朝倉未来へ!

一条真也です。
7月28日、さいたまスーパーアリーナで格闘技イベント「超RIZIN.3」が開催されました。メインイベントは、朝倉未来平本蓮のMMAルール戦。ついに因縁の一戦が行われました。あまり興味はありませんでしたけど。

「ABEMA」より

 

パリ五輪の柔道競技がTV放送される日にPPVでチケット販売とは良い度胸をしていますね。まず、そのことに驚きました。ABEMAでは一般チケットが6900円、朝倉未来応援チケットが8900円、平本蓮応援チケットが8900円と、「どうして、こんなに高いの?」と思うほど高価でした。いや、本当に高いですよね?


「ABEMA TIMES」より

 

メインイベントでは、元K―1ファイターの平本蓮(剛毅會)が、「負ければ引退」を公言していた“路上の伝説”朝倉未来(JAPAN TOP TEAM)1回2分18秒TKOで勝利しました。平本は、朝倉の右ストレートに左フックをカウンターで合わせ、ぐらついたところに、さらに打撃を集中。朝倉が下がりながら放った右フックを冷静に見きわめて空振りさせると、渾身の左ストレートでダウンを奪いました。最後はパウンドで朝倉の力が抜けたところで、レフェリーが止めに入りました。RIZINでは3勝3敗の平本の完全勝利でしたが、「平本が強かった」というより「朝倉が弱かった」という印象です。

 

平本は試合後のインタビューで「なんも言えねぇ。練習してきた技が見事にはまった。やってきたことに間違いはなかった。やってきてよかった。1ラウンドから勝負だと思ってた。勝負の瞬間が絶対生まれるので、しっかり決められてよかった。RIZINチャンピオンになったんですけど、別のベルトがあるみたいなのでとりに行きたいと思います」と喜びを語りました。朝倉に対しては「引退しないで」とコメントしています。一方の朝倉は、平本との対戦が決定したとき、「年末にトップ戦線に食い込みたいので、復帰戦に楽な相手を用意してもらったので、ボコボコ痛めつけてやろうかなと思います。もし万が一平本に負けたら格闘技人生を引退します」と引退を懸けると宣言。ここまで言い切ったのですから、彼は引退するでしょう。

 

そもそも朝倉未来は“路上の伝説”などと呼ばれているわりには、よく負ける格闘家です。実際、MMAのフェザー級の世界ランキングでは100位となっており、そんなに強くありません。彼は事業でも成功していてお金持ちなので、格闘技を引退しても困らないでしょうが、1つだけお願いがあります。それは、ガラの悪い連中を集めて勘違いさせる「BreakingDown(ブレイキングダウン)」(BD)を止めてほしいということです。BDは1分間最強を決める格闘技イベントですが、彼はその社長を務めています。ですから、彼の完敗については、彼を慕う選手たちも衝撃を受けたようで、BDバンタム級王者である井原良太郎は「俺らは俺らの仕事をしていく。それは変わらない。ついていく」とコメントしています。

 

井原良太郎といえば足立区出身のヤンチャなファイターですが、投資詐欺疑惑や窃盗疑惑を持たれています。また、BD12のオーディションで朝倉未来ら運営を公開説教した前田日明に対して「老害」呼ばわりした失礼なクソ〇キもとい若者です。わたしはBDに参加している連中が大嫌いなのですが、BDの運営はもっと嫌いです。1分間といえども命のやりとりをする選手たちに対して基本的に報酬が支払われず、「喧嘩道」とかいうゲームアプリ内だけで使える仮想通貨の「喧嘩コイン」を10万円相当分貰えるというのには呆れるのを通り越して、笑ってしまいますね。なんじゃ、そりゃ?(笑)

 

まあ、人生崖っぷちの中年男女や、とにかく目立って有名になりたいだけのYouTuberとかTikTokerをタダ同然で使って、使い捨ててる構図が見えてきます。儲かるのは朝倉未来だけのような気がしますな。彼のビジネスセンスはなかなかのものですが、もともと少年院出身だった彼が世に出たのは前田が創設した「THE  OUTSIDERの(アウトサイダー)」のおかげです。そう、「不良少年の更生」というアウトサイダーの理念を最も体現している者こそ、朝倉未来なのです。彼には金儲けだけに走らず、前田日明やその師であるアントニオ猪木のような高い志を持っていただきたかったですが、どうも難しそうなので、BDはもう解散して下さい。「自分は有名人」とか勘違いするアウトローを増長させるだけですので。これが、わたしからのお願いであります。

 

高い志といえば、朝倉未来実弟である朝倉海はRIZINからUFCに転戦して、世界中の強敵を倒し、「世界最強」になるという志を抱いています。彼は、6月9日に開催された「RIZIN.47」のリング上でUFC挑戦を正式発表しました。UFCは海に対して特別待遇を用意しているそうで、「本当に特別な扱いをしてくれていて、どういう風に発表したら一番話題になるかなって考えてくれている。これって凄いことでめちゃくちゃ期待されてる。こんな大型契約はアレックス・ペレイラとか以来だと思う」と語っています。いきなり王座挑戦の噂も出ていますが、格闘技よりも事業に夢中な兄の未来と違って、朝倉海は本当の強者です。また恩師である前田日明にUFC挑戦を報告に行くという「礼」を重んじる好青年です。

 

朝倉vs平本戦が行われた28日は、パリ五輪の柔道で男子66キロ級の阿部一二三選手が、東京五輪に続いての連覇を果たしました。ウィリアン・リマ(ブラジル)との決勝は、合わせ技での一本勝ち。4試合中3試合が一本勝ちという圧倒的な強さを示しました。得意の袖釣り込み腰で合わせ技一本勝ちし、連覇を達成した阿部一二三が目指していたのは妹で女子52キロ級の阿部詩との「兄妹五輪連覇」でした。その詩が2回戦で一本負け。ウォーミングアップ中に妹の敗戦を見た一二三は、「絶対に妹の分までやりきる。もうやるしかないなっていう覚悟が決まった」と腹をくくったそうです。ちなみに、最強柔道家の阿部一二三も、朝倉未来も、平本蓮も、全員同じ66キロ級。その事実を知って思ったこともありますが、それを書くのは野暮ですね。一二三選手、本当におめでとう!

 

2024年7月28日  一条真也