一条真也です。
8日の11時30分から、北九州市の成人式が開催されました。会場は小倉北区の北九州メディアドームです。わたしは来賓として招待されており、参加してきました。じつは自分自身の成人式にも長女の成人式にも参列していないので、わが人生で初の成人式体験でした。
『儀式論』の著者としては、やはり成人式を知らねば! しかも、何かと話題の北九州の成人式です。実際に生の成人式に参加してみて気づいたこと、浮かんだアイデアなどが山のようにありました。
わたしのような「儀式バカ一代」をレアな儀式に参加させると、もう骨を与えられた犬のようになります。とことん味わい、しゃぶり尽くしますぜ!(笑)
今年は全国で123万人の新成人が誕生しました。昨年よりも2万人ほど多く、新成人人口は2年ぶりの増加となったようです。わたしが経営するホテルや結婚式場でも振袖のレンタルを行っており、各地で数多くの新成人のお手伝いをさせていただいています。早朝眠い目をこすりながら家族と共に来館され、着付け後は晴れやかな姿で家族や友人達と記念撮影をする姿はとても微笑ましく、文字通り太陽のように眩しく輝いています。なお現場スタッフはほぼ徹夜で準備からお見送りまでを行います。冠婚葬祭業のわが社にとっても成人式は「特別なハレの日」なのです。
今年の成人式の開催テーマは「夢に向かって」でした。
行事は式典とアトラクションの二部構成になっていました。最初の式典では、ヴォーカルアンサンブルグループのtutti(トゥッティ)による「国歌斉唱」、北九州市の北橋健治市長による「主催者あいさつ」、北九州市議会の戸町武弘議長による「来賓あいさつ」がありました。
予想していたのとはまったく違い、会場内の新成人たちはみな静聴していました。ここに来る前は「儀式を壊す者がいたら、俺が許さん!」と構えていたのですが、そんな心配はまったくありませんでした。どうも、式典に参加しているのは真面目な新成人たちのようです。それから、今回の成人式の実行委員会のみなさんが紹介されました。ステージに一同に並ぶと、好印象の若者ばかりです。そして「新成人・感謝のことば」として、九州国際大学経済学部経済学科の大島和也さんと北九州市立大学地域創生学群地域創生学類の三嶋愛さんが新成人としての決意と両親への感謝の言葉を述べました。成人式に限らず、結婚式でも葬儀でも、通過儀礼というのはすべて「感謝」の心を表わす場なのだと再認識しました。
しかしながら、一部業者の影響により、ここ数年本社所在地である北九州市の成人式が「派手すぎる」と注目を浴びていました。行政は「きちんとした服装で出席するように」と異例の呼びかけまでしましたが、騒動は繰り返されました。あろうことかネット上では「安定のヤンキー文化」「修羅の国」など正月の風物詩(?)として負の拡散をしていたというのです。
「まちに感謝!おそうじ大作戦」の本部テント
ゴミ袋の前で・・・・・・
そこで、わたしは昨年の式典後すぐに市の青少年課に連絡をし、成人式の正常化へ全面的に協力したいと伝えました。そして今年、新成人が式典後に会場周辺で取り組む「おそうじ大作戦」というプロジェクトがスタートした。わたしが社長を務める株式会社サンレーはオリジナルデザインのゴミ袋を製作し、とりあえず5000枚を寄贈しました。
「沖縄タイムス」2013年1月14日朝刊
これには伏線があります。しばらく前に「荒れる成人式」として全国に知られた沖縄では、新成人による「ゴミ拾い」が始まったのを機に、成人式の様子が全国に発信されなくなりました。沖縄の成人式が変わったのです。
ブログ「沖縄の新成人」で紹介したように、心ある新成人たちの勇気ある行動がすべてを良き方向に変えたのです。当時の清掃活動を主導した多和田君という若者は、今わが社の沖縄事業部の正社員として働いています。
「沖縄タイムス」2013年10月16日朝刊
今回、沖縄の成人式正常化の取り組みに学びたいという北九州市の要請がありました。それで、北九州市の職員の方々と多和田君との面談の機会を設けたりして、このプロジェクトに参加してきたのでした。今日は朝から雨天のために「おそうじ大作戦」は中止になるかと心配しましたが、式典の開始直前には雨が上がりました。
ど派手な北九州の新成人たち
取材クルーが殺到!
個人名入りのノボリも登場
まあ、ハローウィンみたいなものでしょう(微笑)
式典終了後には、例年のように会場前の広場でヤンチャな新成人たちが騒ぎ始めました。「天下布礼」の幟を持って徘徊したのですが、服装は派手でも顔を見ると気の良さそうな若者ばかりでした。彼らもピンクのネクタイに白いマフラーをしたオッサンが幟を持ってウロウロしているので、ギョッとしたのではないでしょうか。本当はサングラスもしたかったのですが、それだとヤクザに間違えられる恐れがあるため控えました。奇抜な恰好をして目立ちたいというのは決して悪いことではありません。それは「バサラ」とか「カブキ」にも通じる意識であり、文化を発展させる推進力ともなるものです。わたしは北九州のど派手な新成人たちを微笑ましく眺めながら、「これは仮装大会のようなもので、ハローウィンと同じだな」と思いました。
会場前広場には空き瓶・空き缶・ゴミが散乱
清掃を開始する新成人
清掃する新成人を取材陣が追う!
そうじサポーターの北九州仮面と
一方で、心ある若者たちは「まちに感謝!おそうじ大作戦」スタッフの呼びかけに応えて、続々とゴミ袋を持って清掃を始めました。その姿を見たマスコミはど派手な連中から離れて、清掃する新成人の姿をカメラで追い始めました。わたしは、「これで北九州の成人式は変わる」という確信を持ちました。わたしは北九州市の成人のイメージが変わるまで、あきらめずに挑戦を続ける覚悟です。沖縄から北九州へ・・・・・・輝かしい新成人たちが将来を担うこの日本は決して修羅の国ではないはずです。
最後に、新成人のみなさん、今日は本当におめでとうございました!
*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。
2017年1月8日 一条真也拝