なつの白無垢姿を見て

一条真也です。
お盆休みの最中ですが、わたしは、次回作の『ハートフル・ソサエティ2020』(弘文堂)を執筆しています。年内には刊行の予定ですので、お楽しみに!
ところで、みなさんは、NHK「連続テレビ小説」第100作目の「なつぞら」をご覧になっていますか? わたしは、主役なつを演じる広瀬すずの大ファンでありながら、忙しさにかまけて、まだ一度も観ていませんでした。

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なつの白無垢姿(NHK「なつぞら」より)

 

なつぞら」は1937年(昭和12年)に東京に生まれ、戦争で両親を失い父の戦友に引き取られた戦災孤児の少女なつが、北海道の十勝で広大な大自然と開拓者精神溢れる強く優しい大人たちに囲まれてたくましく成長し、上京後北海道で育んだ想像力と根性を活かして当時「漫画映画」と称された草創期の日本アニメの世界でアニメーターを目指す姿を描く物語です。DVD-BOXが発売されたら購入しようとは思っていましたが、昨日10日に放送された第114回に、なんと広瀬すずの白無垢姿が登場したとネットで知り、早速、NHKオンデマンドで観ました。そのあまりの美しさと感動のドラマに、わたしの涙腺は大いに緩んでしまいました。

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昭和の祝言(NHK「なつぞら」より)

 

いやあ、114回放送されている中のたったの1回しか観ていないのに、もう「なつぞら」に夢中です。「MANTAN WEB」の「なつぞら:感動呼んだ泰樹の“ありがとうの涙” スタッフももらい泣き?」という記事には、次のように書かれています。
「女優の広瀬すずさんが主演を務めるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『なつぞら』の第114回が8月10日に放送され、花嫁姿のなつ(広瀬さん)の前で涙する泰樹(草刈正雄さん)にもらい泣きする視聴者が続出した。この日は、なつ(広瀬さん)と坂場(中川大志さん)、夕見子(福地桃子さん)と雪次郎(山田裕貴さん)の結婚式のシーンが描かれた」

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感動の名シーン (NHK「なつぞら」より)

 

続いて、以下のように書かれています。
「その当日、白無垢姿で牛舎へとやってきたなつが『じいちゃん、長い間お世話になりました』とあいさつすると、泰樹は『ありがとうな』と感謝の言葉で返答。『ありがとうはおかしいべさ。育ててくれた、じいちゃんが』と驚くなつに、さらに泰樹は『わしもお前に育ててもろた。たくさん、たくさん、夢をもろた』と告げ、『ありがとう。おめでとう、なつ』と涙を流した・・・・・・」

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感動の名場面でした(NHK「なつぞら」より)

 

続いて、以下のように書かれています。
「SNS上では『涙が止まらない』『朝から号泣』『涙腺崩壊』『涙腺大決壊』などといった言葉が多数並んだが、『なつぞら』の公式ツイッターも『白無垢姿は初めてだという広瀬すずさん。着替えて衣装部屋から出てくると、みんなに「おめでとう」と声をかけられていました。じいちゃん役・草刈さんとのシーンでは、スタジオで涙するスタッフも。なっちゃん、本当におめでとうございます』と放送後に投稿していた」

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広瀬すずのインスタグラムより 

 

続いて、以下のように書かれています。
「また、公式サイトで広瀬さんは『白無垢を着てスタジオ前で待っていると、みんなに「おめでとう」と声をかけられるんです。松嶋(菜々子)さん、小林(綾子)さん、高畑(淳子)さんといった大先輩からも「おめでとう」と言っていただいたり、スタジオに入るときにはスタッフの方々も「おめでとう」と迎えてくださったり、“朝ドラってすごいな”って感じました』と振り返っていた」

 

広瀬すずは結婚情報誌「ゼクシイ」の第7代CMガール(2014年~15年)でしたので、そのウェディングドレス姿は見たことがありました。もちろん美しいのですが、モデルを務めた当時の彼女はまだ16歳ぐらいだったこともあり、「ちょっと花嫁さんにしては若いな」と思った記憶があります。現在の彼女は21歳ですが、白無垢姿の似合うこと、似合うこと。神々しささえ感じます。わたしは、「日本人は和が似合う」という自分の信条を再確認しました。


サンデー毎日」2016年10月23日号

 

以前、わたしは「サンデー毎日」でも「日本人は和が似合う」というコラムを書いたことがあります。わが社の松柏園ホテルでは、海外からの研修生を受け入れていますが、彼らは「結婚式の際、なぜ日本人は積極的に和装にしないのか?」と疑問を持つようです。実は同ホテルでは、日本庭園が人気ということもあり、和装率が7割以上と全国平均を大きく上回っているのですが・・・・・・。


和を求めて』(三五館)

 

それでも海外から来た彼らは違和感を禁じ得ないといいます。確かに結婚式のとき、韓国の人たちはチマ・チョゴリを着ますし、インドの人たちはサリーを着ます。その他、タイ、ミャンマーハンガリーウクライナ、そしてイスラム圏・・・・・・世界中の人々が、結婚式では自分たちの民族衣装を身にまとうはずです。そう考えると、日本の結婚式には、やはり和服がないと物足りないように思います。

 

言うまでもなく、和服は日本の民族衣装です。日本人の女性は和装が一番似合い、一番美しく見えるのは当然なのです。そもそも肌の色や体形に合わせて、日本の女性を最も美しく見せるようにデザインされたものが和服だからです。新婦だけではありません。新郎の和装姿は「侍」を連想させ、男ぶりを大いに上げます。ぜひ、これから結婚式を予定されている方は和装にしてほしいものです。「日本人には和が似合う」といえば、現在、京都きもの友禅のCMでは、広瀬すずに続く若手人気女優の浜辺美波が明治・大正・昭和・平成・令和の5つの時代の振袖姿を披露しています。彼女は現在18歳ですが、おそらくは20歳以降にNHK朝ドラで主演を務めると思います。

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合同結婚式のようす(NHK「なつぞら」より) 

 

なつぞら」第114回に登場したなつと夕見子の合同結婚披露宴のシーンも良かったですね。とても昭和の香りがしました。ブログ「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で紹介した映画は何となく昭和の香りがしました。小学生の頃に観た「東宝チャンピオンまつり」のゴジラ映画を思い出したのです。思うに、令和の「和」は昭和の「和」ですが、令和になって各所で昭和リバイバルが同時多発で起こっているように思います。平成はオウム真理教事件や大災害などで暗いイメージがありましたが、令和になって一気に明るくなったような気もします。

 

ヘーゲル弁証法で言えば、昭和が「正」で、平成が「反」、そして令和が「合」なのでしょうか。わたしは、平成の時代の出来事で最も乗り越えるべき現象は「無縁社会」だと思います。ゴジララドンモスラといった昭和の怪獣たちが令和になって再びスポットライトを浴びたように、平安閣や玉姫殿や高砂殿などでかつて行われた昭和テイストの結婚披露宴や、血縁・地縁・社縁を総動員した葬儀も見直されるかもしれません。ちなみに、昭和の結婚披露宴といえば、「男はつらいよ」の第1作では、さくらと博と感動的な披露宴が行われました。寅さんのセリフもこの上なくハートフルで、これは泣けます!

 

2019年8月11日 一条真也