「ひよっこ」が描いた有縁社会 

一条真也です。
10日、「サンデー毎日」2017年10月22日号が発売されました。
表紙は、アニメ映画「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」です。
音楽を担当するのは宮川彬良さん。「ひよっこ」の音楽家ですね。
わたしは、同誌にコラム「一条真也の人生の四季」を連載しています。
おかげさまで、この連載もついに100回目になりました!
記念すべき第100回は、「『ひよっこ』が描いた有縁社会」です。


サンデー毎日」2017年10月22日号



NHK朝の連続テレビ小説ひよっこ」が終わりました。
全国に「ひよっこ」ロスが発生しているようですが、わたしも楽しみに観ていました。基本的にテレビを観ない人間なのですが、桑田佳祐さんの主題歌「若い広場」に導かれたのです。



ひよっこ」は、東京五輪が開催された1964年から始まる物語です。
茨城から集団就職で上京した谷田部みね子の成長物語で、有村架純さんがヒロインを熱演しました。これまでの朝ドラと違って実在のモデルがいないので、先の展開が読めず、毎回ハラハラドキドキさせられました。岡田惠和氏の脚本がとにかく素晴らしく、それぞれの登場人物の人生には深みがありました。



集団就職した若者たちがさまざまな苦難にも負けずに、明るく前向きに生きる姿には勇気を貰いましたし、みね子が就職した向島電機が倒産したときのエピソードには泣かされました。向島電機の倒産後、みね子は赤坂のレストラン「すずふり亭」で働きますが、その裏にある広場には隣人たちが集い、「隣人祭り」が開かれました。



このドラマでは、家族も隣人も職場の仲間もみんな「かけがえのない」存在でした。「ひよっこ」は、日本で血縁、地縁、職縁が最後の輝きを放った物語かもしれません。2010年に「無縁社会」キャンペーンを展開したNHKですが、素晴らしい「有縁社会」のドラマを作ってくれました。



多くの縁も結ばれました。プロポーズや婚約発表の場面が非常に多いのが印象的なドラマでした。登場人物たちが次々に結ばれていき、最後は主人公みね子と恋人のヒデが結ばれました。本当に、幸せな気持ちになれる朝をたくさん与えてくれました。



最終回のヒデとみね子がみんなに結婚の報告をする場面で、みね子の叔父の宗男が感極まって泣きながら、「悲しい出来事に幸せな出会いが勝ったんだ!」と言います。この言葉に感動しました。父親の失踪、会社の倒産、初恋の人との別れなど、「悲しみ」もたくさんありましたが、ハッピーエンドで良かったです。素敵なドラマに感謝!


サンデー毎日」2017年10月22日号の表紙



2017年10月10日 一条真也