老いてこそ文化に親しむ  

一条真也です。
今日で10月も終わり。わたしにとって思い出に残る月でした。
31日、「サンデー毎日」2017年11月5日号が発売されます。
表紙の人物は俳優の船越英一郎さんです。今年は大変でしたね。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
第103回は、「老いてこそ文化に親しむ」です。


サンデー毎日」2017年11月12日号



11月3日は「文化の日」です。
「文化」といえば、わたしは常々、「老い」とセットで考えています。
敬老の日」に合わせて総務省が発表したデータでは、全国で90歳以上が初めて200万人を超え、人口の約60人に1人が90歳以上となりました。



人は老いるほど豊かになるというのが、わたしの持論です。一般に、高齢者には豊かな時間があります。時間にはいろいろな使い方がありますが、「楽しみ」の量と質において、文化に勝るものはないでしょう。さまざまな文化にふれ、創作したり感動したりすれば、老後としての「グランドライフ」が輝いてくるはずです。



文化には訓練だけでなく、人生経験が必要とされます。また、文化には高齢者にふさわしい文化というものがあるように思います。長年の経験を積んでものごとに熟達していることを「老熟」といい、経験を積んで大成することを「老成」といいます。「老」には深い意味があるのです。



わたしは「大いなる老いの」という意味で「グランド」と名づけています。これは、グランドファーザーやグランドマザーの「グランド」でもあります。この「老熟」や「老成」が何よりも物を言う文化が「グランドカルチャー」です。グランドカルチャーは、将棋よりも囲碁、生花よりも盆栽、短歌よりも俳句、歌舞伎よりも能とあげていけば、そのニュアンスが伝わるのではないでしょうか。



もちろん、どんな文化でも老若男女が楽しめる包容力をもっていますが、特に高齢者と相性のよい文化、すなわちグランドカルチャーというものがあります。わが社では高齢者向けの文化教室「グランドカルチャーセンター」を運営しています。



グランドカルチャーは高齢者の心を豊かにし、潤いを与えてくれます。それは老いを得ていくこと、つまり「得る老い」を「潤い」とします。超高齢社会を迎えた今こそ、高齢者は文化に親しもうではありませんか。その生き方が、「後期高齢」を「光輝好齢」に変えてくれるはずです。


サンデー毎日」2017年11月12日号の表紙



2017年10月31日 一条真也