簡易仏壇のすすめ  

一条真也です。東京に来ています。
19日、冠婚葬祭総合研究所の今後のあり方を考える会議に出席しました。20日、「サンデー毎日」3月4日号が発売されます。表紙の人物は、平昌五輪のフィギュアスケート男子フリーで66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦選手です。わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。第118回のタイトルは、「簡易仏壇のすすめ」です。


サンデー毎日」2018年3月4号



今回は、簡易仏壇の話をしたいと思います。
現代日本では、家族の結びつきが希薄になっているようですが、その一因として、ご先祖さまと自分がつながっていると感じる空間やツールが家の中にないことが挙げられます。家族がそれぞれ手を合わせて、意識を「同期」させるための場所がないからです。



仏壇は、ご先祖さまという「目に見えない」ものを「目に見える」具体的な形にしたものです。実家に先祖代々の仏壇があっても、いまの住まいには仏壇がない家庭も多いと思います。できれば、家族全員が気持ちを「同期」させ、手を合わせて祈る場所がほしいもの。必ずしも立派な仏壇でなくてもよいし、ご先祖さまの「位牌」がなくてもいいです。



そもそも仏壇とは、ご先祖さまの位牌を安置しておく場所ではなく、家の宗派が拠りどころとする「御本尊」を祀るべき場所です。いってみれば家庭内に寺院の本堂と同じ空間を設けることなのです。そこで本格的な仏壇を備えるのもいいが、「簡易仏壇」を置くことを検討してはいかがでしょうか。


実際、核家族化が進み、親子二代だけという世帯構成が都心部ではほとんどです。住宅事情や経済的制約を考えると、簡易仏壇は便利で現実的です。簡易仏壇の仕様は多種多様。材質や色調はもとより、デザインもシンプルさが基調となっており、中にはもはや仏壇とは思えないインテリアのようなものまであります。



仏壇に欠かせない三具足(ロウソク立て・香炉・花器)やお鈴も、小ぶりでモダンなデザインが流行っている。見ているだけで楽しいです。年配者の中には、死者が出る前にお仏壇を置くなんて「縁起でもない」と考える方も少なくないようです。



でも、お墓は寿陵(生前墓)というのも珍しくありませんし、位牌に戒名が書かれている個別の故人を供養するという目的でなくともいいのです。
お仏壇を通じて、ご先祖さまに日々感謝をする・・・・・・。
その目的のために簡易仏壇を求めてはいかがでしょうか。


サンデー毎日」2018年3月4号の表紙



2018年2月20日 一条真也