はれのひ事件に思う

一条真也です。
8日は「成人の日」でした。
北九州市では昨日7日に成人式が行われました。わが社の各地の冠婚施設でも昨日、今日と早朝からスタッフのみなさんが頑張ってくれました。しかし、この晴れの日に前代未聞の事件が発生しました。


9日付の各紙朝刊



着物レンタル業者の「はれのひ」が突然、営業を停止したのです。人生に一度の晴れの日に、振り袖を着られない女性たちが相次ぎました。
はれのひ」の本社は横浜市に本社があるそうです。同社は4つの店舗を運営しており、ウェブサイトによると、同社は振り袖や小物のレンタル、写真撮影のほか、成人式当日の着付けなども請け負っています。
しかし、成人の日の8日朝になって、突然、営業を停止。
横浜市と八王子市の店舗は、もぬけの殻だったといいます。まさに、ブログ「嘘八百」で紹介した映画の世界そのものです。しかし、騙した相手は悪徳古物商ではなく、何の罪もない新成人とその親御さんたちでした。


当然ながら、振り袖が幻となった女性らからは、悲鳴が相次ぎました。
約束通りに早朝に店を訪れても、頼んだ着付けのスタッフの方もおらず、代わりにほかの着付け屋さんに行ったり、着物を知り合いから慌てて借りた新成人もいたそうです。また、ある新成人は成人式に備えて母親の振り袖を店に預けていましたが、「はれのひ」と連絡がつかず、その行方もわからないといいます。被害者の方々の心中を思うと、たまりません。


冠婚葬祭屋として、わたしは怒髪天を衝く思いです。これはもう立派な犯罪です。逃げた社長を逮捕すべきです。わたしにも娘がいますが、もし、このような目に遭ったら、わたしは相手を絶対に許しません。逃げた社長を地の果てまでも追ってゆき、必ず罪を償わせます。マスコミやネット民も、こういうときこそ、逃げた社長の顔写真を入手して拡散し、国中を挙げて探すべきだと思います。本当に、こんなに怒りを感じた事件は久しぶりです。人間にとって最も大切なものを奪った、きわめて悪質な犯罪です。問題の会社の社員のみなさんも、ぜひ犯人逮捕に協力していただきたいです。


八王子市の会場では、被害に遭った人の対応のために急遽、ボランティアを集めて、着付けを行いました。まさかの事態に、市も着付けのボランティアを募るなどして、ギリギリまで対応しましたが、振り袖を着られなかった約100人の被害者のうち、救済されたのは6人くらいだったとか。
また、問題の会社とは無関係の美容院などもネットなどで呼びかけ、急遽、新成人を受け入れました。ユーミンの実家の荒井呉服店も一部対応してあげたそうです。こういう、善意の人々がいてくれて良かったです。
計画倒産で社長が逃げるのは定番ですが、社員はどうしているのかと思っていたら、福岡市内の店舗だけは、「営業するのは当たり前。お嬢様たちを泣かせるわけにはいかない」と午前中は通常対応していたようです。九州の店舗にだけは心ある社員がいたのは、せめてもの救いでした。


わが社のエリアでこのような事態が起こった場合は、ぜひ被害者の方々をお救いしたいと思います。一生に一度の晴れの日を台無しにされた被害者の方々の無念と悔しさを思うと、言葉もありません。成人式に限らず、結婚式も葬儀も一生に一度のかけがえのない「セレモニー」であり、「メモリー」です。最近、福岡県の葬儀保証組合が破産し、会員から「葬儀サービスが受けられない」と悲鳴が上がっていると、元旦のヤフー・ニュースのTOP記事で出ていました。冠婚にしろ、葬祭にしろ、一部の業者のために冠婚葬祭業界全体の信頼が損なわれるのは残念でなりません。冠婚葬祭業者は、「絶対に失敗は許されない」ことを肝に銘じなければなりません。冠婚葬祭業は「こころの仕事」です。「嘘八百」を言って、お客様を裏切ってはならないのです。最後に、夜逃げする貸衣装店はもちろん論外ですが、奇をてらった下品な衣装を新成人に高額で貸し付ける店も罪深いと思います。



2018年1月8日 一条真也