島薗進先生と対談しました 

一条真也です。東京に来ています。
29日の午後から、わたしは神田駿河台にある弘文堂を訪問しました。弘文堂といえば、一条本の中でも最大の大著(600ページ!)である儀式論の版元です。ここを訪れたのは、ブログ「弘文堂訪問」で紹介した2016年7月29日以来なので、じつに7年半ぶりになります。


7年半ぶりに弘文堂を訪問


弘文堂の看板(内藤湖南書)の前で

 

わたしがなぜ弘文堂を訪れたのかというと、ここで宗教学者東京大学名誉教授の島薗進先生と対談させていただくからです。テーマは「死生観」「宗教」「儀礼」「グリーフケア」「コンパッション」の5つです。島薗先生といえば、日本を代表する宗教学者であり、死生学の泰斗であり、グリーフケア研究の第一人者であり、コンパッション都市の紹介者でもあります。そんな「知の巨人」と対談するばかりか、巨人の専門分野について語り合うのですから、まさに「清水の舞台から飛び降りる」心境でした。ちなみに、島薗先生には拙著死を乗り越える名言ガイド(現代書林)、コンパッション!オリーブの木)の帯に過分な推薦文を頂戴しております。


対談開始前のようす


対談のようす(龍の写真をお見せする)

 

しかしながら、島薗先生とは10年以上お付き合いさせていただいており、先生が上智大学グリーフケア研究所の所長だったとき、わたしが客員教授を務めさせていただいた御縁があります。また、共通の知人であり宗教哲学者の鎌田東二先生を含めて、3人でグリーフケアの時代という共著も出しており、その版元がまさに弘文堂でした。さらに、ブログ「グリーフケアの時代に」で紹介した12月1日から公開されるドキュメンタリー映画でも島薗先生と共演させていただいています。ある意味で気心知れた師匠ですので、わたしはこの日を楽しみにしていました。

穏やかに語られる島薗先生


わたしも大いに語りました

 

わたしは、1992年に上梓した魂をデザインする国書刊行会)という本で、文化人類学者の山口昌男先生、民俗学者の井之口章次先生、宗教学者山折哲雄先生、宗教哲学者の鎌田東二先生、建築史家の井上章一先生、建築家の毛綱毅曠先生、画家の横尾忠則先生らと20代にして対談させていただくという貴重な機会を得ました。その後、東京大学医学部教授(当時)で臨床医の矢作直樹先生、上智大学名誉教授(英語学)の渡部昇一先生、宗教学者島田裕巳先生、大阪大学名誉教授(中国哲学)の加地伸行先生、京都大学名誉教授(宗教哲学)の鎌田東二先生とは単独の対談本を上梓させていただきました。そして、この日、島薗先生との対談を迎えたわけです。


島薗先生のお話を拝聴する


終始にこやかな対談でした

 

対談のコーディネーターは、これまで多くのわたしの対談本をプロデュースして下さった「出版寅さん」こと内海準二さんが務めて下さいました。また、『儀式論』の編集者だった外山千尋さんも同席して下さいました。内海+外山の2人が揃えば四方八方無敵です。対談の趣旨ですが、現代、さらに日本というくくりの中で、宗教の存在意義とその可能性を探るというものです。時代に合わせて宗教も変化すべきか。日本という国における宗教の存在理由、死生観は変わってきているのか・変わるべきなのか――コロナ感染を経験した今、戦争という最悪な形で、表出してきた宗教の今を語り合いました。


対談を終えて・・・・・・

 

対談内容は、内海さんから示された「高齢化社会、多死社会で、死生観はどう変化する?」「スマホやAIは人間を超える『神』的存在か?」「臓器移植など、最新医学と宗教の役割」「宗教は、憎しみと悲嘆を繰り返す『悪』のシステムか?」「宗教はコンパッションの心を諭す『善』の物語か?」「グリーフケアこそ、宗教の存在理由」「なぜ、人類は神話を必要とするのか?」「踊り、歌は宗教には不可欠な要素」「祈りと作法の関係」「宗教と儀礼」などでした。わたしたちは、それらの課題の1つ1つについて真摯に語り合いました。わたし自身、大きな学びを得た時間となりました。この対談は、『今ここにある宗教ーー現代日本人の死生観を問う』(仮題)として弘文堂から来年刊行されます。また、わたしたちは12月16日(土)に、北陸の「月あかりの会」発足記念イベントとして「グリーフケア」をテーマにトークショーを金沢で行います。

北國新聞」より

「月あかりの会」(北陸)
発会記念トークショーお申し込み方法

お申し込みは、
「サンレー金沢紫雲閣 月あかりの会事務局」まで
①氏名②電話番号③参加人数をメール、
または電話でご連絡ください。

メールアドレス
kanazawa-shiun3@sun-ray.co.jp

お申し込み電話番号
076―264―0111

お申し込み締め切りは12月14日(木)です。



2023年11月30日  一条真也