月への送魂

一条真也です。
7日の夜、ブログ「隣人祭り・秋の観月会」で紹介した有縁社会再生のためのイベントが開催されました。一昨年はコロナ禍で中止、昨年は2年ぶりの開催でした。今年も、無事に開催できて良かったですが、雨で参加者はロビーに移動しました。それでも、「月への送魂」が行われました。夜空に浮かぶ月を目指して、故人の魂をレーザー(霊座)光線に乗せて送る新時代の「月と死のセレモニー」です。多くの方々が夜空のスペクタクルに魅了されました。

ムーン・ハートピア・プロジェクトのブース

月面聖塔」の模型の前で

 

それにしても、なぜ月に魂を送るのか? 
この質問は、これまで数え切れないほど受けてきました。その答えは、月は死者の霊魂が赴く死後の世界だからです。多くの民族の神話と儀礼において、月は死、もしくは魂の再生と関わっています。規則的に満ち欠けを繰り返す月が、死と再生のシンボルとされたことは自然です。

月への送魂」ムービーを上映


月は「死」と「再生」のシンボル

f:id:shins2m:20211018185406j:plain月への送魂」ムービー

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人類と月の関係を説明

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月は「魂の理想郷」である!



わたしは『慈経 自由訳』(三五館)も上梓しましたが、「月の経」の別名を持つ「慈経」を重視するミャンマーなどの上座部仏教の国々では今でも満月の日に祭りや反省の儀式を行います。仏教とは、月の力を利用して意識をコントロールする「月の宗教」だと言えるでしょう。仏教のみならず、神道にしろ、キリスト教にしろ、イスラム教にしろ、あらゆる宗教の発生は月と深く関わっている。そのように、わたしは考えています。

 



わたしたちの肉体とは星々のかけらの仮の宿です。入ってきた物質は役目を終えていずれ外に出てゆく、いや、宇宙に還っていくのです。宇宙から来て宇宙に還るわたしたちは、宇宙の子なのです。そして、夜空にくっきりと浮かび上がる月は、あたかも輪廻転生の中継基地そのものと言えます。人間も動植物も、すべて星のかけらからできている。その意味で月は、生きとし生ける者すべてのもとは同じという「万類同根」のシンボルでもあります。かくして、月に「万教同根」「万類同根」のシンボル・タワーである「月面聖塔」を建立し、レーザー(霊座)光線を使って、地球から故人の魂を月に送るという計画をわたしは思い立ち、実現をめざして、各所で構想を述べ、賛同者を募っています。

月への送魂」が始まる!

雨の中を瀬津神職が登場!


霊座(レイザー)光線で送る!

魂弓を祈りを込めて引きつがえ光の矢をば月に送らむ

 

この夜は、「月への送魂」のプレ・ムービーが流れた後、雨の中で皇産霊神社の瀬津隆彦神職が登場、魂弓(たまゆみ)を射って、送魂の儀を行いました。「魂弓を祈りを込めて引きつらむ 光の矢をば月に送らむ」という庸軒道歌が披露されました。そして、瀬津神職が持つ神弓から発せられたレーザー(霊座)光線が夜空の月に到達すると、満場のお客様から盛大な拍手が起こりました。

矢に魂を込めて月を射る!

 

月への送魂」は、21世紀にふさわしいグローバルな葬儀の“かたち”であると思います。何より、レーザー光線は宇宙空間でも消滅せず、本当に月まで到達します。わたしは「霊座」という漢字を当てましたが、実際にレーザーは霊魂の乗り物であると思います。「月への送魂」によって、わたしたちは人間の死が実は宇宙的な事件であることを思い知るでしょう。

霊座(レーザー)が月まで届く!

 

ロマンティック・デス~月を見よ、死を想え』(幻冬舎文庫)をはじめとして、『葬式は必要!』や『ご先祖さまとのつきあい方』(ともに双葉新書)、『決定版 終活入門』(実業之日本社)、『墓じまい・墓じたくの作法』(青春新書インテリジェンス)、『永遠葬』(現代書林)、『唯葬論』(サンガ文庫)、宗教学者島田裕巳氏との共著『葬式に迷う日本人』(三五館)、『人生の修め方』(日本経済新聞出版社)さらには今年6月に上梓した『人生の四季を愛でる』(毎日新聞出版)でも「月への送魂」を紹介しています。今では、すっかり多くの人たちに知っていただきました。

 

 

関心を抱かれる方も多くなったようで、問い合わせなども増えてきました。「宇宙葬のカリスマ」ことエリジウム・スペース社のトーマス・シベCEOが『ロマンティック・デス』を読んだことが宇宙葬に取り組むきっかけになったと広言されていることもあって、「月への送魂」にも非常に注目度が高まっています。


すべての死者への祈りを込めて・・・

 

終了後は、多くの方々から「雨だったけど、儀式は本当に素晴らしかった」「月は見えなくても実在しますね」「これで寿命が延びた」「なつかしい故人に会えた気がした」などのお言葉を頂戴し、わたしの胸は熱くなりました。わたしは、「死は不幸ではない」ことを示す「月への送魂」の普及に、死ぬまで、そして死んだ後も尽力したいと思っています。最後に、雨の中を奮闘して下さったスタッフの方々に心より感謝いたします。

 

2022年10月8日 一条真也