死を乗り越えるシェイクスピアの言葉

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なあに、かまいやしない。
人間、一度しか死ぬことはできない。
命は神さまからの借りものだ。
シェイクスピア

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、ウィリアム・シェイクスピア(1564年~1616年)の言葉です。イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物です。四大悲劇『ハムレット』『マクベス』『オセロ』『リア王』をはじめ、『ロミオとジュリエット』『ヴェニスの商人』『夏の世の夢』『ジュリアス・シーザー』『ヘンリー四世』などの多くの傑作を遺しました。

 

 

「なあに、かまいやしない。人間、一度しか死ぬことはできない。命は神さまからの借りものだ」というのは、シェイクスピアの代表作の1つである『リアの王』の言葉です。イギリス、いや世界でも最も優れた劇作家を1人上げろと言われたら、きっと彼が選ばれるでしょう。人間の本性をこれでもかと描きだした彼の作品には時代を超えた普遍性があり、今日でも世界各地で上演されています。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写にもっとも優れた英文学の作家とも言われていますね。この死生観も、そうした尋常ならざる観察のもとに生まれたものでしょう。

 

 

数あるシェイクスピアの傑作の中でも、『リア王』で描いたテーマは、超高齢社会を迎えた現代社会にもそのまま通じます。リア王は今でいう認知症の老人です。娘たちに疎まれながら、晩年を過ごしていきます。彼の姿はコミカルでもあるし、哀れでもあります。でも年を取るということは、子どもに還っていくということをつくづく感じました。子育てで世話をしたように、高齢になると、逆にお世話をされる。これが人間というものなのでしょう。ちなみに日本でも『恍惚の人』という有吉佐和子の名作があります。高齢者をどう描くかは、普遍のテーマといえます。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。ご一読下されば、幸いです。

 

 

2021年7月10日 一条真也