侍ジャパンに捧げる・・・

一条真也です。
東日本大震災12年目となる3月11日、WBC1次ラウンド第3戦でチェコ共和国代表と対戦した日本代表は10―2で勝利し、初戦から3連勝を飾りました。ここのところ忙しくて初戦、第2戦は見逃しましたが、なんとか第3戦はAmazon prime videoで観戦。こんなに野球の試合を楽しめたのは、ずいぶん久しぶりです。

WBC第3戦を観戦(prime video)


先発を務めた佐々木朗希(prime video)

 

東日本大震災から12年のこの日、岩手・陸前高田市出身で自身も当時被災した佐々木朗希が満を持して先発のマウンドに上がりました。最速164キロを計測するなど1回のストレートは全て160キロ台をマーク。「令和の怪物」の異名に恥じない剛速球を投げました。二塁打で出した走者を味方のエラーで返し、先制点を許しましたが、3回2/3を投げ、被安打2の8三振。渾身の66球を投じ、堂々のピッチングを見せました。


先発メンバー(prime video)


日の丸を背負って(prime video)

 

1回に守備のミスから失点し、序盤から1点を追う展開となった侍打線は相手先発サトリアの120キロ台のストレートとチェンジアップに苦しめられました。しかし3回、サトリアのチェンジアップを吉田正尚が運んで2戦連続となる逆転の2点タイムリー。投手交代した4回にはラーズ・ヌートバー、近藤健介、大谷翔平の3者連続タイムリーに、吉田の犠牲フライで4得点を挙げました。さすがは「史上最強」の打線です!

大谷翔平の雄姿(prime video)


第3戦も日本完勝!(prime video)

 

1回こそ、チェコに先制点を許しましたが、日本の勝利を確信しつつ安心して観ていられるゲームでした。わたしは少年時代、巨人ファンでした。Ⅴ9時代の柴田・高田・王・長嶋・末次、第1次長嶋政権時代の柴田・高田・張本・王・柳田といったラインナップも強力でしたが、今回のWBC日本代表の打線は巨人の黄金時代を遥かに凌ぐ、まさに史上最強打線でした。これに、大谷翔平ダルビッシュ有・佐々木朗希といった最強投手陣も加わるのですから、まさに無敵の布陣です。


まさに史上最強チーム!(prime video)


侍JAPAN!(prime video)

 

なにしろ、村上宗隆(NPBにおけるアジア人打者・左打者としてのシーズン最多本塁打記録保持者。令和初にして、史上最年少の三冠王)、山田哲人(NPBにおける日本人右打者シーズン最多安打記録保持者・史上初の本塁打王盗塁王の同時獲得者、日本プロ野球史上、唯一のトリプルスリー複数回達成者)、中野拓夢(盗塁王の歴代最高盗塁成功率記録をプロ1年目で達成)という錚々たるメンバーにメジャーリーグに旋風を起こした大谷翔平まで参戦しているのですから。そんな彼らは「侍ジャパン」と呼ばれています。


朝日新聞」2020年1月1日朝刊

 

侍ジャパン」といえば、2019年に日本中を熱狂させたラグビーWCの日本代表を連想しました。初のベスト8入りした奮闘ぶりは、日本中に感動を与えました。じつは、彼らが心の支えにしていたのが、わたしが詠んだ歌であることを最近知って大変驚きました。というのも、「朝日新聞」の2020年元旦の朝刊に、わたしが15年前に詠んだ歌が紹介されたのです。ラグビー日本代表強化委員長の藤井雄一郎氏の心に響いたそうです。「おそれずに 死を受け容れて 美に生きる そこに開けりサムライの道」という歌ですが、2005年に公開されたトム・クルーズ主演の映画「ラスト・サムライ」にちなんだものです。

朝日新聞」2020年1月1日朝刊

 

