイングとは「持続的幸福」であると考えています。そして、持続的幸福を支えるためには衣食住という生活の基本が不可欠であり、中でもトイレや風呂といったものは「快適性」を超えた「人間の尊厳」に関わっていると大谷総支配人からの写真を見て思いました。北九州市を代表する企業の1つであるTOTOさんは「ウェルビーイング」を提供する企業なのだと痛感しました。

ウェルビーイング?』(オリーブの木

 

わが社が推進している「CSHW」は、Compassion(思いやり)⇒Smile(笑顔)⇒Happy(幸せ)⇒Well-being(持続的幸福)と進んでいきます。そして、Well-being(持続的幸福)を感じている人は、Compassion(思いやり)をまわりの人に提供・拡大していくことができます。これが「CSHW」のハートフル・サイクルです。すなわち、ハートフル・サイクルはそこで回り続けるのではなく、周囲を巻き込みながら拡大し「思いやり」を社会に拡散をしていくサイクルなのです。能登半島の被災地で、同志である大谷総支配人は必死でハートフル・サイクルを起動してくれています。彼は、被災者のみなさんにコンパッションを感じ、自力でテレビを設置したりしてスマイルを与えています。そこからハピネスやウェルビーイングに繋げていくのは大変ですが、上級グリーフケア士である彼ならきっとやってくれると思います。彼が作った小さな輪が大きく拡がっていくように、わたしも全力を尽くします。

 

2024年1月15日 一条真也