持続可能な「志」を!

一条真也です。
16日夕方、東京から北九州に戻りました。
17日午後から西日本に台風14号が接近するそうですが、まだ小倉には雨が降っていません。この日の早朝から、松柏園ホテルの神殿で恒例の月次祭が行われました。

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神事の最初は一同礼!

f:id:shins2m:20210917081226j:plain月次祭のようす

f:id:shins2m:20210917080819j:plainコロナ完全対応で執り行われました

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拍手を打つ佐久間会長

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わたしも玉串奉奠しました

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神事の最後は一同礼!

皇産霊神社の瀬津神職によって神事が執り行われましたが、祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続いて、わたしが玉串奉奠を行いました。一同、会社の発展と社員の健康・幸福、それに新型コロナウイルスの感染拡大が終息することを祈念しました。わたしと一緒に参加者たちも二礼二拍手一礼しました。儀式によって「かたち」を合わせると、「こころ」が1つになる気がします。

f:id:shins2m:20210917082637j:plain天道塾の開始前のようす

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最初は、もちろん一同礼!

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天道塾のようす

f:id:shins2m:20210917083432j:plain佐久間会長の挨拶

 

神事の後は、恒例の「天道塾」です。最初に佐久間会長が登壇し、ポストコロナ時代における温浴事業について語りました。ブログ「『日王の湯』で湯縁社会を!」で紹介したように、福岡県田川郡福智町にある温浴施設「日王の湯」をわが社が運営することになりました。9月8日にプレオープン、10日に正式オープンし、マスコミでも大きく取り上げられています。新時代の「養生」の道を求める佐久間会長は、「日王の湯」にかける想いを語りました。

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沖縄から業界の動向を報告

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わたしも、しっかり聴きました

 

佐久間会長の後は、沖縄の社長を務めている弟の佐久間康弘がオンラインで話をしました。テーマは、冠婚葬祭互助会業界をめぐるさまざまな動きです。弟は、(おそらくは)パープルの“かりゆし”を着て登場しましたが、最近は北九州でも東京でも、いつも“かりゆし”を着ています。すっかり沖縄の人間になったというか、先祖代々の“うちなんちゅー”に見えてくるから不思議なものです。

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パープルの不織布マスクで登壇

 

そして、わたしが総括をしました。弟はパープルの“かりゆし”でしたが、わたしはパープル(すみれ色)の不織布マスクをつけて登壇しました。9月は、「すみれSeptember Love」だからです。業界の話を補足した後、話題になっている自民党の総裁選の話題にも触れました。コロナ禍のいま、世界中の国家リーダーのスピーチを聞いていると、国民を鼓舞するポジティブ・コミュニケーションよりも、国民の苦悩や悲嘆に寄り添うネガティブ・コミュニケーションの重要性が感じられます。

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マスクを外して、リーダシップを語る

 

また、国家リーダーにとって、最も重要なミッションは自国の死者に対しての哀悼の意を表することだそうです。首相や大統領といった国家リーダーだけでなく、このような時期の企業におけるリーダーシップも、高い目標に向けて部下を鼓舞するポジティブ・コミュニケーションとともに、部下の苦悩や悲しみに寄り添うネガティブ・コミュニケーションというか、グリーフケア的対応が求められます。グリーフケアの必要性は社会全体に浸透しつつあり、社会の持続性に深く関わっているとさえ言えます。

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熱心に聴く人びと

 

さらに、わたしは「このコロナ禍でわかったことは、葬儀が社会に必要な仕事であることです」と言いました。最近よく聞くようになった「エッセンシャルワーク」とは、医療・介護・電力・ガス・水道・食料などの日常生活に不可欠な仕事です。その意味では、葬儀もエッセンシャルワークです。葬儀にはさまざまな役割があり、霊魂への対応、悲嘆への対応といった精神的要素も強いですが、まずは何よりも遺体への対応という役割があります。遺体が放置されたままだと、社会が崩壊します。それは、これまでのパンデミックでも証明されてきたことでした。何が何でも葬儀に関わる仕事は続けなければなりません。

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冠婚葬祭が社会を持続させる!

 

いま、「SDGs」が国際的なキーワードになっています。「持続可能な開発目標」という意味ですが、わたしは冠婚葬祭互助会は社会を持続させるシステムそのものであると考えています。結婚式は夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える。葬儀は儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆によるうつ、自死の負の連鎖を防ぐ。冠婚業も葬祭業も、単なるサービス業ではありません。それは社会を安定させ、人類を存続させる重要な文化装置なのです。冠婚葬祭が変わることはあっても、冠婚葬祭がなくなることはありません。

f:id:shins2m:20210917092905j:plain「サービス」から「ケア」へ!

