太田光のコンパッション

一条真也です。
お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光が、14日放送のTBS系「サンデー・ジャポン」に生出演。活動休止を発表した「ダウンタウン」の松本人志について、約5分間にわたって言及したそうです。「太田光、松本人志からの被害訴えた人へ『自分を責める必要はまったくない』 松本への思いも含めて5分間熱弁【ほぼ全文掲載】」というネット記事で知りました。


ヤフーニュースより

 

不仲が噂される松本人志太田光ですが、“過去の因縁”について、「浅草キッド」の水道橋博士の著書などで伝えられており、長らく共演がありませんでした。2021年のフジテレビ系『FNSラフ&ミュージック~歌と笑いの祭典~』で生共演。松本と太田がお互いに膠着した間合いを取り合って、太田が「共演NG!ネットが荒れるって言うから、入ってきた」と自らネタに。「今の何点でしょうか?」とボケを重ねていきました。


松本が「わからない。ここの奥さん(太田光代)が僕のツイッターをフォローしている。意味がわからなくて、なんか遠回しに威嚇してんのかな」とボケを交えて返すと、太田が「威嚇したのはそっちでしょう(笑)。ハハハ」と見事な切り返し。「ナインティナイン」の岡村隆史から「田中さん、しっかりしてください」との声が飛ぶも、太田は松本とナイナイとの因縁を持ち出して大暴れ!


松本の性加害報道後、今月1日放送のフジテレビ系「新春!爆笑ヒットパレード2024」の大トリで漫才を披露した太田は、漫才の冒頭で叫ぶ「助けてくれー!」をいつも通りに放ちながら「今の吉本興業の叫びです」とニヤリ。田中裕二からツッコミを受けましたが、同じスタジオでネタを見ている吉本興業所属の芸人たちに「どんよりするな!助けてやれ!」と呼びかけました。ネタ後のトークでも太田は止まらず、カメラ目線で「松ちゃん、元気?一緒にお笑いやろうよ!・・・これからも」と笑顔で話し、田中から猛烈なツッコミを受けていました。


14日放送の「サンデー・ジャポン」では、太田光は以下のようなコメントを発しています。
「なかなか言いにくい話ですけど、ようはさっきから言っているのは、法律的に性加害があったかどうかっていうことで、今の時点で吉本興業はまだ告訴はしてないんですよね。僕が思うのは、これはちょっと法律云々とは、また別の話として。被害を訴えている彼女たちの話がもしあったとして「もともと警察行けばいいじゃないか」とか、いろんなのが出てくるけれども、いわゆる加害にまで及んでないかもしれない、刑事事件として告訴できないかもしれないと思って…警察沙汰にするって、すごく勇気がいるからね。ましてや自分も芸能人の卵で、まず今世間で言われていることは、まずは自分(被害を訴えている人)が自分に対して責めたと思うんですよね。もしそういうことがあった仮定して…ですよ。これが警察に訴えたとしても、事件化できないかもしれないっていう程度の、いわゆる人間としての人格を否定されたようなことがあとから思ったとしたら、よくよく考えたらそれがそうだと思ったとすれば、その人たちはやっぱり、そこ(被害を受けたと感じた時点)でできなかったことを責めるべきではないと思うし。最初に思うのはそこなんですよ。それがずっと何年もそんなことがあれば、忘れられない事実としてあって。でも、世の中の正義っていうのがそこと自分が思っているところと違う方に進んでいるとしたら、言い出せなかったっていうことがあったと思って。個人として、これがあったか・ないかっていうのではなくて、やっぱり人って自分を一番守る必要があると思うし。だから、今訴えている人たちがいろんなことを言われているけども、その時点で警察に言えなかったっていう自分を責める必要はまったくないし、あとから理不尽だと思ったとしたら、それはやっぱり理不尽なんだよ。だから、それはあそこで言うべきだった、なんでその場しのぎの対応をしてしまったのかとか、いろんなことを思う、それを自分が真っ先に思うだろうから、それ思う必要はまったくないと思う。
一方で、松本さんがこれだけシリアスな状況になって、笑いにしにくい状況は当然だし、活動休止していく中で、やっぱり松本さんも自分を守るべきだと思う。あの人にとって、オレはわかんないよ、仲悪いし。だけど、あの人にとって一番重要なのが笑いだとするのなら、あの人が今まで…こういう状況になって、どんどん追い詰められていますよね、世間的に。いろんな人から…弱者と強者ってものすごいスピードで、今入れ替わるから。いろんな人からいろんなことを言われる可能性もあるけれども、もし松本さんが、自分の今までの態度やなんかを、例えば玉座に座っていた王様が転げ落ちるという物語を、自分が面白いと思えるように作れるとするのであれば、その笑いこそが松本さんを救えると思うし。オレは、そういう意味でいうと、松本さんは笑いのすぐとなりにいると思う。そういう意味では、松本さんのファンの人たちも傷ついていると思うし、そういう意味では、キレイごとを言うようだけど、誰もが自分を一番守る権利があると思う。法的に云々はわからないけど」


ヤフーニュースより

 

わたしは、この太田光のコメントを知って、感服しました。これは被害者側にも加害者側にも思いやりのある素晴らしい発言です。この発言に対するヤフーニュースのコメント欄に「裏番組のコメンテーター達は何か意味ありげにコメントしてるけど、結局何にも言っていないに等しい。太田は自分の言葉で、なんちゃってコメンテーターとは違う角度で双方に愛を持ってコメントしてる。太田はやっぱり知性的で優しいな。長年、最前線で活躍できる訳だ」というものがありましたが、わたしもまったく同意見です。


ヤフーニュースより

 

「例えば玉座に座っていた王様が転げ落ちるという物語を、自分が面白いと思えるように作れるとするのであれば、その笑いこそが松本さんを救えると思うし。オレは、そういう意味でいうと、松本さんは笑いのすぐとなりにいると思う」などの言葉は、本当に愛情がないとなかなか言えません。窮地にある松本人志にとって最高のアドバイスになるでしょう。太田光は光代夫人とともに保護猫活動にも尽力していますし、後輩が癌になった時も自分から色んなところに電話をかけて海外への渡米費用も出したとか。一見、暴走芸人のようですが、太田光にはコンパッションがあると思いました。何より彼の笑いは面白いですし、これからのお笑い界は「太田光の時代」になると思います。

 

 

2024年1月15日  一条真也