災害時は紫雲閣へ

一条真也です。2日、「西日本新聞」に「令和こころ通信 北九州から」の第5回目が掲載されました。月に2回、本名の佐久間庸和として、「天下布礼」のためのコラムをお届けしています。今回のタイトルは「災害時は紫雲閣へ」です。

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西日本新聞」2019年7月2日朝刊

 

梅雨です。毎日のように雨が降って、ジメジメしています。気分まで滅入ってきます。強い雨が降ると、昨年7月の西日本豪雨の悪夢を思い出します。北九州市内でも土砂、崖崩れが407件ありました。死者2人、重傷4人、軽傷1人、家屋被害が全壊14棟、半壊15棟、一部損壊99棟、床上浸水116棟。あれから、もう1年が経ちます。豪雨をはじめ、地震津波、台風などの災害が発生した場合、自治体は避難情報を出し、被災者は避難所を利用します。多くの場合、避難所は体育館や学校などです。けっして居住性が高い施設とは言えず、不便な避難生活を強いられます。

 

そんな中、北九州市は冠婚葬祭業であるわが社サンレーと「災害時における施設の使用に関する協定」を締結しました。災害時に予定避難所として小倉紫雲閣小倉北区)と北九州紫雲閣(八幡西区)の2施設を使用するという協定です。この2施設はスタッフが常駐するため24時間受け入れ可能で、バリアフリーにも対応。授乳や夜泣きなど乳幼児に配慮して個室も用意できます。駐車場はいずれも100台以上収容可能で、身障者や高齢者が車で避難してくることも可能です。

 

先月4日、私は北橋健治市長とともに北九州市役所で調印式および記者会見を行いました。そこで私は、「北九州市は高齢者が多く、安定した避難所が必要です。今回の避難所開設で市民の皆様に安心していただきたい」「まったく訪れたことがない体育館などより、一度でも行ったことがある施設の方が避難しやすい。紫雲閣なら、空調もあり、駐車場も広く、体が不自由な人でも避難できます」と述べました。

 

北橋市長からは「北九州市の災害対応力向上につながり、大変ありがたいお話。高齢者や子連れの家族避難につながる。『総合的な防災対策に取り組む地域社会』を構築したい」という期待の言葉を頂戴しました。わが社は昭和41(1966)年に北九州市で創業し、以来53年間、全国各地で冠婚葬祭互助会の事業を展開しています。「人間尊重」を経営理念とし、地域の皆様のお役に立てること、そして必要とされる会社となることを目指してきましたが、今回の協定の締結で、大きな目標に一歩近づくことができ、大変嬉しく思っています。

 

紫雲閣は一般に「セレモニーホール」と認識されていますが、私は「コミュニティセンター」へと進化させたいと考えています。「葬儀をする施設」から「葬儀もする施設」への転換です。いずれは都市のインフラにまで存在価値を高めたいです。わが社は冠婚葬祭互助会ですが、互助会というビジネスモデルの根底には「相互扶助」の理念があります。ぜひ、ビジネスを超えた互助社会というものの実現を目指したいです。

 

2019年7月2日 一条真也