ブレイキングダウン7

一条真也です。
19日の日曜日、次回作『ウェルビーイング?』『コンパッション!』(仮題、ともにオリーブの木)の2冊を執筆する傍ら、1分1ラウンドで戦う格闘技イベント「Breaking Down7」のPPVを鑑賞しました。前日までに購入すると安いということで、18日の23時59分ギリギリに3300円で買いました。

!ブレイキングダウンのPPVを鑑賞(ABEMAより)

 

総合格闘家朝倉未来がプロデューサーを務めるブレイキングダウンは「喧嘩エンターテインメント」ですが、正直言って茶番の要素が多いです。MMAやキックボクシングやボクシングといったプロ格闘技の元選手から、ヤンキーに毛が生えたような喧嘩自慢、さらには喧嘩もしたことがないようなYouTuberやTikTokerなどの格闘技のど素人など、まさに玉石混交の連中が1分間だけ拳を交えます。「1分間最強を決める」が謳い文句です。


ヤフーニュースより

 

普通、格闘技の試合というのは1ラウンド3分が相場で、昔のプロボクシングでは、なんと15ラウンド闘っていました。現在は安全面への配慮からラウンド数は減っていますが、ブレイキングダウンの1分1ラウンド勝負というのは、相当に短いと言えます。わたしはブレイキングダウンの演出過剰、詳しく言うと、選手たちの下品な煽りやプロレスラーまがいの乱闘が大嫌いなのですが、「ブレイキングダウンは本線よりもオーディションの方が面白い」と言われています。しかし、今回は朝倉未来がブレイキングダウンの新社長に就任したと知ったので、「競技がアップデートしたかな?」と思ってPPV観戦した次第です。


しかしながら、アップデートしたのは「幕張メッセ」という会場だけで、内容そのものは相変わらずでした。午前11時から午後8時過ぎまでの観戦となり、なんと、9時間以上も費やしてしまいました。映画なら3本、本なら4冊は読める時間ですね。全部で33試合というのも多すぎて、中には素人同志の喧嘩みたいなものもあり、やはり玉石混交感がハンパなかったです。あと、KO決着でない場合は判定で勝敗あるいは延長が決まるのですが、朝倉未来の弟子や仲間の判定を当の朝倉未来が行っているのは、どう考えてもおかしいです。いくら「公平に判定してる」と言ってもフェアではありません。このへんもブレイキングダウンが格闘競技として茶番だと思える理由の1つです。

舞杞を攻めるエドポロキング(ABEMAより)

対照的な人生対決!(ABEMAより)

外枦のマイクに感動!(ABEMAより)


150kgの突進!(ABEMAより)

 

それでも、いくつか面白い試合もありました。まずは、第5試合の無差別級のエドポロキングvs舞杞維沙耶。203センチ、100kg強のエドポロキングが「歌舞伎町最凶ホスト」を圧倒しましたが、彼はオーディションの時の方が強い印象があり、本戦では息が上がってスタミナ不足を感じさせました。第8試合の有井皓太郎vs外枦保尋斗(ウェルター級77kg以下)も良かったです。薬物中毒の母親を警察に通報して刑務所送りにした経験の持ち主である外枦が東大相撲部の有井をKOしました。でも、有井もガムシャラに向かっていく姿が素晴らしかったです。試合後にマイクを取った外枦が「母ちゃん、勝ったよ!」と泣きながら叫んだシーンは思わず貰い泣きしました。そして、第16試合のノッコン寺田vs天田ヒロミ(無差別級)もエキサイティングでした。150kg超のラガーマンの超パワーが元K-1ジャパン王者を粉砕しました。ノッコンには、ぜひ、ボブ・サップと戦ったほしい!

ついに因縁の対決が実現!(ABEMAより)

拳を交える仲村と瓜田(ABEMAより)


試合後に抱き合う2人(ABEMAより)


瓜田のマイクに感動!(ABEMAより)

 

第27試合のバン仲村vs瓜田純士ウェルター級75kg以下)は、ある意味で今大会で最も注目されている試合でした。お互い反社のような外見を持つ者同士ですが、かつては親友でした。それが行き違いからリンチまがいの暴力事件を起こして袂を分かった2人です。試合は、延長判定で瓜田が仲村を破って、過去の遺恨を清算しました。試合後にマイクを握った瓜田は目を光らせながら「多くの人は裏切ったり、離れてしまったりしてしまった奴もいると思います。そんな人たちに光が歩み寄ったように、生きている間に時間はあるので自分から発信してください。俺も離れた人たちに言わせてください。俺はブレイキングダウンという舞台で元気にやっています。みんなと離れていても健康で幸せを祈っています。最後に光という最高の男が俺の友であることを誇りに思います。ありがとうございました」と語りました。この言葉には感動しましたね。


プロの意地を見せた萩原(ABEMAより)


プロの意地を見せたYUSHI(ABEMAより)


アビティをKOした安保(ABEMAより)


今後の抱負を語る安保(ABEMAより)

 

続く第28試合の萩原裕介vs信原空(ライト級71kg以下)、第30試合のYUSHIvsこめお(フェザー級62kg以下)も名試合でした。アウトサイダーの元強豪である萩原は信原を、RIZINの現役ファイターであるYUSHIはこめおを、それぞれKOに仕留め、プロ格闘技選手の意地を見せてくれました。そして、メインイベントとなる第33試合の安保瑠来輝也vsシリル・アビティ(無差別級)も良かったです。安保は元K-1スーパーライト級の王者、アビティは元K-1スーパーヘビー級の強豪ですが、2人の体重差は約25kgありました。こんなに体重差がある試合をK-1やRIZINで行うことはありえず、まさにブレイキングダウンでしか観れない闘いでした。試合は「デモリッションマン」こと安保が終始、「マルセイユの悪童」と呼ばれるアビティを圧倒して、3ラウンド目にKOで仕留めました。非常に見応えのある試合で、わたしは「これで、3300円の元は取った」と思いました。ただし、途中でPPV配信がブラックアウトしたのは焦りました。「このまま配信終了なら返金してほしい」と思いましたね。今後は改善していただきたい!


ヤフーニュースより

 

2023年2月19日 一条真也