若い二人に結婚式を!

一条真也です。
金沢に来ています。昨夜食べた超濃厚なカレー味噌ラーメンが異常に胃にもたれて、なかなか寝つけませんでした。「もうトシだから、透明なスープの中華そばにしておけば良かった」と後悔しながら、いろいろなことを考えました。現在、大きな話題になっている秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんの結婚についても考えました。

f:id:shins2m:20211006085237j:plainヤフーニュースより

 

読売新聞社が4~5日に実施した緊急全国世論調査で、眞子さまと小室圭さんが結婚されることについて、よかったと思うかを聞くと、「思う」との回答は53%と半数を超え、「思わない」は33%でした。年代別にみると、全年代で「思う」が上回っており、眞子さまや小室さんの同年代が含まれる18~39歳では「思う」が59%に上っています。小室家の金銭トラブルに起因する一連のバッシングを考えると、意外に高いというのが印象です。というより、ここ最近で一気に潮目が変わってきた気がします。

f:id:shins2m:20211006085139j:plainヤフーニュースより

 

「AERAdot.」に掲載された作家・北原みのり氏の「小室圭さんのロン毛を見てストンと胸に落ちた 私は眞子内親王の新しい人生を応援します〈dot.〉」というコラムは興味本位ではなく、考えさせられる内容でした。冒頭、北原氏は「日本中が好奇の目を向けている中でのロン毛での帰国は、小室さんの圧勝が決まった瞬間のように見えた。多くの人の想定を超える空気の読めなさと(誰が小室さんがロン毛で帰国することを予想できただろう)、垣間見える尋常ではない深く強い自己肯定感。こういう人でなければ、何の後ろ盾もない一般男性が皇室の女性にプロポーズするなど、無理なことなのだと理解した」と述べます。



おそらく眞子内親王には、それが分かっていたのではないだろうかと推測し、北原氏は「もう二度と、こんな男性は現れない、恋愛感情がいつか終わることなど百も承知、賛成されていないのも百も承知、とんでもない間違いを犯している可能性も百も承知、耳に入れたくない『言いたい放題』があることなど眞子内親王自身が百も承知だろう。それでもこの機会を逃したら一生ここから出る機会はないに等しい。出られたとしても、もうそれは10年、20年後のことかもしれない。少なくとも眞子内親王と恋愛し、無謀とも思えるプロポーズをするような2人目の『一般男性』が現れる可能性は限りなく低いだろう。『生きていくために必要な選択』というのは、眞子内親王にとって大げさでない真理なのだ」とも書いています。この後も、北原氏のコラムは続きますが、じつに物事の本質を衝いており、わたしは感銘を受けました。

f:id:shins2m:20211006085316j:plainヤフーニュースより

 

1日、宮内庁は会見の中で、眞子さまが複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されていることを明らかにしました。会見に同席した秋山剛・NTT東日本関東病院品質保証室長は、眞子さまについて、「自分自身と家族、結婚相手と家族に対する、誹謗中傷と感じられる出来事が長期的に反復され、逃れることができないという体験をされた」と説明。眞子さまは2018年~19年頃からバッシングにより、人間としての尊厳が踏みにじられていると感じるようになったといいます。恐怖がフラッシュバックすることもあり「幸福感を感じるのが難しい状態にある」としました。症状を改善するために挙げたのは、誹謗中傷をやめること。秋山室長は「周囲の方々の温かい見守りがあれば、健康の回復は速やかに進むと考えられる」と証言しました。「批判封じなら逆効果」とか「ずるい」などと揶揄する者もいますが、事態は深刻です。



宮内庁がここまで異例の発表をしたのは、「これ以上は許さんぞ」というマスコミへのメッセージだと思いますが、これまで美智子上皇后、雅子妃もマスコミの誹謗中傷に心を痛められてきました。皇室の方々には自由がないことは百も承知で、つねづねお気の毒に思っておりますが、最も違和感をおぼえるのは、「いくら根拠のない誹謗中傷をされても、抗議もできないし、ましてや告訴など絶対にできない」ということです。世界中を見渡しても、こんな理不尽な立場があるでしょうか。戦後、日本国憲法で「人間天皇」を定めたのならば、同時に天皇陛下および皇室の方々の人権というものも考慮すべきでしたが、それが完全に抜け落ちています。これは絶対におかしいと思います。

 

 

