自分で自分を尊敬できる人間になれ(渡部昇一)


一条真也です。
ブログ「渡部昇一先生 逝く」に書いたように、4月17日、私淑する渡部昇一先生が逝去されました。謹んで哀悼の誠を捧げさせていただきます。
「知の巨人」であり、「稀代の碩学」であり、「現代の賢人」であった渡部先生は多くの名言を残されています。


自分の品格 (知的生きかた文庫)

自分の品格 (知的生きかた文庫)

渡部先生は「読書家」にして、「愛書家」であり、「蔵書家」。この3つが矛盾なく一致しておられた稀有な教養人でした。その渡部先生ご自身は、著書『自分の品格』(三笠書房)で次のように述べておられます。
「品格のある人、品性の高い人というのは、周囲の人たちと比べて、『卑しいことはやらない』という高いプライドを持っている人のことだ。あるいは、辱めを受けないということを、肝に銘じている人のことだろう。そしてこのプライドを持ってこそ、人は自分の限界を破っていけるのである」


稀覯本について説明して下さる渡部先生



真に品格のある人の特長は「簡単に物事を諦めないこと」だと渡部先生は喝破され、自分がやりたいことに情熱を注げば必ず人生は好転していくはずだと力強く語られます。
どんな仕事、職業であれ、「できない理由」探しはせず、やるための意義を見つけていく姿勢を堅持し続けるがゆえに一流の域に達するのであり、この過程で品格が醸成されていくのです。
人生でいちばん大事なことは何か。一つだけあげよと問われたならば、「できない(やらない)理由を探すことなく、志を保ち、自分で自分を尊敬できる人間になれ」と渡部先生は語られています。


渡部先生こそは、わたしが理想とする「品格の人」でした



わたしは本を読むという行為そのものが豊かな知識にのみならず、思慮深さ、常識、人間関係を良くする知恵、ひいてはそれらの総体としての教養を身につけて「上品」な人間をつくるためのものだと確信しています。まさに渡部先生こそ、わたしの理想とする「品格の人」でした。わたしは渡部氏の謦咳に接する機会に恵まれましたが、その思いやりと礼節に心の底から感銘を受けました。品格は風貌に現れるものです。『論語』を出典とする「威ありて猛からず」という言葉は、渡部先生にこそ相応しい形容でしょう。


永遠の知的生活』(実業之日本社



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2017年4月19日 一条真也