心ゆたかな社会を!

一条真也です。
17日、東京で全互協の正副会長会議および理事会に参加しました。理事会終了後は羽田空港に向かい、ANAで福岡へ。18日、早朝から松柏園ホテルの神殿で恒例の月次祭が行われました。2月以来となる4カ月ぶりの月次祭です。いつもより人数を大幅に減らし、マスク着用でクールビズでの神事となりました。皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さり、祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続き、わたしが社長として玉串奉奠を行いました。わたしは、会社の発展と社員の健康・幸福を祈念しました。

f:id:shins2m:20200618081026j:plain月次祭のようす

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拝礼する佐久間会長

f:id:shins2m:20200618081633j:plainわたしも拝礼しました

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神殿での一同礼!

f:id:shins2m:20200618083944j:plain天道塾のようす

f:id:shins2m:20200618083622j:plain訓話する佐久間会長

 

神事の後は、恒例の「天道塾」を開催しました。こちらも新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4カ月ぶりの開催です。いつもと人数は同じですが、会場の広さは3倍です。最初に佐久間会長が訓話を行いました。会長は会場を埋め尽くしたマスク姿の人々を見ながら、コロナ禍の数カ月を振り返りました。会長は「世界でのコロナの感染者が800万人を超えたそうですが、ものすごい数です」と述べ、それから池見酉次郎、胡蘭成、小笠原忠統といった恩師たちからの学びを振り返り、サンレー思想のルーツともいえる柳田國男折口信夫らの日本民俗学にも言及しました。

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訓話する佐久間会長

 

それから、佐久間会長は「共飲」「共食」「共浴」「共健」「共笑」「共歌」「共遊」「共旅」という8つの「共」信仰というものを示し、アフターコロナの時代に互助会として提供できないかという話をしました。さらに会長は、「今度のコロナ禍は、天の声ではないかと思ったりします。それは、互助会は金儲けに走るのはやめて、相互扶助の原点に戻れということではないでしょうか」と述べました。

f:id:shins2m:20200618100322j:plain小倉織マスク姿で登壇しました

f:id:shins2m:20200618102737j:plainマスクを外して講話をしました

続いて、わたしが登壇しました。わたしは着けていた小倉織のマスクを外し、まず、こんな話をしました。
新型コロナウイルスの感染拡大もピークを過ぎたようで、日本全国の緊急事態宣言が解除されました。もちろん、第2波の到来に備えなければならず、油断は禁物ですが、とりあえず一つの区切りはついたように感じます。わが社の冠婚部門や営業部門のスタッフのみなさんは緊急事態宣言のあいだ、力を発揮することができませんでした。これからは、少しずつ再開していっていただければと思います」

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コロナは「多死社会」を意識させた

 

「海外の国々に比べて、日本は新型コロナによる死者の数が少ないなどと言われていますが、それでも猛烈な勢いで感染拡大している間は、誰もが『自分も感染するのではないか』と心配し、高齢者の方々は『感染すれば、新型肺炎で命を失うのではないか』と思われたことでしょう。現代日本は超高齢社会ですが、それはそのまま『多死社会』でもあります。その『多死社会』という言葉を、今回のコロナ禍では、多くの日本人が具体的なイメージで意識したと言えるでしょう。これからは、死を乗り越える言葉が求められると思います」

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

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コロナにすべての「予定」を奪われた!

 

新型コロナウイルスの感染拡大はまだ終息してはいません。このウイルスは消滅することはなく、人類は新型コロナと共生しなければならないという意見もあります。ならば、日本人が『死』を意識する時代はこれからも続いていくということになります。それにしても、今回のコロナ禍は、とにかく想定外の事件でした。わたしを含めて、あらゆる人々がすべての『予定』を奪われました。将来、完全に日常が戻ってきたとしても、絶対に忘れてはならないことがあると思います」

f:id:shins2m:20200618102704j:plainわたしが忘れたくないこと

 

「わたしは忘れたくありません。今回のパンデミックで卒業式や入学式という、人生で唯一のセレモニーを経験できなかった生徒や学生たちが大きな悲嘆と不安を抱えたことを。わたしは忘れたくありません。今回のパンデミックで多くの新入社員たちが入社式を行えなかったことを。そして、わが社では全員マスク姿で辞令交付式のみを行ったことを。わたしは忘れたくありません。緊急事態宣言の中、決死の覚悟で東京や神戸や金沢に出張したことを。沖縄の海洋葬には行けなかったことを。いつもの飛行機や新幹線は信じられないくらいに人がいなかったことを。わたしは忘れたくありません。日本中でマスクが不足し、訪れたドラッグストアで1人の老婦人から『あなたはマスクをしていますね。そのマスクはどこで買えるのですか?どこにもマスクが売っていなくて困っているのです』と深刻な表情で話しかけられたことを」

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わたしが忘れたくないこと

 

「わたしは忘れたくありません。一世一代の結婚式をどうしても延期しなければならなかった新郎新婦の落胆した表情を。わたしは忘れたくありません。新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった方々の通夜も告別式も行えなかったことを。故人の最期に面会もできず、遺体にも会えなかった遺族の方々の絶望の涙を。わたしは忘れたくありません。外出自粛が続く毎日の中で、これまでの人生で最も家族との時間が持てたことを。わたしは忘れたくありません。緊急事態宣言の間、何度も社員や友人に希望のメッセージをLINEで送信したことを。そして、わたしは忘れたくありません。感染拡大が続く中で、人類の未来についての希望を祈りとともに記した本を書いたことを」 

心ゆたかな社会 「ハートフル・ソサエティ」とは何か
 

f:id:shins2m:20200618102652j:plain「礼」がグローバル・スタンダードになる!

 

新型コロナウイルスによる死者の数が多いのは、アメリカ、イタリア、イギリス、フランス、スペインなど。最近ではブラジル、ロシア、インドが激増していますが、これまでは西洋のキリスト教国が多かった。コロナ以後は、握手・ハグ・頬へのキスといった西洋式コミュニケーションは難しくなります。そこで国際的に注目されるのがお辞儀という東洋式コミュニケーションです。もともと『礼』が生まれ、発達したのは、感染症大国である中国でした。お辞儀を進化させたのが日本の礼法です。これからは、小笠原流礼法がグローバル・スタンダードになるかもしれません」

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心ゆたかな社会へ向かって!

 

最後に、「わたしは今回、感染症についての本を読み漁り、映画を観ましたが、重要な事実を発見しました。それは、ペストに代表されるように感染症が拡大している時期は死者の埋葬がおろそかになりますが、その引け目や罪悪感もあって、感染症が終息した後は、必ず葬儀が重要視されるようになるということ。人類にとって葬儀と感染症は双子のような存在であり、感染症があったからこそ葬儀の意味や価値が見直され、葬儀は継続・発展してきたのだという見方もできます。結婚式も同様で、ポストコロナは儀式が重んじられる『心ゆたかな社会』が訪れることでしょう。コロナ禍の中にあっても、わが社の施設はオープンし続けました。この仕事は社会的必要性のある仕事なのです。新型コロナウイルスが完全終息するのはまだ先のことでしょうが、儀式文化を基軸とした『人間尊重』というわが社のミッションは永久に不滅です。一緒に力を合わせて、心ゆたかな社会を創造しましょう!」と述べてから、降壇しました。

 

2020年6月18日 一条真也