旦過市場

一条真也です。
「こどもの日」の今日、「北九州の台所」と呼ばれる旦過市場に行きました。「毎日新聞」に連載している「北九州発 ハートフル通信」の取材です。市場の隣にある創業74周年の名画座小倉昭和館」を訪れたのですが、ちょうど昼時でもあり、映画が開始されるまでの時間を利用して久々に市場の中に入りました。ブログ「アウンサウン・マーケット」で紹介したミャンマーの市場を訪れたとき、わたしは故郷にある旦過市場を連想しました。


旦過市場の北口側入口全景


ここに訪れるのは主婦などの一般消費者だけではありません。料理店などの料理人も買い付けに訪れ、その様子はグルメ番組や旅番組でもお馴染みです。カメラを手に持って市場を徘徊する観光客の姿もよく見かけます。なお、北口側入口の右にはスーパーの「丸和」があります。ここは日本初の24時間営業型スーパーとして有名な店で、かの故・中内功氏も「主婦の店ダイエー」を創業する前に視察に訪れています。


久々に旦過市場に入ってみました

昭和の香りがプンプン漂ってきます


旦過市場が出来たのは、大正時代のはじめです。隣接する神嶽川から魚の荷揚げ場として成立したのです。その後、田川や中津方面からの野菜が集積され、現在のような市場となったそうです。市場はアーケードになっており、200以上の店舗が並んでいます。鮮魚・青果・精肉・惣菜などを扱う店が多いですが、北九州市を代表する市場として、よく福岡市の柳橋連合市場と並び称されます。


映画「初恋」撮影のロケ地になりました


さて、わたしは、1963年つまり昭和38年生まれです。旦過市場に連なる店舗は昭和30年代に建てられた木造建築が密集しています。1960年代を時代背景とした映画「初恋」の撮影ロケーションもこの市場で行われました。68年の三億円強奪事件をテーマとして、宮崎あおい小出恵介が主演した2006年公開の映画ですね。泣ける名作でした。ちなみに北九州市は映画撮影ロケ地として全国でも有名です。築80年近くになるわがボロ家は、映画「精霊流し」のロケ地にさせてほしいとの依頼がありました。主人公の母親である松坂慶子が住む家として撮影したいとのことで、田中光敏監督以下のスタッフ大勢がわが家に下見に来られました。また、川本三郎原作で妻夫木聡が主演した映画「マイ・バック・ページ」では、わが社の松柏園ホテルをなんと昭和40年代の帝国ホテルとして撮影したいとのオファーもありました。どちらも思うところあって、お断りしましたけれども・・・・・。


「旦過うどん」からオデンの匂いが・・・・・

これが旦過名物「イワシのぬか炊き」です

「かやくうどん」は、なつかしい味がしました


昭和の香りがプンプンする旦過市場を歩きながら、わたしは子どもの頃を思い出していました。そして、出口近くにある「旦過うどん」の店先からオデンのいい匂いが漂ってきました。中に入って、オデンをつまみながらビール大瓶を1本飲み、市場名物の「イワシのぬか炊き」と「かやくうどん」を食しました。本当は冷酒なども飲みたかったのですが、この後、小倉昭和館で映画の二本立てを観る予定なので我慢しました。アルコールが入ると眠くなりますから。というわけで、「こどもの日」の旦過市場散策は、わたしをノスタルジーに満ちた昭和の時代へとタイムトリップさせてくれる心の旅となりました。はい。


「こどもの日」の旦過市場にて



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年5月5日 一条真也