朝日新聞」2020年1月1日朝刊の「わたしの折々のことば」に、「おそれずに 死を受け容れて 美に生きる そこに開けりサムライの道」「大手冠婚葬祭会社サンレー佐久間庸和社長」として掲載され、「映画『ラスト・サムライ』(トム・クルーズ主演)にちなんで2005年、サンレー北九州市)の佐久間庸和社長が、雅号『庸軒』として詠んだ。佐久間氏は、一条真也として作家としても活動する。19年のラグビーワールドカップ(W杯)で8強入りした日本代表は、サムライの美しさを意識したチーム作りをした。その中心にいた藤井雄一郎強化委員長は、インターネットで『勝元』をキーワードに検索し、この歌にたどり着いた。かつての武士が身につけていた潔さや謙虚さを教わる気持ちになったという」と書かれています。ラグビー日本代表は、サムライの美しさを意識したチーム作りをしました。その中心にいた藤井氏は、インターネットで検索し、この歌にたどり着きました。記事には「かつての武士が身につけていた潔さや謙虚さを教わる気持ちになった」と書かれていました。これを知ったわたしは非常に驚くとともに、とてもうれしく感じました。歌を詠み続けてきて本当に良かったとも思いました。



ちなみに藤井さんが検索して見つけた記事は、「いま甦る、武士道の美学 真のラスト・サムライとは誰か」で、2005年10月の社長訓示です。わたしは、そこで「現在の日本は平和を謳歌をしています。一般の人々が日常的に『死』に触れることはありません。そんな中、常に死を見つめ、それゆえ死を意識せずにはいられない紫雲閣のスタッフは、死の呪縛から解き放たれ、生の哲学を得る可能性をゆたかに持っています。つまり、サムライとなりうる。わたしも含めて、ぜひサンレーの中から多くのファースト・サムライが出現して、礼儀正しい日本、美意識のあるカッコいい日本を再建する礎になれればと切に願っています」と述べ、最後に「おそれずに 死を受け容れて 美に生きる そこに開けり サムライの道」と詠んだのです。その全文が2006年に本名で上梓した拙著『ハートフル・カンパニー』(三五館)に掲載されています。

ハートフル・カンパニー』(三五館)

 

そのような経緯でわたしがサンレーの社員向けに詠んだ歌がラグビー日本代表の強化委員長の目にとまり、選手のみなさんを指導する一助になっていたことを知り、わたしは非常に驚きました。そして、大きな感動をおぼえました。やはり、この世は「有縁社会」であることを痛感しました。日本代表は、遠征のときから甲冑を帯同してきました。絶えず死と隣り合わせの武士の緊張感こそ、プレッシャーをはねのけるヒントになると感じていたとか。

藤井雄一郎氏と

 

ブログ「藤井雄一郎さんにお会いしました」に書いたように、その後、わたしは藤井氏とお会いし、武士道について大いに語り合いました。そして、ラグビーだけでなく、あらゆるスポーツには侍スピリットが必要であると確認しました。WBC2023の日本代表=侍ジャパンにも、「おそれずに 死を受け容れて 美に生きる そこに開けり サムライの道」という歌を捧げたいと思います。この歌を胸に、ぜひ、3大会ぶりに世界一になっていただきたいです。それは、コロナが終息しつつある日本にとって、大いなる祭りとなることでしょう。


ラグビーの「ノーサイド」を連想(prime video)

 

そして、この日、わたしがAmazon prime videoで観戦した第3戦は、侍ジャパンの大活躍も素晴らしかったですが、相手のチェコ代表の礼儀正しい姿勢に好感を持ちました。自軍が窮地に立っても笑みを絶やさず、心から野球を楽しんでいる印象がありました。また、日本代表チームに対する敬意も忘れていませんでした。試合後の和やかな様子は、まるでラグビーの「ノーサイド」のようでした。前日に対戦した韓国代表の日本に対する「恨」のネガティブ感情とはえらい違いでしたね。韓国メディアも、いつまでも「日韓併合以来の屈辱」的な煽りをするのも良くない。わたしはチェコ共和国が大好きなのですが、さらに好きになりました。選手たちの本職が電気技師や地理教師や消防士などというのも好感が持てますね。これからは、侍ジャパンとともにチェコ代表も応援します!



2023年3月12日 一条真也