『新・独言』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 

f:id:shins2m:20190626102356j:plain『新・独言〜互助会の意義と可能性』

 

今回ご紹介するのは、『新・独言』。2019年6月26日に刊行され、「互助会の意義と可能性」というサブタイトルがついています。内容は、これまで「互助会通信」紙に連載していたコラムをまとめたものです。このブックレットには、2010年10月10日から2019年4月20日までの以下の50本のコラムが収録されています。

51  ご先祖さまとのつきあい方

52  互助会から互助社会へ

53  タイガーマスク運動

54  東日本大震災

55  危機について

56  杖でありたい

57  被災地にて

58  東アジアと『論語』

59  新春座談会

60  おくりびとの日

61  新藤兼人

62  いじめ

63  礼は究極の平和思想

64  無縁社会を生きる

65  互助会の役割と使命

66  老人漂流社会

67  ビルマ日本人墓地

68  儀式創新シンポジウム

69  最期の絆

70  永遠の0

71  ホー・チ・ミン廟

72  人生儀礼の世界

73  孔子の末裔

74  ニューヨークの墓地

75  日本民俗学

76  おみおくりの作法

77  基地とセレモニーホール

78  民生委員

79  戦後70年

80  週刊誌の連載

81  バリ島

82  なぜ儀式は必要か

83  インド

84  熊本地震

85  横浜フューネラル対談

86  島田裕巳氏との対話

87  不滅の業界

88  北九州の成人式

89  終活から修活へ

90  横須賀での墓参

91  『般若心経』の自由訳

92  お祝いの意味

93  礼をしない横綱

94  日本最大の国難

95  愛なき時代のグリーフケア

96  スターの葬儀

97  生活の古典

98  アップデートする仏教

99  平成最後の年を迎えて

100 令和の時代を迎えて

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『新・独言』の目次

 

わたしは、2002年の8月より、一般社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が隔月で刊行している「互助会通信」のコラム「独言」を「一条」の名で書いています。コラム執筆を引き受けたのは、当時わたしが全互協の広報委員だった関係からでした。全互協は冠婚葬祭互助会業界の全国団体です。互助会事業の法制化に伴って、1973年に誕生しましたが、わが社の佐久間進会長が全互協の初代会長を務めました。

f:id:shins2m:20190614130625j:plain「互助会通信」第444号

 

冠婚葬祭互助会、いわゆる互助会とは何でしょうか。互助会はその名の通り、「相互扶助」をコンセプトとした会員制組織です。終戦直後に横須賀市で生まれ、全国に広まっていきました。その歴史は60年ほどですが、実はきわめて日本的文化に根ざした「結」や「講」にルーツはさかのぼります。

 

「結」は、奈良時代からみられる共同労働の時代的形態で、特に農村に多くみられ、地域によっては今日でもその形態を保っているところがあります。一方、「講」は、「無尽講」や「頼母子講」のように経済的「講」集団を構成し、それらの人々が相寄って少しずつ「金子」や「穀物」を出し合い、これを講中の困窮者に融通し合うことをその源流としています。このような「結」と「講」の2つの特徴を合体させ、近代の事業として確立させたものこそ、冠婚葬祭互助会というシステムなのです。

 

日本的伝統と風習文化を継承し、「結」と「講」の相互扶助システムが人生の2大セレモニーである結婚式と葬儀に導入され、互助会は飛躍的に発展してきました。互助会は、あらゆる人々を縁でつなぐ「有縁社会」のモデルでもあります。「無縁社会」が叫ばれ、生涯非婚に孤独死や無縁死が問題となる中、冠婚葬祭互助会の持つ社会的使命はますます大きくなると思っています。

f:id:shins2m:20190626141724j:plain『独言〜互助会から互助社会へ』(2010年)

 

「独言」は、2010年の8月25日号で、連載50回目を数えました。その際、ブログ『独言』で紹介したブックレットを発行しました。その前月の2010年7月より、全互協の広報・渉外委員長に就任することになり、これを記念に、「独言」全50回分を収録したブックレットを作成するはこびとなったのです。

f:id:shins2m:20190626133902j:plain『新・独言』の内容

 

そして今回、100回を迎えたのを機に『新・独言』を発刊した次第です。コラムの話題は多岐にわたりますが、いずれも互助会の本来の意義、そして可能性を問うたつもりです。わたし自身、互助会の本質について考える良い機会となりました。わたしは、「令和」の時代は「礼輪」でもあると考えていますが、礼の輪=儀礼のネットワークとは全国の冠婚葬祭互助会のことにほかなりません。令和の時代は冠婚葬祭互助会の時代です!

f:id:shins2m:20190626135856j:plain『独言』と『新・独言』

 

2022年10月28日 一条真也