死を乗り越えるルターの言葉

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死は人生の終末ではない。
生涯の完成である。(ルター)

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、マルティン・ルター(1483年~1546年)の言葉です。ルターはドイツの神学者、聖職者です。カトリック教会からプロテスタントの分離へと発展した宗教改革の中心人物として知られます。

 

 

宗教は心を豊かにし、死の恐怖を取り去る文化装置だと、わたしは考えています。ところがルターが生きていた時代には、キリスト教は免罪符という打ち出の小づちを使って、未成熟だった貨幣経済を介した救済に手を染めてしまいました。「免罪符を手に入れればすべての罪はなくなる」として、寄進集めの道具になってしまったのです。

 

 

そうした教会のあり方に異を唱えたのがルターです。当時、グーテンベルグが発明した活版印刷によって、民衆でも『新約聖書』が容易に手に入れられるようになっていました。こうした背景のもと、ルターはイエスの本当の教えに戻ろうという活動を展開しました。これが、やがて全ヨーロッパを巻き込む「宗教改革」へと発展していくのです。

 

 

「聖書に書かれていないことは認めることができない」というルターの言葉は、重税を負わされて苦しい生活を送っていた農民に希望を与えることになりました。生涯、聖書の翻訳に尽くしたルター。この「死は人生の終末ではない。生涯の完成である」であるという言葉は、使命を人生で見つけることができた、力強い言葉だといえます。

 

人生の修め方

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それから、現在、「終活」という言葉がよく使われます。これは、人生の「終末活動」の略語です。正直に言って、わたしは「終末」という言葉には違和感を覚えます。そこで、「終末」の代わりに「修生」、「終活」の代わりに「修活」という言葉を提案しました。「修生」とは文字通り、「人生を修める」という意味です。「人生を修める」は、ルターのいう「生涯の完成」に通じるのではないでしょうか。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

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2020年10月26日 一条真也