「ふくおか経済」取材

一条真也です。ついに9月も終わり。
30日の14時30分から、「ふくおか経済」の取材を松柏園ホテルの貴賓室で受けました。同誌の11月号に掲載される毎年恒例の「The  FACE」というページの取材でした。少し気が早いですが、今年を振り返り、来年を展望する内容のインタビュー記事です。この日は、マスク&ネクタイ&ポケットチーフはオレンジのコーディネートで、同誌の金子記者による取材を受けました。最初は松柏園の日本庭園での写真撮影でした。


最初に、松柏園の庭園で写真撮影

写真をチェックしました

わたしは、以下のような話をしました。わが社はグリーフケアに取り組んでいますが、古代から人類は死者を埋葬し、弔ってきました。大切な人を失うことは、ものすごいストレスで「うつ」や自殺につながります。葬儀というセレモニーをしっかりやって区切りを付け普通の生活に戻ることが大切です。わが社は、「こども食堂」の運営や、地域の高齢者らが集う「隣人祭り」の開催をサポートするなど事業は多岐にわたります。しかし、やっていることは1つです。それは、孔子の教えであり、冠婚葬祭に通底する「礼」の実践なのです。成人式とは成長した自己を肯定し、親へ感謝するものです。儀式は「人間尊重」のためにあります。冠婚葬祭業はそれをビジネスの手法で実現するソーシャル・ビジネスです。みんなが「おめでとう」「ありがとう」と互いを尊重する、心ゆたかな社会の実現に尽くしたいのです。そのため、「悲縁」「湯縁」「碁縁」「俳縁」などで新たな有縁社会を再生します。


この日は、オレンジのコーデで!


今年を振り返り、来年を展望しました

 

一昨年からは、児童養護施設で七五三や成人を迎えた入居者に対し、貸衣装やヘアメークもサービスし記念撮影をプレゼントする取り組みを始めました。晴れ着の無料レンタルは、儀式というわが社の本業というべきものの意味と価値を世に広く問うものです。七五三は不安定な存在である子どもが次第に社会の一員として受け容れられていくための大切な通過儀礼です。成人式はさらに「あなたは社会人になった」というメッセージを伝える場であり、新成人はここまで育ててくれた親や地域社会の人々へ感謝をする場です。長寿祝いも含めて、すべての通過儀礼は「あなたが生まれたことは正しい」「あなたの存在と成長をこの世界は祝福している」という存在肯定のセレモニーです。万物に光を降り注ぐ太陽のように、サンレーはすべての人に儀式を提供する志を抱いています。

SDGsについて語りました

 

これらの一連の活動は、SDGsにも通じています。SDGsとは「持続可能な開発目標」という意味ですが、要するに社会を持続させるために必要なことを実行するということ。そして、冠婚葬祭互助会は社会を持続させるシステムそのものであると考えます。結婚式は、夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える儀式です。一方で葬儀は、儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆による「うつ」自死などの負の連鎖を防ぐ儀式です。冠婚業も葬祭業も単なるサービス業ではありません。社会を安定させ、人類を存続させる文化装置です。

互助会こそは、ソーシャルビジネス!

 

そして、互助会の根本理念である「相互扶助」は、社会の持続性により深く関わります。貧困ゆえに入浴の習慣を知らない小学生がいるという。また、一日に一回しか食事ができない子どもがいるという。その事実を知り、「なんとかしなければ!」と強く思いました。SDGsは環境問題だけではありません。人権問題・貧困問題・児童虐待・・・・・・すべての問題は根が繋がっています。そういう考え方に立つのがSDGsであるわけです。その意味で入浴ができない、あるいは満足な食事ができないようなお子さんに対して、見て見ぬふりはできません。「相互扶助」をコンセプトとする互助会こそはソーシャルビジネスであるべきです。

コンパッション都市とは何か?

 

さらに、「悲しみをともにする共同体」としての慈悲共同体の考え方を示しました。都市としての慈悲共同体は「コンパッション都市」と呼ばれますが、これには非常に衝撃を受け、かつ感動しました。これこそ、互助会が創造すべきコミュニティのモデルではないですか! 米国バーモント大学臨床教授(パブリックヘルス、エンドオブライフケア)のアラン・ケレハーの『コンパッション都市』という洋書があり、もうすぐ翻訳書が慶應義塾大学出版会から刊行されます。「コンパッション都市」とはWHOの「健康都市」を発展形であり、老い、病、死、喪失を受けとめ、支え合うコミュニティのことです。まさに、北九州市が目指すべき都市像です。

これからは「コンパッション」だ!!

 

英語の「コンパッション」を直訳すると「思いやり」ですが、多くの著書で述べてきたように、思いやりは「仁」「慈悲」「隣人愛」「利他」「ケア」に通じます。「ハートフル」と「グリーフケア」の間をつなぐものも「コンパッション」であることに気づきました。ついに、究極のキーワードに巡り合った思いです。これからのサンレーは、「コンパッショナリー・カンパニー」を目指しますが、「ミッショナリー」から「アンビショナリー」、そして、「コンパッショナリー」へ。わが社が目指す企業コンセプトのアップデートの歴史はまるで大河ドラマのようです!

「ふくおか経済」2021年11月号

 

2022年10月1日 一条真也