死を乗り越える瀬戸内寂聴の言葉

 

死というものは、必ず、いつか、
みんなにやって来るもの。
でも、今をどのように生きて行くか、
何をしたいか、
生きることに
本当に真剣になれば、

死ぬことなんて
怖くなくなるもんです。
瀬戸内寂聴

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回は、女性小説家で、天台宗の尼僧でもあった瀬戸内寂聴(1922年~2021年11月9日)の言葉です。



彼女は、若い頃、夫の教え子と恋に落ち、夫と長女を残して京都で生活を始めるという、まさに恋多き女性でした。というか、人妻、母親などという常識的な価値観を脱ぎ去った姿に、圧倒される正直さを感じてしまいます。その後、不倫の恋愛体験を描いた『夏の終り』で女流文学賞を受賞し、作家としての地位を確立しました。

 

 

1973年に出家。そのニュースを聞いて驚いた人が多かったといいます。現役の作家(人気作家)だった人が髪をおろし、仏門に入る――女性の新しい生き方だな、と思った人も多かったでしょう。尼僧としての活動も熱心に行っていました。独特な語り口調で、講演会はいつでも女性たちで大盛況でした。



彼女は、「笑うこと」が大切であると説き、座右の銘は「生きることは愛すること」でした。女性は出産を経験するからか、「死ぬことは怖くない」という言葉には、覚悟のような、性(ジェンダー)の力を感じます。男にはこんな覚悟はなかなか持てませんね。なお、この瀬戸内寂聴の言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2022年11月13日 一条真也