あらゆる力は、気から生まれる(中村天風)

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一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、異色の哲学者である中村天風の言葉です。天風は「あらゆる力というものは、それが何の種類であると問わず、すべて気というものから生まれる」と語りました。彼は、合気道の生みの親である植芝盛平とも交流がありました。



「気」とは何か。まず、宇宙と人間との関わりから考えてみましょう。人間とは、「大宇宙」すなわち自然の中に生命を与えられた「小宇宙」です。東洋医学では自然と人間との関係を示すのに五行説を用います。1年の春夏秋冬を「四季」と呼びますが、夏と秋のあいだに土用が入って、季節は五季になります。人間の身体には肝、心、脾、肺、腎があって、これを「五臓」と呼びます。また、目、舌、口、鼻、耳から感じる感覚を「五感」と呼び、味についても「五味」という表現があります。このように、自然と人間との関わりで「5」が重要なキー・ナンバーになっているのです。

 

さらに、1年は12ヵ月、人間の体内に走っている経路は12脈、1年は365日、ツボと呼ばれる体内の経穴は365ヵ所、大動脈は12脈、静脈は365脈、大きな関節は12、小関節は365といったふうに、宇宙と人間はミステリアスなまでに対応しています。その宇宙には気という生命エネルギーが満ちています。人間や動植物は、宇宙から気のエネルギーを与えられて生まれます。また、宇宙の気のエネルギーを吸収して生きているのです。東洋医学では、人間は天の気(空気)と地の気(食物)を取り入れて、体内の気と調和して生存しているといいます。科学的に見れば、気は1つの波動なのです。したがって気が乱れると病気になってしまいます。


サンレー・オリジナル「産霊気功」のようす

 

わが社では毎日の朝礼において、全員で気功を行っています。かつて、佐久間進会長がオリジナルの「産霊気功」を開発したのです。何度も新聞やテレビで紹介されたこともあり、わが社のことを「気功の会社」とか「気の経営」と表現する人も多いようです。サンレー創業以来、「気づき、気配り、気働きこそホスピタリティそのもの」という考え方を佐久間会長は信念としてきました。その意味で、サービスは「気」に通じるのであり、サービス業とは「気業」であるとも言えるでしょう。


サンレー社員による気功指導

 

さらには、サービス業に限らず、企業そのものが気業であるとも考えられます。わたしは、「企業とは経営者の持っている気が社員に乗り移る生命体である」と思っています。経営者が強気で陽気なら、強気で陽気な会社となり、その逆なら、弱気で陰気な会社となるのです。わが社では1988年に「気業宣言」を導入し、ことあるごとに「気」の重要性を社員に説いてきました。ブログ「気功で元気になろう!」で紹介した産霊気功を朝礼に取り入れたのもそれ以来です。現在では、サンレーグループの社員のみならず、広く各地の市民の方々にも気功指導を行っています。

 

中村天風の「あらゆる力というものは、それが何の種類であると問わず、すべて気というものから生まれる」という言葉に戻りましょう。積極的に力強く人生を生き抜くためには宇宙エネルギーを取り入れることが欠かせないという天風の教えの源流には、インドのヨガがあります。ヨガには、プラナヤマ(呼吸法)によって宇宙にあまねく存在しているプラーナ(宇宙エネルギー)を呼吸していくという考えですが、このプラーナは「活力」とも「気」とも呼ばれます。プラーナにしろ活力にしろ気にしろ、呼び方はさまざまです。いずれにせよ、それらを取り入れ、活力のある会社にすることが大切です。なお、今回の中村天風の言葉は、『孔子とドラッカー新装版』(三五館)にも登場します。

 

 
2019年8月7日 一条真也