そもそも「人間天皇」という考えも、わたしにはしっくりきません。わたしが敬愛する作家・三島由紀夫は、『英霊の聲』で、二・二六事件の反乱軍、先の大戦の戦死者、そのような人々が次々と霊となって現れ、大勢で行進しながら、「などてすめろぎはひととなりたまひし」という言葉をくり返し唱える場面を描きました。英霊の声とは、昭和天皇人間宣言をされ、「人となられた」のを恨む人の声なのです。彼らは現人神の天皇を信じ、すべてをかけ、命を捨てたのに、その天皇が人となってしまわれた事をお恨みしますと言っているのです。わたしは「すべては死者のために」という唯葬論者ですので、この英霊の声には胸を打たれます。そして、慰霊の旅を続けられた平成天皇には心から尊敬の念を抱いています。

 

 

日本が先の戦争に敗れ、マッカーサーによって昭和天皇は救われたように思われていますが、じつは天皇家はずっと罰を受けているように思えてなりません。昭和天皇は戦争責任を免れたのではなく、ずっと子孫がその責任を取らされ続けているように思えてなりません。3日前に『これからの天皇制』(春秋社)という本を読みました。わたしのグリーフケア研究の師である島薗進先生をはじめとした識者の方々が「令和」の天皇制についての考えを記した本ですが、それを読むと、武士が誕生してから天皇という存在はずっと権力者から利用され続けていることがわかります。幕末もそうでした。明治時代の大日本帝国憲法は一見、天皇にすべての権力を集中させているように見えますが、実際は天皇を機関として利用するものでした。いま、わたしは「皇室の方々はお気の毒だ」と思います。

 

儀式論

儀式論

Amazon

 

わたしの本業は、冠婚葬祭業という礼業です。冠婚葬祭や年中行事といった儀式文化は、皇室の儀礼文化と密接な関わりを持っています。眞子さまと小室圭さんは今月26日に正式に結婚されることが決まりました。しかし、結納にあたる「納采の儀」や、天皇皇后両陛下に宮殿でお別れのあいさつをする「朝見の儀」など、女性皇族の結婚関連儀式はすべて行われず、皇室を離れる際の一時金も支給されないことが公表されました。これは眞子さまの希望によるもので、戦後初めての異例の結婚となります。わたしは、このことに深い懸念を抱いています。その理由は2つあります。1つは、儀式を中心とする皇室の権威が揺らぐこと、もう1つは国民の冠婚葬祭に与える心理的影響です。

 

 

お二人が一切の儀式をされずに結婚されて渡米してしまえば、多くの国民は「儀式なんて面倒なものをしない方が自由でコスパがいい」「今さら儀式なんか時代遅れだ」と考えるのではないでしょうか。そうすれば、結婚式を挙げることに否定的な若者も増えていくように思えてなりません。しかし、結婚式をして初めて夫婦が誕生するのであり、そのことは天皇家のルーツとされる神話が書かれている『古事記』のイザナギイザナミのエピソードにも明らかです。お二人の脱・儀式婚がその神話と伝統を壊してしまうのは、まことに残念でなりません。



しかし、わたしはお二人の結婚に反対しているのではありません。逆です。若いお二人の門出を祝福しています。このまま法を犯したわけでもない若者に「いじめ」そのものである無法なバッシングを続け、そのままお二人が日本を脱出してしまえば、日本人の1人として恥ずかしいと思います。思えば、お二人が新生活を始めるニューヨークは「自由」の象徴です。タイタニック号に乗った移民たちも、自由を求めてニューヨークを目指しました。眞子さまが民間人になられたら、以後の誹謗中傷はすべて告訴の対象になります。国際弁護士として、小室圭さんは誹謗中傷をやめないテレビ局や週刊誌などのマスコミを片っ端から告訴するといいと思います。愛する妻を守るために、プロとして堂々と訴訟活動を行い、漢になっていただきたい!



でも、正直な思いを述べれば、お二人が自由の聖地であるニューヨークに行く前に、わたしはお二人に結婚式を挙げていただきたいです。十二単は着なくても、眞子さまにウエディングドレスを着ていただきたい。冠婚葬祭業界が一丸となって、お二人に結婚式をプレゼントさせていただいてはどうでしょうか? 眞子さまが民間人となった時点で、東京で結婚式を挙げてから渡米していただくことはできないでしょうか。じつは、そのアイデアを業界内の会議でも提言しています。時間がないので急ぐ必要がありますが・・・・・・。いかなる理由があるにせよ、わたしは、結婚するすべての若者には結婚式を挙げていただきたいと心から願っています。その理由はブライダル業界のためでも、個々の結婚式場やホテルのためでもなく、新郎新婦自身が幸せになるためです。ここまで書いたら夜が明けてきました。今日は朝一番でサンレー北陸の本部会議に出て、それから福井県の「夜叉ヶ池」に向かいます。

f:id:shins2m:20211006055115j:plain
夜明けの金沢の街

 

2021年10月6日 一条真也