球縁

 

一条真也です。
無縁社会」などと呼ばれ、血縁と地縁の希薄化が目立つ昨今です。人間は1人では生きていけません。「無縁社会」を超えて「有縁社会」を再生させるためには、血縁や地縁以外のさまざまな縁を見つけ、育てていく必要があります。そこで注目されるのが趣味に基づく「好縁」というものです。そして、この中には、一緒に球技を楽しむ「球縁」というものがあります。



球縁といえば、まず思い浮かぶのはゴルフですね。
仕事関係の付き合いで始めたゴルフが上達するにしたがって楽しくなって、ついには最大の趣味になったという人も多いでしょう。ゴルフをやるということは仲間を作るということです。ゴルフは1人でもできますが、基本は4人1組で行うものだからです。年齢を重ねてもできるスポーツなので、その付き合いは長く、その縁は深くなります。お葬式にゴルフ仲間が参列し、弔辞で「そのうち、わたしもそちらに行きます。あの世で、また一緒にゴルフやりましょう」などと言う人も珍しくありません。



球縁が生まれるのは、ゴルフだけではありません。
小学校、中学校、高等学校では体育の授業があります。体育は、健康・安全のために生きていくのに必要な身体能力や知識などを身につけることが狙いとされています。わたしは、それに加えて「チームワーク」というものを身につけさせることも大きな目的の一つだと考えます。それは野球をはじめ、バレーボールや、バスケットボール、ドッジボールなど、1つのボールを使ってチームプレイを行う球技でより磨きがかかっていくものだと思います。



昨年、カタールでFIFAワールドカップが開催されました。7大会7度目のワールドカップ出場となるサッカー日本代表は、本大会でドイツ、スペインに勝利してグループリーグを1位で通過しました。その後の決勝トーナメント1回戦の日本vsクロアチアは総力戦でした。死闘でした。日本は惜しくも敗れましたが、W杯でドイツとスペインを連破したことは偉業であり、必ず今後の日本サッカーに大きな影響を与えることと思います。



このFIFAワールドカップは日本中、世界中で話題になりました。球技の世界大会はどのスポーツでも必ず話題になります。それは、そこに大きな縁があるからだと私は思っています。試合中にコートに立つ味方選手は、たった11名です。この試合までに多くの喜びや悔しさを共有してきた選手は、縁で繋がったその11名を信用し、信頼し、チームメイトにボールをパスして託します。それは試合に出ていない同じチームの仲間やそのスタッフも同じです。お互いに支え合う気持ちがあるから日本代表というチームが成り立つのです。それは相手国にも同じことが言えます。全く同じメンバーでの試合は二度とできません。相手国を恐れ、尊敬する気持ちがあるから練習に励むことができます。そして、その縁は試合に直接関わる人だけには及びません。テレビ中継で試合を一緒に見て応援するその人たちとも強い縁が結ばれます。



試合翌日に職場や学校で会う人と昨日の試合について語り合うことでも縁が結ばれます。今年開催された野球のWBCは日本が優勝したこともあり、大いに盛り上がりました。侍ジャパンの各選手の活躍というか、生き様にも感銘を受けました。史上最年少の三冠王として多大な期待を背負った村上選手は不振をきわめましたが、準決勝では逆転サヨナラ打を放ち、決勝ではホームランを打ちました。彼には「レジリエンス」の神髄を見せてもらいました。最後はダルビッシュ投手&大谷投手の黄金リレーが実現しましたが、2人とも苦境にありながらも、見事に持ち前の実力を発揮し、最後は「世界一」の栄光を掴んだのです。初対面の人と会った際、会話の取っ掛かりの1つとしてWBCやワールドカップの話ができるでしょう。

グラウンド・ゴルフ大会で始球式!

 

球縁というものは、部活動でも、町内会でも、クラブ活動などで行う球技でもすべてのものにおいて生まれます。わが社が行う「グラウンド・ゴルフ」もその一環です。苦楽を共にしたチームメイトとその仲間、裏で支えるスタッフ、応援する観客とすべての人たちが縁で繋がるのです。大人になれば新しいことを始めるのは簡単なことではありません。ましてや初めて球技をするということはハードルが高くなることでしょう。しかし、まずはテレビの試合を見てみる。結果を確認してみるのはどうでしょう。たったこれだけでも球縁を感じることができると思います。

 

2023年5月3日 一条真也