 

グリーフケアが非常に注目されていますが、いま、「心のケアの時代」です。そこでは「サービス」から「ケア」への転換が行われ、縦の関係(上下関係)であるサービスと横の関係(対等な関係)であるケアの本質と違いが重要になります。学生のアルバイトに代表されるようにサービス業はカネのためにできますが、医療や介護に代表されるようにケア業はカネのためにはできません。特に、無縁社会に加えてコロナ禍の中にある日本において、あらゆる人々の間に悲嘆が広まりつつあり、それに対応するグリーフケアの普及は喫緊の課題です。

f:id:shins2m:20210917092815j:plainハートフル・エッセンシャルワークとは?

 

さらには、「ケアすることは、自分の種々の欲求を満たすために、他人を単に利用するのとは正反対のことであり、相手が成長し、自己実現することを助けること」などのケアについての自分の考えを明らかにしました。葬祭業は、サービス業というよりもケア業です。他者に与える精神的満足も、自らが得る精神的満足も大きいものであり、いわば「心のエッセンシャルワーク」あるいは「ハートフル・エッセンシャルワーク」と呼ばれるでしょう。これは葬祭業に限らず、ブライダル・ビジネスでも同様です。これからの冠婚業は新郎新婦をはじめ、祝われる方々のさまざまなケアを心掛けなければいけません。

f:id:shins2m:20210917093639j:plainケアとは「人間尊重」である!

 

何よりも重要なことは、「ケア」とは他人を尊重し、他人のために尽くす営みであり、「いじめ」や「差別」などの対極にあるということです。いくらカネを稼いでいるビジネスマンや膨大な再生回数を誇るYouTuberであっても歪んだ万能感を抱き、「いじめ」や「差別」を肯定する者など人間のクズです。彼らの仕事はブルシット・ジョブです。反対にハートフル・エッセンシャルワーカーとしてのケア業に従事する人々は「人間尊重」の精神に基づいています。心のケアが世界を救うのです!

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熱心に聴く人びと

 

サービス業からケア業へ・・・・・・わが社の方向性の先に、「日王の湯」の運営もあります。このたび、わが社は福岡県田川郡福智町にある「ふるさと交流館 日王の湯」を管理・運営することになりました。リニューアル工事をした上で、9月8日にプレオープン特別内覧会を開催、10日には正式オープンしました。8000坪の敷地、310坪の温泉棟、154坪の宿泊棟、264坪の大宴会場というスケールです。もちろん、コロナ禍の中ではクラスター対策が最優先ですが、コロナ後には大いに賑わう場所となるでしょう。いずれは、温浴施設のスーパースターである純烈のコンサートも開催したいと考えています。

f:id:shins2m:20210917093117j:plain「湯縁」で有縁社会の再生を!

 

何より、高齢者の会員様が多い互助会との相性が良い。この施設をベースに、共に入浴する「湯縁」によって有縁社会を再生したいと考えています。産湯に始まり、湯灌に終わる・・・・・・このように、人間の一生は「湯」とともにあります。また、究極の人間関係としての「一期一会」を実現するものとして「茶の湯」という文化がある。グリーフケアの活動は「悲縁」を育て、茶道の普及は「茶縁」を育て、温浴施設の運営は「湯縁」を育てることである。そして、それらはすべて「無縁社会」を乗り越え、「有縁社会」を再生する道となります。

f:id:shins2m:20210917092841j:plain高い志を持とう!

 

いま、わたしは『儒教と日本人』という対談本の校正作業を行っています。対談相手は、現代日本における儒教研究の第一人者である大阪大学名誉教授の加地伸行先生です。わたしが加地先生、そして孔子から学んだ最大の教えは「志」というものの大切さです。自分が幸せになったり、自分の会社が良くなるのは結構なことですが、それだけではいけません。やはり、他人の幸せを願い、社会が良くなることを目指さなければいけない。それが「志」です。

f:id:shins2m:20210917094836j:plain最後は、もちろん一同礼!

 

今年の11月18日に創立55周年を迎えるわが社には「志」があります。わたしは、「冠婚葬祭を通じて良い人間関係づくりのお手伝いをし、無縁社会を乗り越えて有縁社会を再構築することを目標に進んでいけば、自ずからわが社も発展するでしょう」と述べ、「カンパニーズ・ビー・アンビシャス! わが社は、志のある会社としてのアンビショナリー・カンパニーであり続けましょう!」と言って、わたしは総括を終えました。この後、松柏園の貴賓室に国会議員の先生を迎えて、衆議院選挙にかける意気込みをお聴きします。その後は、小倉ロータリークラブの例会にオンラインで参加します。

 

2021年9月17日 一条真也